決着 後編
「全員突撃!!!!」
わたしの号令と共に、仲間たちが地を蹴って駆け出した。
まず先陣を切るのはレオナだ。
彼女は両手の爪をギラリと光らせ、イナズマのような速さで駆け抜けていく。
「うにゃにゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎」
レオナが雄たけびを上げながら蜘蛛の群れに突撃し、奴らの足元をジグザグに駆け抜けていく。
その度に、関節から切り裂かれた蜘蛛の脚が、バラバラと宙に舞う。
「「「ギ……ギィィィィィィィィィィィィィィィ?!!!」」」
突如脚を切り落とされた蜘蛛たちの悲鳴が、辺り一面に反響した。
自らの身体を支える足を失い、蜘蛛たちは土煙を上げながら地面に沈み込んだ。
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉりゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ !!!!!!!!!!!!!」
レオナに次いで、怒号をあげながらロボ丸が突っ込んでいく。
脚を失い、地面でうごめく蜘蛛を踏み台にし、レオナが仕留め損ねた敵に殴りかかっていく。
バキィッ!!!
籠手を失った裸の拳が、蜘蛛の赤い眼球に突き刺さり、バキバキと砕いていく。
「次 !!」
ロボ丸は蜘蛛の眼窩から拳を引き抜くと、次の敵目掛け殴りかかっていく。
ロボ丸とレオナの大暴れによって、蜘蛛で満たされた古戦場に道が開かれようとしている。
「マスター、わたしも行ってくる!」
ステラもブラスターを構え、敵陣へと切り込んでいく。
さて、一方わたしはというと、腹に重傷を負ったアリスさんを担いで、彼女を安全な物影へとそっと隠した。
「アリスさん、ここで少し休んでいてください。」
わたしは物影に彼女をそっと寝かせると、仲間たちの待つ戦場へと駆け出して行った。
見たところ、仲間たちの奮闘のおかげで、蜘蛛の数はだいぶ減っているようだ。
わたしは懐からマジックボムを取り出し、起爆タイマーをセットした。
起爆までの時間は3分でいいだろう。
「ステラ、爆弾をお願い!」
わたしは蜘蛛の頭部にブラスターを突き刺すステラに向かって、マジックボムを放り投げた。
ステラはブラスターを引き抜くと、空中でくるくると回転しながら、それを見事にキャッチした。
ステラは爆弾を両手で抱えながら、煙突に向かって全力でダッシュした。
「「「ギギギギィィィィィィ!!!!!!」」」
わたしたちの目論見を察知したのか、生き残った蜘蛛たちがステラに向かって殺到する。
「ロボ丸、レオナ!ステラの援護を!」
襲い来る蜘蛛の群れを、ロボ丸とレオナは果敢に迎え撃つ。
レオナの爪が煌めき、ロボ丸の拳が火花を散らす。
その度に、千切れた蜘蛛の手足が宙を舞い、鋼鉄の巨体が爆散する。
ステラは、空中から降り注ぐそれらの残骸を巧みにかわしながら蜘蛛の追撃を振り切り、全速力で走り抜けた。
ステラと煙突との距離は次第に縮まってきている。
あともう少し……そこだ!
「行け!ステラ!そのまま爆弾を放り投げろ!」
ステラはこくりと頷くと、ダッシュの勢いを利用し、煙突の横穴目掛け爆弾を放り投げた。
爆弾はきれいな弧を描き、煙突の横穴へと、吸い込まれるように消えていった。
カツ―ン、カツ―ン……と、反響音を残しながら、爆弾は地の底へと堕ちていった。
そして、数秒の静寂。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ !!!!!!!!!!!!!!!!
直後、巨大な地響きが巻き起こり、コロッセオの地面をグラグラと揺らした!
「きゃあああああああああああああああああ !!!!!!!!!!!」
そのあまりの揺れの大きさに、わたしの足は立っていられなくなり、蜘蛛の死骸につかまり揺れが収まるのを待った。
……数十秒、いや、数分立っただろうか ?
長い揺れがようやく収まり、わたしは蜘蛛の死骸に手をついてよろよろと立ち上がった。
乾いた風が頬を撫で、わたしの長い髪が風に流れた。
辺りを見回してみると、蜘蛛の千切れた手足や、焼け焦げた金属片が辺りに散乱していた。
破壊を免れたであろう蜘蛛も、その目から光を失くし、力なく地面へと横たわっていた。
みんなはどうなったんだろう?
わたしはきょろきょろと辺りを見回した。
「ロボ丸!ステラ!レオナ!みんな無事なの?」
わたしは大声を張り上げ、みんなの名前を呼んだ。
すると、わたしの後ろでガチャリという金属音が聞こえた
振り返ってみると、蜘蛛の足を押しのけながら、すり傷だらけのロボ丸がニヤリと微笑んでいた。
「ロボ丸!あんたぶじだったのね!」
わたしは彼女に駆け寄り、胸へと抱きしめた。
「マスター!ステラも元気!」
「まったく、あんたらといるとろくなことにならないにゃ~。」
後ろを振り返ると、ステラがレオナを背負いながらぶんぶんと手を振っていた。
二人とも泥とオイルでべたべたに汚れていたが、どこにも怪我はないようだった。
「ステラ、それにレオナ!みんな無事でよかった!」
わたしは、駆け寄ってくるステラを抱きしめ、ねぎらいの言葉を掛けた。
地下の蜘蛛の巣は爆破され、残った蜘蛛も制御を失い倒れた。
仲間たちも、多少の怪我はあるようだが、みんな無事でピンピンしている。
コロッセオには敵の気配はなく、勝利を沸く歓喜の声が響き渡っている。
古戦場での長きにわたる戦いに、ついに終止符が打たれた。
わたしたちは勝ったのだ!
エピローグに続く。




