決着 前編
「レ、レオナ……あんたなんでこんなところに?っていうかあんた喋れたの?」
「お主、どうしてここに?研究所のケージに入れておいたはずだぞ?」
わたしとアリスさんはあまりの出来事に呆気に取られて、レオナに問いただした。
しかし、わたしたちの問いに対するレオナの答えはにべもないものだった。
「研究所は暗くて退屈だから、こっそり抜け出してアリスの鞄に隠れてたんだにゃ~。」
レオナは、毛づくろいする猫のような仕草で手の甲をぺろぺろ舐めながらそう答えた。
まったく、なんとも呆れた理由だ。
しかし、彼女の気まぐれによって、アリスさんの命が救われたのもまた事実だ。
予期せぬ味方の加勢によって、戦況が変化しようとしている。
この機を逃す手はない!
「レオナ、よく聞いて。ここから一番近い煙突の穴にこの爆弾をほうりこむから、あんたにその手伝いをしてほしいの。この中で一番元気なあんたとロボ丸が大暴れして道を作る。その間に機動力に優れたステラが突撃して爆弾を放り込む。作戦は以上よ。わかった?」
「とりあえず大暴れすればいいのかにゃ~?それなら、ぼくに任せて欲しいにゃ~。」
レオナは両手の爪をギラリと光らせるとニヤリと笑い、蜘蛛の群れへと向き直った。
「さぁ、あんたたち、ここが正念場よ!あとひと踏ん張り!ファイト!」
わたしは自分の頬をぴしゃりと叩いて気合を入れた。
そして腹の底から魔力を振り絞り、ロボ丸とステラに送り届ける。
魔力の供給を受けたロボ丸は、よろつく足でふらふらと立ち上がった。
そして、ボロボロになった両腕のガントレットを脱ぎ捨てると、顔の前で両腕を構え、ボクサーめいたファイティングポーズをとった。
ひび割れたバイザーの奥で、闘志に燃える瞳がギラリと光った。
ステラも自分の頬をぴしゃりと叩いてガッツポーズをとった。
そして、隣に立つわたしを見上げ、こくりとうなずく。
「マスター、行こう!」
「うん!派手にぶちかましましょう!ステラ!」
わたしもこくりと頷くと、目の前の蜘蛛の群れを睨み据えた。
蜘蛛たちは赤い瞳をギラリと光らせ、わたしたちの進路を阻むように陣形を組む。
目の前の敵は強大だ。
しかし、わたしにはステラやロボ丸、アリスさん。
そして、新たに加わったレオナがいる。
たとえどんな敵があいてだろうと、負ける気がしない。
「よし、みんな!作戦開始!」
わたしの号令とともに、人形なかまたちが駆け出した。
この戦いも、終わりの時が近づいている。




