レオナ参上! 前編
後ろを振り返った私の目に飛び込んできた光景は、あまりにも凄惨極まりないものだった。
切断された蜘蛛の脚がアリスさんの腹を串刺しにし、地面に張り付けにしているのだ。
アリスさんは口元から血を流しながら、なんとか腹に刺さった脚を引き抜こうともがいている。
その光景のあまりの凄惨さに、私は思わず絶句してしまう。
さらに悪いことに、身動きが取れないアリスさんに向かって、複数の蜘蛛が迫って来ているのだ!
「すまん、ドロシー殿……。儂としたことが……ちと油断してしもうたわい……。」
「アリスさん!今助けます!ステラ、ブラスターで援護を!」
「了解、マスター!」
ステラがブラスターを構え、アリスさんににじり寄る蜘蛛を狙撃する。
BLAM!BLAM!
一体、また一体と、ステラに撃ち抜かれた蜘蛛が、耳障りな悲鳴をあげて倒れていく。
しかし……!
「マスター、数が多すぎる!」
そうなのだ、敵の数があまりにも多すぎるのだ……!
倒しても、倒しても、次から次に群がってくる!
「何をしておる!儂に構わず先に行かんか!」
アリスさんが喀血しながら、絞り出すような声で叫ぶ。
「で、でも!」
「ご主人、こっちもそろそろヤバいロボ!援護を頼むロボ!」
前方からロボ丸の助けを求める声がする。
ステラの援護もなく、孤軍奮闘していたロボ丸にも、そろそろ限界が近づいてきているようだ。
「マスター、そろそろ魔力が尽きそう……。」
ステラがか細い声でそう告げた。
そう言うステラの顔には、疲労の色が滲み出ている。
このままでは、蜘蛛の数に押し切られて全滅してしまう。
アリスさんの言うとおりに、彼女を見捨てて先に進むべきなのだろうか?
いや、しかし……。
私が逡巡している間に、一匹の蜘蛛がステラの弾幕を潜り抜け、アリスさんの目の前まで近づいて来た。
ステラはブラスターで蜘蛛を狙撃する。
しかし、彼女の放った魔力弾は、蜘蛛の装甲の表面を灼いただけで、蜘蛛を貫くことはできなかった。
ステラの魔力が尽きかけていて、ブラスターの威力が下がっているのだ!
蜘蛛はアリスさんに馬乗りになると、鉤爪のついた脚を振り上げた。
そのまま振り下ろし、彼女の首を刎ねようとするつもりだろう。
一瞬、アリスさんと私の目があった。
先に行け、あとは頼んだ。
目だけでそう訴えると、彼女は静かに目を閉じ、口元に安らかな笑みを浮かべた。
まるで死を覚悟するかのように。
「アリスさん‼︎‼︎‼︎」
私の叫びが合図となったかのように、蜘蛛は無慈悲にその脚を振り下ろした。
続く




