アリスの危機
「….なるほど、つまりこういうことか。あの煙突が蜘蛛どもの巣に繋がっておると……。」
「えぇ、蜘蛛の巣を破壊すれば、これ以上は敵は出てこないはずです。」
私たちは戦いながら言葉を交わした。
なおも蜘蛛の猛攻は続いており、一向に収まる気配がない。
「しかし、いったいどうやって破壊するつもりじゃ?
儂にはもう強力な破壊魔法を撃つ魔力は残っとらんぞ?」
「えぇ、ですから、これを使います。」
私はポシェットからマジックボムを取り出して見せた。
「これを煙突の穴に放り込んで、蜘蛛の巣を一網打尽にするんです。」
「なるほど、マジックボムか。確かにこれなら蜘蛛の巣も吹っ飛ばせるじゃろう。」
アリスさんは蜘蛛の突進攻撃を側転で回避しながら、周囲を見渡す。
「ここから一番近い煙突は……あれじゃな。」
アリスさんが指差した方向を見ると、ここからそう遠くない距離に煙突が伸びている。
私は、頭の中で煙突への道筋を計算してみた。
あの煙突の周囲に展開している蜘蛛の数は少ない。
しかし、そこまでの進路は多数の瓦礫やスクラップで覆われ、足場は決していいとは言えない。
ならば他の煙突はどうかというと、距離があまりにも遠すぎるし、なにより展開している蜘蛛の数が多い。
辿り着くまでに戦闘で魔力を使い尽くすのがオチだろう。
「最短距離で行きましょう!」
「援護は任されよ、ドロシー殿!」
「行こう、ロボ丸、ステラ!」
「「おーー‼︎‼︎」」
私たちは一直線に近くの煙突まで走り出した。
ロボ丸とステラが前方の敵を迎撃し、後方からアリスさんが破壊魔法で援護してくれる。
進路を塞ぐ瓦礫の山をよじ登り、蜘蛛は死骸を踏み越え、死にものぐるいで駆け抜けて行く。
「はぁ、はぁ……、あともう少し……。」
だんだんと煙突が近づいてきている。
距離はあと半分くらいだろうか?
もうちょっと頑張れば辿り着ける。
しかし、そんな私たちの努力を嘲笑うかのように、戦場にある変化が訪れていた。
「ドロシー殿、気をつけよ!敵がそちらに集まっておる!」
後ろからアリスさんの叫ぶ声が聞こえる。
前方を見ると、四方八方から蜘蛛が跳躍し、こちらに向かって集まって来ているのだ‼︎
「クソッ!あともう少しなのに!」
目の前に群がる蜘蛛の群れを睨みながら、悪態をつく。
なんて敵の数だ!
しかしもう後戻りはできない。
強行突破あるのみだ!
「ロボ丸、ステラ!死ぬ気で行くよ!」
「了解ロボ!」
「了解、マスター!」
ステラがブラスターを連写し、前方の敵を薙ぎ払う!
ステラが撃ち漏らした敵を、ロボ丸が殴り飛ばします行く。
……?何かおかしい?
私は前身しながらも、ある違和感に気づいた。
さっきから後ろが妙に静かだ。
どうもアリスさんの援護が途絶えてるらしい。
「アリスさん、どうしたんですか⁈」
私は後ろを振り向いてアリスさんの方を見た。
そこにあったものを見て、私は思わず絶句する。
アリスさんが、蜘蛛の脚に串刺しにされているのだ‼︎
「アリスさん‼︎」
私の叫びが、戦場にこだました。
続く




