表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/66

人形使いクビになる

メガミデバイスやFAガールでブンドドしていた時に思いついた話です。

武装神姫やメカ娘が好きな人は楽しめると思います。

「ドロシー・アプリコット!お前をこのパーティーから追放する!」


「え……?なんで?」

突然の解雇宣告に一瞬頭の中が真っ白になる。

しかし、そんなわたしの動揺などお構いなしに、団長のアランは次のことばを紡ぐ。


「お前のギフトが役立たずだからだ!」


ギフト……。それは、この世界に住む人々に、天上の神々が与えたもうた神秘の力。

この世界の住人は、10歳になると、皆なにかしらのギフトが発現する。


例えば、剣士のギフトが発現すると、剣の扱いがうまくなったり、身体能力が上がったりする。

魔法使いなら、魔法が使えるようになったり、魔力の流れが目で見えるようになったりする。

とまぁ、こんな感じだ。


ちなみに、わたしのスキルは人形使い。

人形に魂を与え、これを操ることができるという、すごいギフトだ。

ぬいぐるみやおもちゃのロボットを操り、敵を攻撃したりできる。


しかし、身体能力は剣士や武闘家に比べるとずっと低いし、人形を介してしか魔法を使うことができないという、欠点もある。


わたしはこのギフトを使って、ダンジョン内部の索敵やトラップの探知、及び解除。

ダンジョン内のマッピングや、ボス部屋へ向かう安全かつ最短のルートの提示。

ダンジョン内の雑魚敵を掃討し、パーティーの露払いをするなどの雑務にあたってきた。

やっていることは、いわばテイマーの代用品である。


それなりにパーティーの役に立ってきたはずだ。

それなのに……。


「役立たずはないでしょ!索敵とかトラップ解除とか、いろいろやってきたじゃないですか!」

わたしは抗議した。

団長に対し、こんなに声を荒げるのは初めてのことだった。


しかし、わたしの抗議に対し、団長は鼻をフンッと鳴らすだけだった。

「もう索敵要員などいらんということだ。なぜなら俺様には新しいスキル「気配察知」があるからな!」

「気配……察知……?」


聞いたことのないスキルだが、おそらく高度な索敵スキルかなにかだろう。

なるほど、新しいスキルを覚えたから、わたしはもう用済みということか。

しかしわたしはなおも食い下がる。


「じゃあ、トラップ対策はどうするんですか?それができるのはパーティーでわたしだけですよ?」

そんなわたしの問いかけに対し、団長が返した答えは耳を疑うものだった。


「トラップなど解除する必要はない!そんなものは根性で耐えればいいのだ!」


意外な答えに、わたしはポカーンと口を開けたまましばらく固まっていた。

トラップは解除する必要がない?根性で耐える?いったい何を言っているのだこの人は?!


「ダンジョンのトラップがどれだけ危険なものかわかってるんですか?!中には一撃で即死するような危険なものもあるんですよ?」

「俺様のパーティーにトラップごときで死ぬような根性無しはおらんわ!ただしお前を除いてだがな!人形使い!」


……もうこの人にはなにを言っても無駄なのだろう。

黙ってわたしが辞めるしか道はないらしい。

わたしとしてもこんな人ともう一緒にやっていくのは無理な話だ。


「……わかりました。では本日をもってこのパーティーを抜けさせてもらいます。長い間お世話になりました。」


そう言って頭を下げたわたしを鼻で笑いながら、団長は硬貨の入った布袋を投げてよこした。


「受け取るがいい!それが退職金だ!」


わたしは布袋を慌ててキャッチした。

紐を解いて袋の中身をのぞいてみる。


……中に入っていたのは数枚の銀貨と銅貨だけだった。


「……たった、これだけ?」

「役立たずのお前には十分すぎる額だろう?さぁ、さっさと出ていけ!俺様はこれから新入団員との面談があるのだ!」


団長はそう言い捨てると、わたしを部屋から追い出し、ドアのカギを閉めてしまった。




……こうしてわたしはパーティーをクビになった。

しかしこれは、わたしに待ち受ける新たな出会いと、大いなる躍進の物語の、はじまりの一ページにすぎなかったのだ……。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ