過去編その5、族長との会談
暑い……(´・ω・`)
後時間開けすぎた後に執筆再開するとなんか違和感。やっぱり続けて書いた方が良さげかな?
どうぞ
目の前にいる薄紫色の女を見てアリィは距離をとって警戒する。本能が、経験が「相手は強い」と警報を鳴らしている。
見た目はアリィよりも弱そうな人型の女。小枝よりも重いものは持ったことがなさそうな細身の手。しかし、放たれたデコピンはアリィを仰け反らせるほどの威力があった。
「……!!」
一瞬で目の前まで移動したエルフはアリィにアイアンクローを放つ。
顔面を思いっきり掴まれたアリィはじたばたするが、握っている力は凄まじく、振りほどくことが出来ない。
「……なるほど。よく分かりました」
そう一言だけ呟くと、ゆっくりとアリィを持ち上げる。クレーンゲームの景品のように掴まれたアリィは拘束から逃れようと身体を動かすが、ビクともしなかった。
「クィーン。子を自由にさせるのと勝手をさせるのは違います。親ならばきちんと手綱を握ってください」
薄紫色のエルフからハーピィ・クィーンに苦言を呈し、ハーピィ・クィーンは申し訳なさそうにアリィを受け取った。
「貴女はいつも物事に対して一手遅いのですよ。今回はヴァレリーとの模擬戦の時の合図。この子を止める時。何時でも動けるようにしておきなさいと前も言いましたよね?」
次々と出てくる、淡々と事実だけを言うように族長のエルフは言い続ける。
「我が子を自由にするのは大切です。籠の中に閉じ込めておくのは子どもではなく、ただのペットですから。人格が歪む要因の1つになりかねませんしね」
しかし、あまりにも好き勝手に放置させるのは違うと続ける。
自由意志と束縛。相反する物をしっかりとバランスをとる。どちらか片方に偏ると後で痛い目を見ると。
「まぁまぁ族長〜。そういうお堅い話は置いときましょ〜?」
「……そうですね。この話は後に回すとして、私の家に参りましょうか」
うげっ!?と嫌な顔をするハーピィ・クィーンを尻目に族長は歩を進めていく。
気落ちしたハーピィ・クィーンと抱かれるアリィ。緊張を隠しきれないヴァレリーとあらあらと笑う戦士長というメンツで族長の住居へと向かった。
「……着きましたよ」
他のエルフの家に比べ、一際大きい建物。そこが族長の住居だ。
村にある住居よりも頑丈そうな木で出来た立派な造りで、大きさは体育館位はあるだろうか。そんな大きい屋敷だ。
こんな大きい巣なのか!とアリィは指をさしてハーピィ・クィーンを見つめている。相変わらず表情はそこまで変わっていないが、動きがある為非常にわかりやすい反応だった。
門を通り、中に入る。和風のような広間に案内され、腰掛けるように族長は言った。ハーピィ・クィーンはアリィを膝に座らせ、ヴァレリーはお茶を配った後その隣に座り、戦士長は族長の隣に座った。
……………………
「さてと〜。毎回恒例の〜、エルフとハーピィの〜。定期報告会をするわよ〜」
パァンパァン!と火魔法で火花を鳴らし、クラッカーのような派手な音を出して盛り上げる戦士長の姿を見て「相変わらずですね」と言わんばかりに族長は息を吐いた。
「では私から……」
翼を上げて口を開いた。
「先ずはこの子の事よ。私以外の3体、『シュハーガトゥ』、『ジルニモス』、『オアンティアーラ』から鍛えられてから1年。身体能力もかなり上がっているわ」
「なるほど。だからヴァレリーに圧勝したのですね。確かに、それならば納得です」
「……私1人なら門番にすら勝てなかったと?」
「そんな事は言っていませんよ?」
ニッコリと笑う族長。返答とその様子を見たクィーンはピキリと一瞬、青筋を立てる。
「……そういう事にしておきましょう。それから、たまに現れる侵入者も何人かアリィが倒したらしいわ。全員鎧を纏っていて、森の生き物が何匹か殺られていたわ」
ふむ。と、真剣な様子で考え込む族長と戦士長。彼女らを見て、ハーピィ・クィーンも真剣な顔つきになった。
「……恐らく、騎士団絡みね」
「私も同じ考えです。私達も同様に鎧姿の人間を確認しています」
「まぁ〜、直ぐにおい返せたんだけど〜。あの色とエンブレムは〜、恐らく『イスティア王国』ね〜」
「あそこなら人間種優遇の国だから考えられるわね。亜人種やハーフの差別も酷い国だもの。『悪いモンスターから大森林を取り戻す』なんて大義名分で襲ってくるんじゃないかしら」
会話の内容が分からず、欠伸をして首を傾げるアリィと、驚いた表情で会談を聞くヴァレリー。
いつもならほとんど談笑でおわる会談は、もはや対策会議と呼べる代物にまで昇華したように思えた。
次回はある程度物語動かしたいですね(´・ω・`)