過去編その4、エルフの里
短めです。途中まで書いてその先がぜんっぜん思い浮かばないのよ(´・ω・`)
「ヴァレリー?ちょ〜っとやりすぎじゃないかな〜?」
2人の拳を受け止めたエルフの女。ウェーブがかった透き通るような銀髪に褐色の肌とナイスなバディを持つ、少し幼さが残る女だ。アリィと模擬戦をした(約1名ガチで殺しにかかってた)ヴァレリーと呼ばれた門番よりも幼い容姿だが、ヴァレリーは上司を相手にしているように見える。
「し……しかし戦士長!」
「この人たちは族長のお客様よ〜?貴女も聞いていたでしょ〜?それに〜。友人のハーピィ・クィーンもいるのよ〜?その子の実力を測るのはいいけど〜、殺す気だったでしょ〜?」
癒しオーラ漂うポワポワした雰囲気で話す戦士長と呼ばれる褐色のエルフ。
先程までアリィを完全に殺す気で戦っていた、ヴァレリーと呼ばれた女がタジタジである。
「貴女も族長から連絡は来ていたはずよ〜?門番はねぇ〜、なにも侵入者を排除するためだけに存在している訳じゃないのよ〜?」
幼い子供を「メッ!」っと叱るような声で門番に言い聞かせた後、ハーピィ・クィーンの傍に向かう。ハーピィ・クィーンに模擬戦の事についての話を始めた。
門番……ヴァレリーは考える。
族長の友人であるハーピィ・クィーンとその子供。いくら人間が相手とはいえ、自身の行動が感情によるものだとは理解した。冷静では無かったと、今ならハッキリと認識出来る。感情だけに身を任せて行う任務は失敗しかない。
イラついていたり、集中出来ないまま仕事をしたりすると失敗するというのはよくある話だ。しかもそれを引きずっていこうものなら、できることも出来なくなってしまう。
ハーピィ・クィーンと会話をしている戦士長。それを見る少女の様子を見てため息さえ出てしまう。気を紛らわすため、折れた刃をせっせと集め始めた。
ーーー自分は、弱い。そう認識するのにさほど時間はかからなかった。
あの少女が後半本気を出したのは自分が殺す気で戦っていたからだ。であればスタートに遅れるはずは無いし、押さえつけられる事も無かっただろう。
「さて〜。クィーンとの会話も終わった事だし〜。そろそろ族長の元に案内するわ〜」
考え事をしている内にどうやら話が終わったようだ。ぽわぽわした笑顔を振りまきながら幼子のようにはしゃぐ戦士長と、それに続くハーピィ・クィーン。羽と手を繋いで一緒に行くアリィ。それから戦士長に呼ばれ、なんやかんやで同行することになったヴァレリー。(この後近くの別のエルフ兵と交代しました)
村と呼ばれる集落に入ったアリィはじっと見つめたりキョロキョロしたりしていた。表情は変わっていないものの、ハーピィ・クィーンの羽を掴んで指をさしたり何かを聞いたりしている様子だ。幼少期の「ねぇねぇ」と言うやつだろう。
ハーピィ・クィーンは微笑ましそうに軽く説明した後軽く体験させてやった。それを数度繰り返し、ヴァレリーと戦士長がその様子を見守っていた。最も、ヴァレリーは多少貧乏揺すりをしていたのだが。
家が。門が。集落が。畑が。エルフが。その何もかもがアリィが初めて見る物だ。
獣は群れるが、ここまで整備された巣はない。草や木の実に関しても、自分では作れない。自分以外の人間の存在を知らない。だからこそ、獣では作れない物に対しての感情を母親に隠しきれなかったのだ。
子供の頃に感じた未知はワクワクするが、大人になって感じた未知は不安に感じる。故に、今のうちに感じて欲しいというのがクィーンの考える所だ。
それに、他の種族との交流。人間のアリィに理性や知性がある以上、生きていけるのが野生だけなのは勿体ない。生きる選択肢を広げてやるのも親の務めだ。いくら自分やシュハーが育てていると言っても所詮人間と獣。人間とモンスター。そもそもの種族が違う。だがエルフは人間とほぼ変わらない生活をしている為、ここに住むのもいいだろう。
そんなハーピィ・クィーンは微笑ましく、それでいて寂しそうにアリィを見つめる。視線の先にいる少女の反応は小さいが、はしゃいでいるのが丸わかりだ。
「をー……」
土に埋まっていた野菜を引っこ抜き、珍しそうに見つめる。匂いを嗅ぎ、色々な角度から見た後、口を開けた。
「ちょっ!?アリィ!?」
「そこまでですよ」
ふわり。薄紫色の髪の女性が現れ、アリィに軽くデコピンする。バチン!と叩いたような音が響いた。
思わぬ攻撃に。思わぬ痛みに仰け反ってしまう。手に持っている野菜を落としてしまう。
「ふふ……。好奇心旺盛なのは構いませんが、他人のものを勝手にとるのはいただけませんね」
儚そうな雰囲気をしている女性エルフ。木陰の下で読書をすれば映えるであろう細身の容姿。純白の衣装に身を包んだ彼女は高貴そうなオーラが出ているように見えた。
「族長!?」
「……!!」
ヴァレリーが驚き、アリィは先ほど現れたエルフを見て威嚇をした。
幼少期アリィはガチ獣です。ガチ野生児です。