六時限目 『 タラテクト 』
タラテクト
■種別:昆虫型魔獣(蜘蛛の下位魔獣)
■主な出現地域:魔獣深森の浅いところの山野、農村部
■出現数と頻度:単独/ふつう
■サイズ:犬なみ
■危険度:小
■知能:動物なみ?
■人間への反応:警戒〜敵対
■登場エピソード: 蜘蛛の意吐 第一部
~あなたの為ならドラゴンだって食い殺すの~ 五話
■身体的特性とパワー
タラテクトは、蜘蛛の魔獣の最小サイズの下位種です。赤紫色の瞳に黒や茶色のからだで、牙に毒はありません。
単独では臆病でそれほど強くなく、うごめく様は不気味ですが、辺境なら八歳くらいの子供でも棒で追い払えてしまいます。
雑食で、野菜や牛乳も食します。
ふだんは単独で巣網をはって獲物を待ち伏せますが、獲物に積極的に挑みかかり、木々の上を音も無く跳びまわることもあります。
食料が乏しい時期、辺境の村落や山小屋に侵入することがあり、家畜を襲ったり、畑の作物や貯蔵された食糧を食い荒らしますが、そうした侵入個体は、人間に不意に出くわすと激しく攻撃してくるので、山野にいるときよりも危険とされています。
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★ ルプセィラ先生の備忘録
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…… あの仔、今どうしてるでしょう。
ふつうのタラテクトに、カダールさんの血を飲ませる実験をしたときです。捕らえた中で一匹だけ、生き残りが出ました。あのタラテクトには情が移ってしまい、森に帰しましたが ……
軽い気持ちで、いつか蜘蛛がもどって来るかも、などと言ったので警備隊の人たちからしばらくからかわれました。素敵な蜘蛛は、まだ恩返しに来ないのか? と。
本当に冗談だったんですけど。
だって、わたし。あの仔と一緒にとらえたタラテクトを殺して、解剖までしたんですから。
兄弟姉妹だったかもしれません。恩返しどころか、殺し返される可能性が高いと思うんです。
人の世のため……いえ。
わたしは知りたかった。
知るよろこびを味わいたかった。
そのためにわたしは、タラテクトたちを殺した。死骸も埋めて捨てた。
そんな無情な行いから………やさしい童話のような出来事は起きるはずないのです。
フォーティス
「でもせんせい」
「せんせいとお話ししたら、きっとせんせいを好きになるよ。ムジョーなんか関係ない」
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関連事項
△タラテクト・ゼラ
△アルケニーのゼラ
△スノウ・ラビットスパイダー
(メイモント王国の降雪地帯の蜘蛛魔獣)
ルブセィラ女史が回想した、野生のタラテクトたちを使った調査研究は、本編『蜘蛛の意吐』の第六章のものです。
このタラテクト、何かありそう?
□『蜘蛛の意吐』第六章〜 あなたとわたしの未来のために 〜・六の六
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