九時限目『 ムフル(付記・リザードマンの大侵攻) 』
ムフル(グレイリザードの改造個体)
■種別:戦闘用に変異させられた大トカゲの魔獣
■主な出現地域:魔獣深森の南方沼沢地
■出現数と頻度:1〜最大20頭?、まれ
■サイズ:体長8〜9メートル(首と尾が長い)
■危険度:中
■知能:動物並み(騎手の指示に従う)
■人間への反応:敵対(騎手の指示に従う)
■登場エピソード: なし
■身体的特性とパワー
大ぶりなツノをもつ「巨大トカゲ」グレイリザードの変異個体です。
湿原のリザードマンがつくった戦闘生物で、野生に存在しません。毒と固有魔法の秘術の働きで大型で筋肉が発達し、厚いウロコが鎧のようです。
ツノのある舳先のような頭、がっしりした前肢と鋭い爪、トゲの生えたうねる長い尾と。とても攻撃的なすがたをしています。
見た目に反して、力まかせに暴れる化け物ではなく、騎手を乗せて命令に忠実に従う水陸両用の騎獣です。リザードマンはこれまで知られている限り、ムフルに騎手を乗せず、敵へけしかけたことはありません。
ムフルは、数頭で沼ドラゴンに対抗できる危険なモンスターです。
秘術を持つ部族が魔獣深森の奥の方にすんでいたため、長い間、人間にほとんど知られていませんでしたが、リザードマンがジャスパル王国へ侵攻したさい、ムフルをあやつるリザードマン騎兵が戦場の「後方」を荒らし回り、人々に強い印象を与えました。
▷育成と歪み
リザードマンの秘術は、彼らの本拠地で重要部分が施されていて詳細は不明です。
魔獣深森の動植物由来の変異の猛毒と擬似ホルモンの秘薬。そして、リザードマンの固有魔法で卵の段階から働きかけているようです。
森の奥地の正体不明の古代文明の遺跡が関わっているという未確認情報もあります(ジャスパル王国が派遣した長距離偵察隊の帰還者より)。
これまで人間側がつかんだ情報によると、グレイリザードの野生卵に極小の穴をあけて毒を注ぐなどの危険な施術を何度も繰り返すため、かなり死亡率が高い上、術者が限られていて、一度に多くの改造個体はそろわないようです。
また、戦闘特化のからだは問題(歪み)を抱えていました。
第一に、怪物的な姿や力は一代限りで繁殖能力がありません。
第二に、大きく重いからだは、怪力の前肢に比べて下肢は弱くほとんど登攀(壁登り・木登り)が出来ません。全力で戦える時間も短かく、突進攻撃は距離と回数が限られました。
(もっとも、ムフルをつかうリザードマンは平かな湿原が根城なので騎獣にジャンプ力、登攀力を求めず。もっぱら泳ぎで移動し、尾の力で推進するので、後脚の弱さも無視しました)
第三に、大きく過剰な鱗は自力で脱皮できません。世話係が古い鱗をはぎ取らねばならず。新しい鱗が眼や鼻孔に被さり過ぎるようなら、削らねばなりませんでした。
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■ リザードマンの大侵攻
南方のジャスパル王国で過去に起きた、リザードマンの王種発生です。奇襲された王国は結束が乱れて、王都を大群に脅かされました。
当初、ジャスパル王国は、リザードマンたちを意図して内陸に引き込む作戦をとりました。かわいた土地に急造の防衛線(既存の砦と野戦陣地の連鎖)を築いて、初期にかき集めた戦闘要員の損耗を避けながら、リザードマンに不慣れな陣地攻略を強いたのです。
ジャスパル王国はリザードマンに大きな被害を与えて、勢いにまかせた速攻を阻んだものの。少なくない領土を明け渡すこととなり、国内難民が生まれて一部の部族が不満を高めました。
ムフルを駆るリザードマン騎兵は、この後猛威をふるいました。主力同士の滞陣をよそに、通過不能と思われた地形を走破して戦場の後方── ジャスパルの主要部にあらわれ、人口密集地にパニックを引き起こしました。
水の巨獣は6〜9騎と数は少なかったようですが、人間たちに正確な戦力や動向をつかませず、正面から魔獣ハンターのチームや軍隊と争わず。河川や水路、湖沼から神出鬼没に商船や渡し船を襲い、橋や桟橋を壊し、スキあらば、手薄な岸辺から上陸してこれ見よがしに街や街道で暴れました。
人間の騎兵や軍船(川船)が入れない浅瀬や泥地も腹ばいで走破したため、王国側はあとを追うことも、退路を塞ぐことも困難でした。
リザードマンの本軍は大侵攻(戦役)の半ばの頃、均衡を覆して防衛線を破り、ジャスパルの王都へ迫りました。
主戦場の敗因は、通常、巨獣のゲリラ戦法で水上輸送が混乱し、防衛線への物資補給と兵の増援が滞ったと説明されています。
しかし、実際には王国軍(部族連合)の統率が乱れ、一部の部隊が陣地を集団離脱したことがキッカケで、あっけなく突破されました。
ムフルの起こした混乱で影響が深刻だったのは、実は、前線の兵士の士気でした。
物資不足は、軍民の懸命の努力でやりくりしたものの、ジャスパル王国は、もともと有力部族の連合体の性格の国家でした。遠方から防衛線へ派遣された部隊は、それぞれの本拠地との連絡船を何度も沈められたり、予定を大きく狂わされて不安を強めていったのです。
王都方面と行き来した貨物船の船員が、ムフルの暴れようを誇大に伝えて、さらに前線の人心を乱しました。
『…… 【数百匹の】飢えた巨大グレイリザードが地方の街を襲い始めた……王都は城門を閉じて籠城している……弱小部族は締め出された……避難民は見殺しにされようとしている…… 』
前線兵士に、ある時、そうしたデマが一気に広がり* 、集団失踪(集団逃亡?)が発生。王国軍は大混乱になり、直後のリザードマンの攻勢に大敗しました。
ジャスパル王国は困難な戦を繰り返し、最終的にリザードマンの大侵攻を王種討伐によって斥けました。
しかし、受けた被害は大きく、これ以降リザードマンに対する警戒は格段に強められました。ムフルを生んだ未知の秘術の解明は優先課題でしたが、湿原奥地の偵察は困難で成果はなかなか上がっていません。
逆に、近年、リザードマンの武装集団がスピルードル王国のアパラン近郊の森にあらわれ、同地の陸上生活のグレイリザードを集めた、と、いう話が伝わって来ています。
*;リザードマンは人間集団に混じって諜報活動はできず、このときのデマは自然発生、リザードマンたちの攻勢も偶然とされています。
異なる噂話もあり。赤い目の不審な女司祭が出没して、防衛陣地や水上輸送路で人々の不安と混乱を煽っていたそうです。
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関連項目
△グレイリザード
△ミラースキンリザード
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◎ 騎獣トーク!
P;  ̄  ̄) さぁて_______
巨大変異トカゲのもとはグレイリザードだ。『蜘蛛の意吐』本編に大群であらわれたモンスターだね。
_____14時限目に既出! φ( ̄D  ̄ ;K
あれは野生の群れだけど、今回の記事のムフルはリザードマンの飼育個体だ。
── リザードマンは、グレイリザードを飼いならして騎獣にしている ──
「蜘蛛の意吐」本編にそうした記述があって。かなり好き勝手にふくらませてみた! (恐竜サイズとは、大きくし過ぎた気がしなくもない!!)
◇ 騎獣
_______むふぅ(  ̄o  ̄;K
二足歩行の人間は、長旅や陸上輸送に家畜動物を利用してきた。代表格は「馬」だ。牛も無視できないけど「軍馬」が歴史に果たした役目はでっかい。
昔話題になった、古代日本の騎馬民族説(騎馬民族征服王朝説)は漫画「火の鳥」でも取り上げられたけど、軍馬のインパクトがそれだけ(P;なッ⁉️ 風呂敷がデカすぎる、もどれもどれ!)
…… ファンタジー小説も乗用動物(以下騎獣)は馬が多いね。
からだの色が違ったり、牙が生えてたり、角が生えていたり、六本足だったり(漫画「ああ、女神さま!」)するけども。
シルエットは馬で、トカゲや鳥っぽいモンスターも結局、馬具をつけて馬小屋で飼われていたりする。手綱とくつわ(ハミ)なんか、馬の歯並び(口の構造)ありきのはずだけど……
P;  ̄ △ ̄) うぇ〜_________
けーが「おもしろいお話し」を書けないのは、そーゆーところに引っかかりすぎるからじゃない?
P;  ̄ 〜 ̄) あれ?_________
P;  ̄ o ̄) けほん:________
── 異世界ファンタジーの主人公メカ、もとい、主人公騎獣の代表格はドラゴンだね。
ドラゴンライダーがひとりじゃなくて大勢いる世界観だと、主役以外のドラゴンは下位竜やワイバーンだったり。主役のドラゴンは特別な血筋だったりするね。
______しれっと復旧 (  ̄o  ̄;K
ドラゴンは最強生物で「竜神」「神殺し」称号持ちがいたりする。それを従えてこそ、おれTUEEE! かもね。あとドラゴンは相棒や腹心、ヒロインになったりもする。
________余談です ( ̄v  ̄ ;K
漫画「うしおととら」の主役は『伝説の武器の使い手』と『封印されていた最強の化け物』のコンビ。
聖剣の勇者と暴れん坊ドラゴンのコンビの日本的魔改造──とみたら楽しいよ。
P;  ̄ 〜 ̄)── うん?
(また変なことを)……… ドラゴン以外の主役級のファンタジー騎獣はペガサス、ユニコーン、グリフォン(ヒポグリフォン)、大鳥(ロック、フェニックス)かな。
________ハィ\(  ̄▷  ̄ ;K
ちなみに機動戦士ガンダム、なんだけどなぁ。
P;  ̄ 皿 ̄)!___
ファンタジーの騎獣 って、いったね!
______だってサぁ( ̄_  ̄ ;K
ホワイトベースの正式名称は「ペガサス級」強襲揚陸艦2番艦。敵からは「木馬」と呼ばれていたな。つまり、白いペガサスにのった(艦載)白い勇者がガンダムなんだな。敵は一つ目巨人たち ♪
「ユニコーン」ガンダムなんて【ファンタジーだってば!(強制終了)】
**** しばらくお待ちください。
_______ちぇっ( ̄_  ̄ ;K
ちなみに、NOMAR様が指摘してくれたけど。ドラゴン(龍)であり馬とゆー、二度おいしい有名なファンタジー騎獣がいた。
西遊記に登場する玄奘三蔵の白馬だ。
P;  ̄ ▫︎ ̄)いた!___
_______つぎっ (⌒∨ ⌒; ) ;K
騎獣グリフィンは、なろうの書籍化作品の大鎌使いの相棒が有名(グルゥ♪)。旧作だと小説「ルナ・ ヴァルガー」にグリフィンは登場していた。シャークグリフィン(シャーグリフィン?)ってサメ頭の変種な。
陸海空の最強捕食者の合成獣だった。
P;  ̄ 〜 ̄)グリフィンは最強を目指す?__
シャークグリフィンは主役の騎獣じゃないけど・・・・まぁ、ファンタジーの主人公は翼を持って無い。飛べるモンスターを騎獣にしたがるね。
________!( ̄フ  ̄ ;K
チートな最強主人公は序盤から魔法で空飛んじゃったり、テレポートしちゃうけどナ。
陸の旅も乗馬をスルーして、オートバイや自動車(動力源は魔力)を自作したりして。
P;  ̄ 〰︎ ̄) ____
地元のファンタジーモンスターを使ってあげなよ。
_______さぁ〜て!( ̄▷  ̄ ;K
地上戦でイチオシ。最強クラスは小説「蜘蛛の意吐」のアルケニーナイト。「黒蜘蛛の騎士」カダールと蜘蛛の姫ゼラのペア!
平原や森や屋根の上を突っ走って、ゾンビの軍隊やウェアウルフの群れを蹴散らした!! 光線技(分子分解光線?)で薙ぎ払えば、地形も変わるぞ。
Pli  ̄ ☖ ̄) OVERKILL___
ナイト? 火力が無茶だよ。
_______いゃいゃ( ̄口  ̄ ;K
滅殺は最後の武器だ。
アルケニーナイトの持ち味は、変幻自在の立体機動と千変万化の糸トラップ。森の中や市街地の要撃と遊撃なら、ファンタジー騎獣界で最強かも知れない。
Pi  ̄ _ ̄) いーけど___
まぁ、単体ならそうかもね。オシをオシたコメントだけど。
_____ラスト! ( ̄□  ̄ ;K
戦闘生物の飼育や調教。専門職者の生活、禁断のワザ。荒ぶる戦闘生物に襲われる人間の恐怖、そして、人と人が育てた怪物が入り乱れる戦場 ──
人と騎獣に関する、ファンタジー小説をオスなら上橋菜穂子の「獣の奏者」だ。
どれだけ心をくだいても命の危機をこえても。獣と人は異質なのだ。それでもともに ──
ファンタジー小説は、人と騎獣(獣)の心の断絶をわりとアッサリ(マジカルに)なくすけれど、この作品はね。
P;  ̄ _ ̄)_____
現実では、犬や馬の本当の気持ちはわからない。会話だってできない。ファンタジー小説なら、現実にできないことをかなえる方向に「創り」そうだけど。
_____対極ですね ( ̄〜  ̄ ;K
そこは……ゼラとカダールたちだ。異類婚姻譚だ。
人と獣の断絶を破り、獣が人になる。
現実では叶わない願望を叶えたその後。言葉を交わし、思いを通わせて人間と恋人(のちに夫婦)になった物語だね。
「ムフル」は「ケニアのステゴザウルス」ともいわれるアフリカの爬虫類系のUMAの名前です。




