七時限目『 穢海ノ大船 (付記;カニのモンスター)』
穢海ノ大船
■ 異称;御前ノ神輿、 霧骸ノ大船
■ 種別;アンデッドの上位魔獣(海を歩くアンデッドの大蟹)
■出現数と頻度:単独、ごくまれ
(過去の伝承)
■サイズ:体高約18メートル
■危険度:大
■知能:不明
■人間への反応:攻撃
■登場エピソード:なし
■身体的特性とパワー
東の国の古い伝承の、海の巨獣アンデッドです。
不可思議な力で波を踏み、海の上を歩く化け物蟹で、岩山のような背中に死霊の姫をのせて沖の海を彷徨いました。
穢海ノ大船は、アンデッドの軍勢の動く本陣で妖しく深い霧の発生源でもあり、つねに自分のまわりを白く広くおおい隠しました。
亡者を数多く従え、東の国との戦いが激しくなると、大蟹の分身と言われる赤鎧の戦士で死霊の姫の身辺を守っています。
一方、いざというとき最大戦力として、怪物的巨躯と怪力で猛威をふるいました。大バサミはとくに、大船(軍船)を甲板から船底まで一撃で砕くほどで、黄色の泡の酸のブレスを放ったという不確かな伝承もあります。
紅い甲殻の守りは堅く、人間の魔術師の炎の槍や電撃を弾き、投石機の大石の直撃も耐えたそうです。
▷ 人面の化け物蟹
穢海ノ大船の最大の特徴は、甲羅に深く刻まれた『憤怒と怨嗟の顔』です。大岩のような甲羅は無数の犠牲者の死霊を取り込んでいて、背の人面はその表れと言います。
八重紅御前との戦いの伝承の中で、穢海ノ大船への強襲はクライマックスの一つです。斬り込みに成功した討伐戦の中には、損害を省みない船隊突入で化け物大蟹のまわりを残骸でおおい、勇士とかれらに追随できた陸兵、凡そ六四人が巨蟹の甲殻に手をかけた事例がありました。
このときの座所への進攻は、どこからともなく甲殻上にわき出した無数の亡者と、深く険しい「地形」の甲殻そのものによって最終的に阻止されました。
一方、初期の記録に巨大な甲羅の人面は記されていません。
奇妙なことに別の討伐戦では、巨蟹に斬り込んだ小勢の若い勇士たちが、岩場めいた光景ではなく、何万何十万?という石の死仮面(デスマスク death mask)を目撃し。それらを石畳のように敷きつめた屋外舞台か演習場のような広場(夜闇と霧で果てが見えなかった)で赤鎧の戦士と戦った、といいます。
さらに別の遭遇戦では、甲羅の人面が「口を開き」白いヒトガタの靄がコウモリの大群のように宙に吐き出す光景が目撃されています。
いずれの証言も信頼のおける人物のもので、巨蟹の人面の正体は謎です。
軍隊すら脅かす魔法を使える魔獣は多くありません。
また、人であれ魔獣であれ、高位アンデッドは滅多に世に出てきません。白霧と死霊をつかい海を歩く巨大な化物蟹は、極めて珍しい怪物でした。
しかも、当時の記録によると、小山のようなからだはさらに異常なスケールの負の生命エネルギーを宿していました。
当時の学者たちは『未知の系統の超大型フレッシュゴーレム』、『アンデッド化した進化した魔獣』などの仮説を示しました。その中には『穢海ノ大船は、異常な純度の呪詛を錬成し、増殖させる炉である』という奇妙な推測もありました。
しかし、八重紅御前の謎の消失によって、どの仮説も十分検証できないままで終わりました。
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関連項目
△八重紅御前
△海を歩く亡者と赤鎧の無眼たち
○○○○
◎ 付記『カニのモンスター』
Kじょん___″(ー_ ー ; K
………蟹トーク…… 蟹のモンスター。
うはぁ〜。大トカゲ下まわるドン底マイナーだなっ。
P* ^_^)″____Pじょん
出だしから、ひどいこというね。
_______′(  ̄∧  ̄ ;K
まぁ見な──下はとあるページからの引用だよ。蟹モンスター映画のピックアップ
☆『巨大カニ・蟹型怪獣が出てくる人気おすすめ映画7選!《2020年最新》』
①巨大カニ怪獣の襲撃(Attack of the Crab Monsters,1957)
②ビッグ・クラブ・パニック(QUEEN CRAB,2015)
③地獄のシオマネキ 巨大蟹のしたたり(GIANT CLAWS,1980)
④パニック・マーケット3D(BAIT,2012)
⑤ゲゾラ・ガニメ・カメーバ 決戦!南海の大怪獣(日本映画 1970)
⑥パシフィック・リム(Pacific Rim,2013)
⑦ちいさな英雄 カニとタマゴと透明人間(短編アニメ、2018)
── 映画「7」選という半端な紹介数。
蟹型メカがチョイ役出演した『パシフィックリム』までカウントしても、7。
── 「地獄のシオマネキ 巨大蟹のしたたり」は、なんか、もう、邦題が投げやり。
── ある意味もっと酷いあつかいが、蟹モンスター映画の新作「ビッグ・クラブ・パニック」。
視聴の感想を調べてみたら、おそろしことに公式発表されているあらすじと実際の映画内容が全然違うって。訳がわからない。
P* ^ ◡^) いやいや____
しかし、ソレさ。みんな映画の話だろ? ゲームなんかじゃ、でっかい蟹モンスターがいろいろ出てきて大暴れしてる!
_______′(  ̄∧  ̄ ;K
狩られてるだろ? 『大きな獲物』だろ? 行く手を遮る『大敵』じゃ無い。
神話伝説の蟹モンスターで、まず取り上げられるのはギリシャ神話の蟹。十二星座の蟹座の由来だ。
もっとも、有名なくせ?して名はない。ネメアー(の谷)の獅子、レルネー(の沼)のヒドラみたいに地名を冠することもない。
そして、実はザリガニだ(← 『アンティーク天体図、蟹座』のキイワードで検索)。
星になったエピソードもヘナチョコ。
P; ^ _^)____
蟹は嫌い?? こき下ろすなぁ。
__鍋好きデスよ? ′(  ̄〜  ̄ ;K
蟹の登場は、英雄ヘラクレスがメジャーモンスターのヒドラと戦う場面…… かなわないまでもヒドラに助太刀した、と、神に認められて星になった。
だけど、実際はヘラクレスはちょっかい出されたことに気がつかず。足下の蟹を踏んで殺したのもウッカリだった(異説あり)。
ヒドラも助太刀に気づかなかったんじゃないかな??
日本の有名な蟹妖怪というと化け蟹、こと『蟹坊主』。
その所業は、陸寺院をねぐらにして人間に問答を仕掛けること…… この蟹もなんだか場違いなチャレンジしている。
( 個人の感想です)
石川県には、水神のような蟹の民話があってアニメになった(まんが日本昔ばなし話「蟹淵の化け蟹」1991年)。
この蟹様は人に化けるけど、横歩きして正体がバレた!
P; ^ _^)〉_うっかりさん__
そこで蟹らしさを見せなくても。
________′(  ̄o  ̄ ;K
人気エッセイの『なろう用語の基礎知識(作者:Gyo¥0-)』のクトゥルフ神話の項にこんな記載がある──
【 登場する化け物たちは生臭く、魚介をモチーフとしたものがある。クトゥルフは巨大なる蛸の頭をした化け物である。……が、日本人は魚介類が好きである。そして何でも萌えに魔改造する人種である。よって不気味で邪悪な宇宙的恐怖の化身たちを萌だったりマスコットだったりエロだったりと好き放題やっているのでまあ何というか酷い 】
コズミックホラーの蛸の化け物でさえそんな有様。蟹をモチーフに邪悪な大敵? 恐怖のモンスター?? ……… ムリ〜と思ってしまう。きっと酷いことになる。
P; ^ △^) ::____
洋の東西を問わず、蟹は人気の食材だしね。
_____でしょ? ′(  ̄  ̄ ;K
蟹モンスターの特徴といえば、大きなハサミとかたい甲羅。だけど、蟹料理の蟹から、人はそのハサミや脚をむしりとって、ウキウキ、やりたい放題に殻を壊して中のミを食べてしまう。専用のエビカニスプーン、キッチンハサミまで市販されている。
甲羅なんかお酒の杯。
いや、カニ味噌やカニの卵を食べない国は少なくなくて。ロシアの漁師は、船でカニを獲るとハサミと足をもいで胴体は海に捨てるんだ。
P; ^ O^) ::____
映画より神話より民話より、現実の蟹の扱いがぞんざい!
_____だめ押し!′(  ̄。 ̄ ;K
例え話だけど。
主人公が巨大モンスターを倒した!焼け焦げた匂いがあたりに広がって、そのとき──
「うまそう」「腹減った」
と、主人公が真顔でポツリ。
読者が、えッ⁉︎ …… でも、味見はありかも? と思うのはどれだ?
①焼かれた巨大 アルビノスパイダー。
②焼かれた巨大 九尾の白狐。
③焼かれた巨大 デーモン(人型)。
④焼かれた巨大 カニ。
P; ^ ェ^)ッ::____
なんか心理テストっ、ポイ ⁉︎
……まぁ、その四択なら、④のカニだな。③で、うまそうは勘弁してほしい。
______″′(  ̄_  ̄ ;K
心に蟹= 食材のイメージが染みついてるんだナ。
▽ 美味しい蟹モンスターの事例
『魔導具師ダリヤはうつむかない (甘岸久弥)』
> 227.鎧蟹と魔王
> 228.蟹刺しと蒸し蟹
> 229.蟹味噌と赤銅の熊
魔獣討伐専門の騎士団が、河原で宴会。
巨大蟹が討伐されて、解体されて料理されて酒盛り── と。くわしく楽しく描かれています。さらに、貴族の館へ蟹脚を届ける後日談あり。
『火炎嬢のいらだち(NOMAR様)』
> 九話『珍味、初めてのカニ鍋』
モンスターコレクションの世界観は、小説『蜘蛛の意吐』と関連作品に準拠しています。『火炎嬢……』は外伝のひとつです。
王都の魔術学院の十代の才媛が、魔獣の森をはじめて旅して、そこではじめて食べる魔獣が「グランドクラブ」の鍋。お味は……
■「信じられないくらい柔らかいお肉ね。食べやすくて滋味深い上品な味なのね」
■「もしかしたらグランドクラブとは、古代魔術文明で鍋用に開発された生物が野生化したものかもしれんのだ」
……… 雇った魔獣ハンターとそんな言葉を交わすくらい、魔物の蟹ナベは美味しかった。
○○○○
● おぞましい蟹モンスター
K〉仮面の忍者・赤影の怪獣「ざばみ」、小説「海の底」のレガリス…… 魅力的な蟹海老モンスターは存在します!
さらに、化物語の「重し蟹」──これなんかは人気シリーズの開幕を飾った!
前半、蟹モンの魅力について暴言を吐きましたが、あれはあくまで ………
P〉謝罪?? だれかと話してる?
K〉では、恐怖の蟹モンスターを語ろう(ころっ)。
P〉……おいしくハサミも食べられてしまう蟹は、恐怖や嫌悪や暴力の化身になれないんじゃあ?
K〉生きていたらね。
昔読んだラノベにねー、「死んだ甲殻類を踏んだ感触……… 」て描写があった(文言は不正確かも知らんよ)。もちろん、本物の死骸を踏んでいるんじゃない。
古代のあやしい廃墟を探索して。
わけわからない残骸の上へ足をのせて。
踏みこむたび、バリ(ずぼ)、ブチュ グチャっ………て。探索者の足裏に感触が伝わってくるんだ。
それを「死んだ甲殻類……」 と、ね。
気持ち悪い感じが伝わるだろ〜?
P〉そーだな!! (怒)
死んだ蟹なら、おぞましい化け物か(うーん)。
おい、まさか── 死霊の姫をアンデッドの巨大蟹に乗せたのはソレを狙ってる?
討伐の勇士が、蟹モンスターの上に乗り込んだら、意表をつくタイミングで甲羅がバリンして、ズボ ⁉︎
K〉あははは。
P〉否定しろよ。
K〉さて、今回の記事が「死んだ」蟹モンスターだったもうひとつの理由。
メインはこっちだ『 平家蟹 』!
海戦で滅んだ平家。その怨念が蟹の甲羅にうかんだという面相。── その昔、カール・セーガンも取り上げたけど、不気味な甲羅はインパクトある。
ちなみに妖怪・蟹坊主(化け蟹)も、人の顔が甲羅にうかんでいる。ヒゲ付き。
P〉ヒゲの情報はべつに………
海の怨霊→ 平家蟹、の連想か。腐りながら動く「死霊の」人面大蟹。
K〉人間の怨霊をからだに一族一軍規模で宿して、苦悶の顔を甲羅に刻んだ大蟹。ユニークなアンデットモンスターになるんじゃあ? と思った。
「おれたちは今、巨人の顔の上にいるんだぁ!!」
──甲羅に乗っかってからデスマスクに気づいて。
バリバリ、ズボ( ド・ぷん♪ )
ショックだろ?
P〉… それ、シリアスかな?




