一時間目『 黒コボルト(マッチョコボルト)』 【 写真付き】
黒コボルト(マッチョコボルト)⤵︎
「背中は黒毛なんだぜ」
コボルト(普通種)
■種別:下位の亜人型魔獣(犬頭の小人魔獣)
■主な出現地域:魔獣深森の浅い部分
■出現数と頻度:4.5頭の小さな群れ(多くて20頭程度)、頻繁
■サイズ:身長1メートル前後
■危険度:小
■知能:人間の子ども程度
■人間への反応:警戒〜 敵対
■登場エピソード:外伝「少女に恋した白毛龍」
* 「蜘蛛の意吐」本編に登場シーンはありませんが、登場人物の独白などにコボルトの名が何度も登場します。
(『農民が、コボルトもゴブリンも鎌と鍬で追い返すウィラーイン領』など )
■身体的特性とパワー
コボルトは犬の頭をもつ小人です。からだは茶色の体毛におおわれていて、尾が生えています。
魔獣深森の浅いところに小さな群れでくらし、独自の言葉をつかいます。臆病で簡単にすぐ逃げ出すので、人里を暴力的に襲うことはめったにありません。
石器の斧や槍、弓矢をつくるものの、それほど器用ではないので、よく人間から武器や道具類(ロープや袋、かごなど)を盗んでいます。
コボルトに対する辺境の人々の印象は、危険な敵というより、うっとおしい厄介者です。よくゴブリンやオークなどと共に名前が挙げられますが、コボルトによる主な被害は人間のスキをついた畑泥棒や家畜泥棒で、無人の山小屋や倉庫を荒らしたり旅人の持ち物を置き引きすることもあります。
子どもじみた好奇心や悪戯(悪ノリ?)で、カカシや標識を意味もなく壊したり、どこかに隠してしまうこともあります。
コボルトの強み?は、逃げ足と旺盛な繁殖力です。
人間が山野から駆逐しようとしても必ずどこかに隠れて生き残り、すぐに猛烈に数を増やします。まわりの土地から、ハグレ者や小さな群れのコボルトも流れ込んだりもします。
このため地方のコボルト対策は殲滅ではなく、ある程度は日ごろの害を許容し、適宜、間引いたり追い散らして数を押さえるかたちです。
魔物狩りのハンターも、コボルトは毛皮や肉に価値が無いので、領主が報奨金を出したときでもなければ、普段はわざわざ探して狩ろうとしません。
なお、「蜘蛛の意吐」の世界にはウェアウルフが存在します。
狼頭のウェアウルフと犬頭のコボルトですが、二種の魔獣は類縁関係ではなく、ウェアウルフが森のやや奥まった土地にくらすため、接触する機会もほとんど無いようです。
◎ コボルトの攻撃性
コボルトにとって、人間は怪力の巨漢です。
しかも、強い武器や怖ろしい魔術を使い、群れで戦おうとするため人間との出会いは恐怖そのものです。
しかし、『人間に対する強い敵意と攻撃性』という魔獣の特性を無くしたわけではなく、弱い人間(怪我人や病人、女子どもなど)には驚くほど嗜虐的にふるまいます。
森で負傷したハンターが運悪くコボルトに見つかり、嬲られる事件も時折発生します。
○ 狂奔する群れ(王種群のコボルト)
魔獣たちの中に、時折、王種と呼ばれる特殊な存在が生まれます。
王種があらわれると、地域全体で同種の魔獣が爆発的に増殖して凶暴で大きな群れを作られ、ときとして人間との衝突に備えるかのように、戦闘的な変異個体が生まれます。
コボルトも例外ではありません。
外伝「少女に恋した白毛龍」には、コボルトの王種に率いられた大群が登場し、森からあふれるほど増えると人間の街を襲って壊滅寸前にしました。
ふだんの性格から一変したコボルトたちは、下位のドラゴンにも凶暴な数の力を示しています。
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黒コボルト(マッチョ・コボルト)
■種別:犬頭の亜人型魔獣の筋力特化の亜種
■主な出現地域:魔獣深森の浅い部分
■出現数と頻度:4,5頭の小さな群れ 、まれ( 頻度は増加傾向 )
■サイズ:身長1.3〜1.5メートル
■危険度:小〜中
■知能:人間の子ども程度
■人間への反応:敵対
■登場エピソード:蜘蛛の意吐 第6部(報告のみ)
■身体的特性とパワー
黒コボルトは、マッチョ・コボルトとも呼ばれる筋力特化のコボルトです。『蜘蛛の意吐』本編の終盤近くに出現が報告されましたが、今のところ、具体的登場シーンは小説中にありません。
その名の通り、黒系と茶系の密な獣毛を生やし、普通種より大柄で骨太です。かたく盛り上がった筋肉で全身ごつごつしています。剣や短槍など武器もつかうものの、興奮すると噛みつきや頭突き、拳打の猛襲をみせます。
黒コボルトは小柄なコボルト系なので、ほかの上位の亜人型魔獣に比べ流と、依然として背丈は見劣りします。
しかし、あなどってスキを見せればフットワークを生かして急迫し、相手の懐ろに飛び込み、獰猛な闘犬さながらに暴れ狂います。
☆ NOMARさまより、最新の魔獣研究者のコメントを頂きました。
魔獣研究家・ルブセィラ女史
「黒コボルトは、マッチョオークと共に魔獣深森で目撃されたコボルトの変異種。従来のコボルトより背が高く筋力が優れているのが特長。
マッチョオーク、黒コボルトと強くなった魔獣が現れたのは、推測するにスピルードル王国の住人が強くなったから。ウィラーイン領をはじめ、ハンター、魔術師の対魔獣戦闘力が上がり、訓練場の普及から一般人の被害も減少しています。魔獣の目的は人の間引きと強化。このことを知るわずかな者にしか、森の異変は分からないことでしょう。
現に黒コボルト、マッチョオークは数を増やし、群れを作り、もはや変異種から亜種と認識しなおすべきです。王立魔獣研究院には黒コボルトとマッチョオークの危険度を改めるように伝えるとして、エルアーリュ王子への報告書にはなんと書くべきか……」




