九時限目 『 フライングスライム 』
フライングスライム
■種別:粘液型魔獣の亜種(野生化した人造生物?)
■主な出現地域:辺境の山野
■出現数と頻度:数匹〜十数匹/まれ
■サイズ:中型犬くらい。毛布や幕のように広がると人間の大人をつつめる。
■危険度:小〜中
■知能:なきに等しい
■人間への反応:捕食
■登場エピソード:
『蜘蛛の意吐・欄外スピンアウト集 』53、54話
「クインの頼みごと その1、その2」
( https://ncode.syosetu.com/n4627ff/53/ 、https://ncode.syosetu.com/n4627ff/54/ )
■身体的特性とパワー
フライングスライムは不定形モンスターのスライムの亜種です。スライム系では珍しく野外に適応して、地上の獲物に空中から襲いかかります。
粘土のような体の色は、原色混じりの薄茶や緑のマーブル。毒キノコのような斑らもみえます。
飛行は実際は「滑空」で、ふだん樹上や岩場にかくれていて、獲物を見つけると紙飛行機やグライダーのようにふわりと舞い降りてきます。
まだら模様に見えるものは気泡です。
浮游性のガスをたくわえて自重を相殺することで、羽ばたくことなく宙を舞い飛距離を伸ばします。
ガス量の操作で急降下も可能です。
フライングスライムは、獲物に不意におおいかぶさり窒息死させます。独自の移動方法のため大型化せず、絞め潰すパワーが足りないためです。
浮遊ガスは、抵抗する獲物の弱体化にも使われます。獲物をつつんだ空間の内へガスを解放して、強引に酸欠状態にしてしまうのです。
▷フライングスライムの拡散
フライングスライムは風に乗って移動するため、ふだんから予想外の場所に落ちてきます。
大発生のさい、特に警戒が必要です。
人間が不用意に火をつかって山火事を起こしたり、偶然強風や嵐にあうと、異常繁殖した個体が広範囲に無秩序にばらまかれてしまいます。
気がつくと、集落の水源のため池や井戸に入り込まれていたり、放牧中の家畜がいきなり襲われることがあります。
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★ルブセィラ先生の備忘録
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フライングスライムは滑空とガスの浮力を複合し、独自の移動方法で自然環境に進出しました。まさにこの移動法のために大型種が生まれず、個体の成長にも限界があるようです。
ただ、東の国には、うすく長くのびるからだをもち、空から人間を襲う怪物の伝承があります。
そいつはフスマ、あるいはイッタンと呼ぼれます。
とてつもなく貪欲な人食いで、ふだんは空のはるか高みにいます。長い長い絨毯のようなからだは信じられないほど大きく、どれほど叩かれても、貫かれても、斬られても、ものともしません。
ひとたび飢えに駆られると地上に降り、いちどきに数百の人や家畜をむさぼります。そのさい、山砦に何重にも巻きついて中の者の逃げ場を絶ったり。鉱山集落に一気に覆いかぶさって住人を食い尽くすといいます。
フライングスライムの超大型変異体というのはわたしの仮説です。過去には下位ドラゴンの亜種、コウモリ魔獣の大群という仮説も示されていますが、残念ながら、今のところどの説も(フライングスライム説も)具体的証拠を提示できていません。
オリジナルモンスターの登場回です。
……空を回転して舞うピザ生地がイメージソース、デス。
【 トークコーナー 】
K;  ̄ ▽ ̄)うひょー___
「スライム! 這い寄る不定形生物 !」
「『転生したら一度はなりたい』とちまたで評判!! 」
「人化ヒロインにペット、生ゴミ処理にと。知名度アップと万能ぶりに歯止めなしデス!!」
_____わけわからん ( ̄  ̄ ; P
「初心者に不親切な導入だね」
( あとなぜハイテンション )
「じゃあ、ちょっと長いけど── スライムの説明から」
(ワカッテルよ!とゆう人は読み飛ばしてね)
↓
_____コホン: ( ̄o  ̄; P
〉スライムは、架空の不定形生物だね。
生きている粘液、命をもったドロ粘土。手足も口もなく、からだには流れる血も骨も内臓もない。
〉アメーバ(アミーバ)という不定形の生き物は現実にいる… まぁ、水の中の単細胞の微生物なんだけど。
アメーバは、ぐにゃぐにゃしたからだの一部をのばしたもの(仮足)で動きまわって、獲物に触れると全身で包んでつかまえる。
目玉にもみえる『核』は遺伝情報をしまった内臓みたいなもので、アメーバに目や口、脳にあたるものはないんだ。
増えるときは全身がふたつに千切れる。
だから雌雄も親子も兄弟もない。ひとつの自分が、ふたつの小さな自分になるだけだからね。
__スマん、長かった( ̄  ̄;P
「さて、粘液怪物のスライムは、アメーバを人間を呑み込むくらい、スケールアップさせれば『だいたい』特徴が一致するね」
K; ̄ _ ̄)うむ____
「じつのところ、スライムは西洋文明でアメーバや粘菌が知られた後の、娯楽作品の創作物だ。神話や伝説にモチーフはない。
呼び名からして創作物由来。ブロブやプディング、ゼリーとよぶものや、作品に固有の呼称のときもある」
____だからかい?( ̄。 ̄;P
「最弱のザコから最強主人公キャラクターまで、どれだけバリエーションがあるかわからない」
K;  ̄ ▽ ̄)うほ____
「生物のはずが、液体金属でできたのもいるね」
「スライムの持ち味?は、ぐにゃぐにゃで前も後ろも、中身の構造も無いところだ。『蛇』は手足がなくて気味悪がられるけど…… スライムの得体の知れなさは格別!」
「あえて脱線すると( P:おい⁉︎ )、するとだ。
変幻自在の液体金属ターミネーター、Tー1000なんかスライム風味いっぱい。どれだけ撃たれても平気。粉々に飛び散ったら、雫が床を転がって再集合する不死身ぶりだ。
薄暗い場所で床に一体化した擬態。からの、襲撃のシーンなんかもー。
\\ スライム!!// って感じ」
____☁︎•・(ーー ; P
「……… あの殺人マシーンの元ネタは、たしかスライムじゃなく『寄
K; ̄ ▽ ̄)」ねるねる ♪
「クトゥルフ神話のショゴス(代表)! 」
「幻想怪奇小説に描かれた不定形モンスターたちは不気味で圧倒的! 切っても殴っても潰しても平気で、カケラからでも再生増殖。どこまでも大きくなって押し寄せてくるんだ──
絶対の脅威、それがスライム!」
「だから、ね。
不定形の理不尽生物が『所詮ザコ』とか『酸や不意打ちに気をつければ怖くないサ』とかもったいない!
丸みえの核が急所ッて、それは無いでしょう!」
__ 強調するなぁ (ーー;P
「まぁ、たぶん、熱意?は伝わったよ」
「ザコスライムはイヤだ。味方スライム、ヒーロースライムにも不満があるってことだね、不気味じゃないし。
それじゃあ今回、作者NOMAR様に提案して、街に迫る脅威に採用された『フライングスライム』は理想?の怖スライム…」
______! (⌒▽ ⌒ ;K
「ザコな亜種スライムです」
「ド新米ハンターでもなければプシュプシュとヤれます!」
___ (T_ T ;P
「……今までの話の流れはなんなの?」




