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湯けむり温泉郷【2】岩風呂


「さあ、お待ちかねの温泉だ!準備を!」


 ラヴェイドの声が響くと同時に、周囲から「は~い」と弾んだ声があがり、女達が一斉に動き出した。俺と脚王の膳を1分も掛からず片付けると、先ほど洗ってくれた二人が両脇に立って、俺の腕を引いて歩き出す。今の今まで不機嫌そうにしていた彼女達は、ほんのりと頬を紅く染めてとても嬉しそうに微笑んでいる。


 再び舟に乗り、湖を渡って『冬』の建物に戻ると、どうやって先回りしたのか分からないが、女達が三つ指を立てて出迎えてくれた。脚王がその中心を真っ直ぐに進んでいくと、次々と襖が開いて奥へと続く通路が出来た。ラヴェイドの後に続いてしばらく歩くと、建物がきれて広く開けた中庭に出た。


「温泉はこの奥だ。家族風呂だから過度な期待はするなよ。家族と俺が入るといっぱいになってしまう程の大きさしかない」


「いやいや、気にしないでくれ。露天風呂なのか?」


「もちろんだ。すぐにわかる」


 その言葉も終わらぬうちに前方に湯けむりが現れ、その向こうにはゴツゴツした岩肌が見え隠れする。もしかして岩風呂?俺は胸が高鳴るのを隠せなかった。


 しかし、脱衣場みたいな建物はない。まあ、家族風呂って言ってたし、必要ないのだろうな・・・と考えていると、ようやく岩風呂の全貌が見えて来た。


「なんだ?小さいようなこと言ってたが、めちゃデカイじゃないか。ちょっとした池だぞ、こりゃ!」


 俺の目の前には大きな岩がガツガツ飛び出る、天然の岩風呂がかなり奥まで続いていた。湯けむりが凄くて全てまでは見えないが、かなりの広さだと分かる。過度な期待はするなとか言って謙遜するのも嫌味な程に大きく、日本に存在するどの岩風呂より立派なものだった。


「わお~!すっげ~!!」


 俺は子どものようにはしゃぎ、湯に向かって走り出そうとしたが、手をむんずと掴まれ制止した。


「待て、待て、そう速るな。まずは家族を紹介しよう」


 すると、湯けむりの中から白い長襦袢を着た女性がゆっくりと歩み出て来た。家族風呂だから家族が居ても不思議じゃないが、初対面で同じ風呂に入るとか恥ずかしいじゃないかと少し照れていると、「まずは妻達から紹介しよう。右からミヨム、ラナ、ティア、レイ、アフロディア、カレン、ルシア、テテ、クロイ、アリア・・・」と名前を連ねていく。


「ま、待て、待ってくれ。ここにいる全員が家族?」


「そうだが、どうかしたか?」


 俺の目の前は、湯けむりの中から次々と現れた女達で溢れかえっていた。いったい何人いるというのだ?まかさ俺を出迎えてくれた60名近くいた女性全てとは言わないだろうな?一夫多妻にしても限度がある。


「今日来ているのはほんの少しだが、ここにいる全員が我の家族だ」


「脚王、アンタ何人家族がいるんだ?」


「173人の妻に娘が479、息子が1128だ。

一族に女は少ないが、皆容姿端麗で可愛いぞ。妻や娘達は特にな。お前もそう思うだろう?」


「ああ、確かに皆さん綺麗だよ。でもアンタがそんな大家族だとは思いもしなかった。確か、ゆかりに求愛してフラレたとか言ってなかったか?」


「その通りだ。たとえ短き命でも妻に向かえ愛でてやろうと思っていたのだが残念なことをした」


「奥さんが173人もいるのに、まだ欲しかったのか!」


 ゆかりを汚されたような気分になり、思わず怒気を含んだ強い口調になるのを抑えきれなかった。


「おかしな事を言う奴だ。当たり前ではないか。妻は何人いても良いものだぞ?」


 文化の違いってヤツか?全く悪びれる影もない。


「一夫多妻ってのは魔族では当たり前なのか?」


「そうだな。ほとんどがそうだが、天狗と蛇、それに鳥の奴は一夫に一妻だ」


 羊は?と聞きたかったが、3種族以外がそうならメリーサの一族もそうなのだろう。はっきり言われるとショックが大きいので質問するのはやめた。過去の歴史を振り返れば、日本もそうだったし、中東では今でもそうだ。俺は怒りの矛先をなくして、文化の違いによる価値観の差を痛感した。


「なんだ?急に元気を無くしてどうした?」


「いや、何でもない。気にしないでくれ」


「顔の傷が痛むのか?いかんな。直ぐに湯に入ろう」


 脚王は妻や娘たちに命じ、俺の衣服を脱がさせると湯に入れと誘った。紹介の途中で口を挟んだので、妻のひとりなのか娘なのか分からないが、俺を屋敷で洗ってくれた二人に手を引かれて湯殿に足を入れる。


 熱過ぎず、ぬる過ぎず丁度いい湯加減だ。

中央にある島のようなところまで湯の中を歩き、背もたれに丁度よさそうな岩を見つけて腰を下ろすと肩まで浸かった。脚王も程よい距離を保ちながら適当な岩の袂で湯に漬かる。女性がわんさと出てきた時は嫌な予感がしたが、心配したような事はなく、エッチな雰囲気にもならずに皆がそれぞれに湯を楽しんでいる。


 考えてみれば、ここには家長である脚王がいるのだ。女達が俺を襲って来るような想像をした自分が恥ずかしくなって来て、口数が極端に少なくなっていた。


 先程の傷に対する気遣いや、料理のおもてなし。もしかしてこれも天涯孤独で家族などない俺を不敏に思い、家族団欒の場に招待してくれただけなのかもしれない。


 出会った時はイケ好かないキザ耳男と嫌ったが、この男の事をよく知らなかっただけで、本当はいいヤツなのかもしれない。俺は徐々にではあるが、脚王に心を開きつつある自分を感じていた。


 俺には脚王に聞かねばならない事がある。あの料理は本物を知らねば再現不能な程に完璧すぎた。たとえ秘密でろうと、その理由を聞き出すまでは帰るに帰れない。さて、どのように話を切り出そうかと思案していると、脚王の方から話を振ってくれた。


「料理の事がよほど気になるようだな?」


「ああ、そりゃあ気になるさ。あの味は俺の祖国で食べた日本懐石とあまりにも似すぎている。作法までがとなると偶然の一致などとは考えられない」


 俺の話を腕組みしながら聞いていた脚王は、俺の目を見据えニヤリと笑った。


「しかしな、あれは全て我の仕込みによるものなのだ」


「な!? それはあり得ない。あの味をオリジナルだと言うつもりか?」


「いや。オリジナルではない」


「では誰かに習ったのか?」


「それも違う。誰も習っておらぬ。独学だ」


 訳が分からない。オリジナルでもなく習ってもいないのなら、他に何があるというのだ?まさか、からかっているのか?


「これは大魔王ゾーダすらも知らぬ我一族最大の秘密だ。本来ならば、一族の長に選ばれた者にのみ知り得る最大の秘密なのだ。これを知るからにはお前にもそれなりの覚悟が必要となるが、それでも聞きたいか?」


「それなりの覚悟とはどんな覚悟だ?」


「聞けばお前と我は共通の秘密を持つ事となる。つまりは運命共同体となり、共に秘密を守る役目を負う義務が生まれるという事だ」


「遠回しに言わなくていい。この手の話が行き着くところはだいたい予想がつく。俺に何をさせたい?何を求めるんだ?」


「そうか?ならば結論から言おう。我の娘と契り、我の息子となれ。一族の者ならば秘密も明かせよう」


 やはりそう来たか。一族最大の秘密とか運命共同体とか言い出せば最後はこう来ると思っていた。ならば俺の答えは決まっている。確かに先ほどの料理や脚王の趣味とやらが日本文化に酷似している謎には興味があるが、ゆかりやメリーサを裏切っていい理由にはならない。即答でNOだ!


「いや、それは出来ない。俺はもう妻がいるんだ」


「羊の事か?それは我も知っているが、それが何だというのだ?まさか、妻はひとりだと言うつもりか?それはおかしいな。お前は蛇王とも約束をしているのだろ?あの気位の高い蛇女がベッタリとくっついて祝宴の最中も片時も離れようとしなかったからな。蛇王付きの女衆が婿殿と呼んでいたのを我は知っているのだ」


 くくく、と笑う脚王はさらに続けた。


「蛇王とはまだ契りを交わしておらぬようだが、お前もなかなかに手が早い。羊とは婚儀を済ませておるようだし、子種も与えたのだろ?今まで浮いた噂ひとつなかった羊娘が、もうお前にメロメロだ。どうやったら目覚めてすぐ二人をモノに出来るのか、我にも教えて欲しいくらいだ」


「それは、ゆかりとの約束があったからだ。彼女達を口説いた訳じゃない。召喚される前に、既に決まっていた事なんだ」


「ほう。召喚前に決まっていた?あの二人は暗黒のイヴとどんな約束をしていたというのだ?」


「それは、ゆかりが精神界で、二人と・・・」


 おかしい。

 なぜ俺は、にこんな重要な事をペラペラと喋る?


「二人と?二人とどんな話をした?」


「二人と・・・計画に・・・」


「計画?計画に協力するのを条件に子種を提供すると約束したのか?そうだな?どんな計画だ?イヴが持ち掛けた計画とはどんな内容だ?話せ!」


 視界が霞み、思考を保てない・・・

 こいつは・・・催眠術!?


 ラヴェイドの眼光が更に鋭く光る。

赤みがかった瞳は、今やそれと分かる程に強く輝き、俺の精神を急速に侵食して行く。ヤバい!これは罠だ!!


「それは・・・話せ・・ない・・」


「そうか。秘密という事か。ならば我の秘密を少し話してやろう。交換条件といこうじゃないか。我がお前の祖国と同じ食事を用意出来たのは、我がお前の世界に行った事があるからだ」


「ばかな・・・」


「大魔王も知らぬ秘密とは、我国には異世界とを結ぶゲートが存在しているという事だ。好きなとき好きな場所へ自由に往き来できる。お前が行った事もある赤坂の高級料亭にも我は何度か行った事があるぞ。そこで作法や味を知ったのだ」


「ゲートだ・・と? 嘘だ・・・そんな簡単に行き来できるはずがない。ゆかりが命を掛けても出来なかったの事なのに・・・」


「さあ、交換条件だ。我は秘密を教えてやったぞ。お前の秘密を話せ。計画とはなんだ?」


「知ら・・ない・・俺は・・詳し・く・知らさ・れ」


「知らない訳がなかろう。さあ話せ」


「本当・だ・・俺・は・知ら・ない・・」


「ええい、クソ! なんで異世界人ってヤツはこうも術の効きが悪いのだ! こうなれば仕方がない!」


 ラヴェイドは俺から視線を離し立ち上がった。

途端、どっと疲れが押し寄せ、あまりの脱力感に体が思うように動かない。が、思考ははっきりとして来た。ゼイゼイと荒く息を吐きながら脚王を睨み付ける。


「俺を・・ハメや・がった・な!」


「もう口がきけるのか?異世界人とは凄いものだな。それともお前が特別なのか?どちらにしても術が効かぬからにはアレを使うしかない。出来れば良好な関係を築きたかったが、まこと世はうまく行かぬものだ。残念だがお前との話もこれが最後になる」


「何をする・気だ。殺す・のか!」


「殺しはせんよ。貴重な異世界人だ。だが魂は入れ換えさせてもらう」


「なん・だと!? どういう・意味だ!」


 脚王は俺の問いには答えず、女性達に向かって名を叫ぶ。一人のとびきり美しい女性がまるで忍者のようにスッと現れ、ラヴェイドの隣に寄り添った。


「あなた。アレを使うのですか?ではアレンは・・」


「仕方があるまい。我とて息子の姿が変わってしまうのは心苦しい。だが死ぬ訳ではないのだ」


「他の者では駄目なのですか?アレンはあなたの後を継ぐ一族最強の戦士。次期当主になるべき逸材ですのに」


「だからこそだ。薬はひとつしかない。絶対に失敗は赦されないのだ。最強の戦士を当てたとしても賭けである事にかわりはない。ならば一番成功率が高い者に託すしかないではないか。我はアレンならば必ず成功させるものと信じている」


 意識ははっきりして来た。だが、体の動きが鈍い。


「何の話をしてやがる。アレンとやらと俺の魂を交換するつもりなのか!だが残念だったな。俺はこの体から出て行ってやるつもりはないし、兎なんかにもなりたくねぇ!」


 俺はなんとか脱力感を制し、ふらふらではあるが岩につかまって這い登るように湯から立ち上がった。これ以上湯に浸かっていたら、術に掛けられていようがいまいがのぼせてしまう。


「安心しろ。お前が我らと同じ姿になる事はない。息子の魂をお前の魂の上から上書きするのだ。お前はアレンの深層意識の中に閉じ込められ、二度と表に出て来る事はない。何年かすればアレンの魂にのみこまれ完全に消えるだろう」


「バカ野郎が!そんな事させねぇ。俺は死ぬ訳には行かないんだ。アレンとやらの魂が入り込んできたら逆に俺が食ってやる。上書きとかアホなこと抜かしてると、痛い目をみるのはてめぇらの方だぞ。俺をナメんじゃねぇ!」


 俺は精一杯の虚勢を張り、ラヴェイドに向かって吠えた。自信がある訳ではないが、たとえどんな状態になろうと俺は絶対に生き延びなければならない。いまだいうことを聞かぬ体にムチを打ちながらラヴェイドと対峙する。


「威勢がいいのは誉めてやるが、体がついて来ないようだな。あれだけたっぷりと幻惑茸を喰わしたのに、たいした精神力だ。だがそろそろ限界が来るぞ。下半身が熱いだろう?」


 ラヴェイドの言う通り、こんな状況だというのに俺の下半身は元気に立ち上がっていた。ヤバいくらいにギンギンに脹らみ、足に力が全く入らない。こういう展開はもう充分だ。たのむから他でやってくれ!


「プランDだ。予定通りヤツを骨抜きにしろ。

ついでに子種も貰っておけ。アレンがその体を手に入れたとしても魂力が弱まるからな。最強の遺伝子を手に入れるチャンスはたぶん今日が最後だ」


 寄り添っている女性に向かうとラヴェイドは続けた。


「奥の衆は麗々、お前が仕切れ。我は儀式の準備をする。今日の人選はお前に任せてあったが、首尾は大丈夫だろうな?」


「はい。今日に備え一番妊娠しやすい子達を集めました。交わればかなりの確率で子を孕むでしょう。しかし、人間ごときでこの人数に行き渡るでしょうか?」


「そんな事はわからん。しかし、だからこそのアホロ茸だ。幻惑茸に混ぜて貴重な精力茸をあれだけ食わせれば普通は正気ではいられん。盛りのついた犬のように頭の中はそれしか考えられなくなるはずなのだ。あいつは必死に理性を保とうとしているようだが、それも時間の問題だろうさ」


 ラヴェイドの言葉に女が続く


「はい。わたくし達の手にかかれば2分ともたず理性はなくなるでしょう。アレンの体になるならヤり過ぎて殺してしまう訳にも行きませんが、ギリギリまで搾り取らせて貰います」


「頼むぞ麗々。少しでも理性が残っていると儀式の妨げになる。アレンの為にも頑張ってくれ」


「はい。理性の欠片も残しませんとも!」


「ちなみに、お前も参加するのか?」


「あら、妬いて下さるのですか?」


 ふふふと笑いながら、女はラヴェイドの胸に頬を寄せた。


「それはそうだろう。お前は正室だ。他の者とは違うのだ。もちろん他の者達がどうなってもいいなどと微塵も思っておらぬが、愛する妻の子宮を他の男に許すなど、いくら一族の為とは言え身を切る思いなのだよ」


「大丈夫ですよ、あなた。わたくしもこの子達も誰ひとりあなたの気持ちを疑う者などいません。わたくし達はあなたの妻と娘です。一族の為、立派に義務を果たしましょう」


 ひしと抱き合う二人。

美しき夫婦愛と言いたいところだが、内容は真逆だ。妻や娘を一族の為とは言え、大義名分をつけて生け贄に捧げるようなヤツにろくな奴はいねぇ。ただしこの場合、贄になるのは俺な訳だが・・・


「では任せたぞ。4時間、いや3時間で準備を整えて戻る」


 そう言い残し、脚王は赤い月が煌々と輝く夜空にジャンプし、あっという間に彼方に消えた。しばらく夫を見送るように脚王が消えた夜空を見上げていた彼女達は、俺に向き直るとニヤリと妖艶な笑みを浮かべた。


「あの人の気配は消えたわ。これで心置き無く楽しめる」


 亭主が聞いたら卒倒しそうなセリフを吐いて、麗々はゆっくりと俺に向かって歩き出す。長襦袢の腰ひもを解くとサラリと布がはだけ、真っ白な肌と形のよい双毬が剥き出しになった。


「やめろ!一族の為に犠牲になる事はないだろう?愛する旦那さまが悲しむぞ!」


 俺は無駄とは知りつつも、彼女らの良心に訴えかけた。


「あなた先程の会話を聞いていなかったの?これは公認の事なのよ。それにここに集まった子達は、誰ひとりとして犠牲だなんてこれっぽっちも思ってないわ」


 麗々が言うと同時に全員が一斉に裸になった。俺を囲むようにゆっくりと間を狭め、逃げ場を塞ぐ。先頭に立つ麗々は、もう手を伸ばせば届きそうな距離にまで迫って来ていた。俺は重い足を無理やりに動かし、唯一包囲されていない岩場の上へと逃げ出す。


「そっちに行ったわよ。凛々!蘭々!」


「「はい。お母様!!」」


 待ってましたとばかりに両サイドの岩影から二人が飛び出し、俺の腕を背後から逆手に捕る。抵抗する間もなく簡単に組みしだかれた俺は、岩肌に膝をつき頭を押さえ込まれた前屈姿勢のまま、身動きひとつ取れずに捕まってしまった。


「クソ!放しやがれ。こんな事をして只で済むと思うなよ!」


「まあ、下品な物言いですこと。

観念なさいな。ここからは逃げられないわよ」


 ホッホッホと一斉に高笑いをする女達。


 女怖ぇ~!なんだかトラウマになりそうだ。

まあ、それも生きて帰れたらの話しだが・・・


 俺は突破口を捜し必死に頭を転らすが、今すぐゆかりとのリンクを回復させる事以外何も浮かばず、祈るようにシステム起動キーワードを連続詠唱してみた。しかし、復活の兆しもないままに仰向きに押さえ付けられ、いよいよ最後の時を迎えようとしている。


 妖艶な笑みを浮かべ、俺の上に跨がる麗々。

互いに裸だ。その先で起る行為が簡単に想像できた。





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