最初の奇跡
その昔先人達は、徳を積むことで来世幸せになれると考えていたとか
進路担当からの連絡で
俺は再びこの場所にやって来た
沢山の不採用をうけた会社の一つ
の向かいにそびえ立つ
大東物産
最初は耳を疑った
進路担当の話では是非とも採用したいとのことで
形式だけでも面接を受けてほしいとのことだった
俺は救急車呼んだくらいなんだがな
受け付けも立派でまさに一流企業
場違いを自覚しつつ
呼ばれている側と言う
優越感を少し覚えながら
部屋へと案内された
「お待ちしておりました」
その節望月と名乗り
有無を言わさず連絡先を聞き出した彼女だが
会社では猫をかぶっているようだった
「お陰様で会長も日に日に回復しております。
くれぐれも宜しくお伝えくださいとのことでした」
「そんな大したことはしてませんから」
「それで今日は…」
「はい、お伝えした通り
あなたをわが社に迎えたいのです。
これは会長の一存でして」
いよいよ現実的になってきたな
言われて実感する
「はあ…」
「命の恩人であること
その恩人が就活で苦労していること
これは当然の流れかとおもいますが」
なぜバレた
まあこれだけの企業ならわけもないか
しかしあまりに話が上手すぎる
「質問いいですか?」
「どうぞ」
「まず自分のような三流大学の人間が入社したことは?」
「ございません。書類選考を通過できませんし
そもそも受けるかたもおりません」
やっぱり
上手すぎる
疑いが確信へと変わっていく
「先程、会長の一存といわれましたが
他の重役の方はなんと?」
「社長含め議題にする価値のないことかと」
価値もなしとは…
さすが大企業様
「少し調べましたが、周りはエリートばかり
会長はいったい何を期待しているのでしょう?」
「じゃあもう正直に言うわね」
口調が変わった!?
「わが社が野球球団を買収したニュースは知ってるかしら」
そういえばそんなニュースやっていたな