看板の下
時期は違うのですが、トラックの消えた道で、もう一つおかしな事がありました。
勤務地から車で国道を県境へ向かって進む時に、田畑が広がる田園地帯の中を進んでいくのですが、所々車向けの大きな立て看板を立ててあります。
立て看板自体は珍しくもなんともないのですが、ある日その立て看板の下に作業服を着た中年男性が立っていました。
人が出歩くにしては結構遅い時間でしたし、その男性がなぜかこちらを見て笑っているようで正直不気味でした。
その笑い顔も何かを貼り付けたような不思議な表情でした。
まあ車で通過してしまえば一瞬の事ですし、気にしなければそれで終わりだと思い、そのまま先を急ぎました。
これで終わっていれば、不気味な人がいたなという事で終わるのですが、そうではありませんでした。
10数分後別の立て看板の下に同じ人がいたのです。
背格好も同じ。あの貼り付けたような不思議な笑いも同じ。
同一人物なら私の車より速く移動して先回りしなければなりませんし、そんな事をする意味が分かりません。
あの人物を見たのはあの日限りでしたが、本当に不可解な出来事でした。