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re:re
人間の感情はぶらつきます醜いです苦しいです
「ごめんね」
いつだって俺の記憶はそこから初まる。
訳のわからない表情をした女。そいつは俺の胸を突き離しながらそういったのだ。
重力というものを、これ程までに人生で実感したことがあっただろうか。 自分の力など、地球の前ではないに等しいものだと知った。
ものすごいスピードで女の姿が遠くなる。いや、なっていた。
永遠のような時間は一瞬で終わる。
布団に飛び込むような感覚で、俺は自分の身体が崩れていくのを身を持って体感した。
人の体は水分で殆ど構成されているんだなぁ、 そんな音や感触諸々が、五感に訴えかけていた。
……俺はーー 一体何が最後だったのかが今だにわからない。