プロローグ
僕には好きな人がいる。
ひとつ年上の先輩。
名前は楓。
容姿端麗、成績優秀、スポーツ万能。
どう考えても僕にとっては高嶺の花だ。
でも、思ってるだけなら悪くはないだろう。
僕は誰にもこの気持ちを打ち明けることなく過ごしていく。
そう思っていた。
私には好きな人がいる。
名前は葵。
ひとつ年上の先輩で私の友達はあまりかっこよくないって言うけど、でも私は好き。
先輩が優しいところも、不器用なところも、鈍感なところも、役に立たないようなことばっかり知っているところも、私は知っているから。
先輩は私のことじゃなくて、私のお姉ちゃんのことが好きなことも、知ってる……。
ずっと、これから先、何があっても。
この気持ちを先輩には伝えられない。
そう、確信した。
私には大切で大好きな妹がいる。
名前は紅葉。
二つ年下の天真爛漫で可愛くて、しっかり者。
いつも一生懸命で、優しい妹のことを私は誇らしく思うし、大切に思う。
そんな妹に最近好きな人ができたらしい。
なぜだか私に相談してくれないけど、態度を見れば誰が好きなのかくらいわかっちゃう。
なんたってお姉ちゃんだからね。
さて、可愛い妹のために一肌脱いであげようかな。
不器用で可愛い妹のために私は彼と接するようになった。
この話はきちんと完結させる予定(笑)