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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
ハルモネイア → 感情の芽生え?
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パステルクラッシャー襲来

「ところで、なんで河上はここに?」


 ふと、疑問に思ったので王利は聞いてみた。

 すると河上は頭を掻きながら困った顔をする。


「いや、この辺りでパステルクラッシャーが暴れるみたいな情報があってな。折角こっちに来たのにガセネタだったのかもしれないな。もう一時間近くもここで張ってるんだけど見当たらないんだよな。あ、一応他の仲間もこの駅内に居るぞ。散開して情報収集中なんだ」


 どうでもいい情報だったが、ここではうかつに変身できないことがわかっただけでもいい情報だった。

 王利は真由にそんな視線を向けると、真由もバツの悪そうな顔で見合わせる。

 王利さん、今日は戦力外ですねといったアイコンタクトをされた気がした王利だった。


「ま、もうしばらく待って何もないようなら学校戻っかな。学校の方でも緊急事態起こってんだよ。俺が行ったとこでどうなるってもんでもないけどさ」


「よくわからんが、緊急事態なら一人でも多く問題に当った方がいいんじゃないか?」


「だよな。よし、じゃあ俺これから学校に……」


 と、河上が帰ろうとした時だった。

 突然、構内から悲鳴が上がった。

 何事かと見てみれば、赤タイツの戦闘員が数体、女性のスカートを捲っている。


 余りの出来事に、王利たちは呆然とその光景に見入ってしまった。

 青のストライプに紫のショーツ。赤いTバックにブラックショーツが一斉に咲き乱れる。

 王利は思わず脳内シャッターを激写。深層心理にその光景をしっかりと焼き付けた。

 くまさんぱんつはなかったが、ぺんぎんぱんつを見れた。思わず拳を握った王利には、誰も気付かなかった。


「クソッ、パステルクラッシャーの奴らまた……ッ!」


「え? あれがパステルクラッシャー!?」


 まさかの衝撃に思わず声に出す王利。

 同業者がただのスカートめくり集団と知らされた彼の心境には凄まじい恥辱が湧きあがった。

 あれは、奴らは秘密結社の風上にもおけない。

 あまりにパステルクラッシャーが行う悪行が子供過ぎて、王利の琴線に触れたらしい。


「正義ッ! 執行ッ! ジャスティスセイバーッ!!」


 突然走りだした河上が光に包まれる。

 光が収まる頃には、彼の姿は欠片も無くなり、代わりに赤いスーツに身を包んだ正義のヒーローが出現していた。


「ロードセイバー!」


 河上、いやジャスティスセイバーが声高に叫ぶと、彼の手元に構成される大剣。

 刀身はビームらしく、峰部分がビームの側面と上下を覆った変わった武器である。

 そんな剣を携え、戦闘員の一人に剣を振る。

 ベキリ。と剣が折れ曲がり、頭にこぶを作った戦闘員が頭を振って痛そうにしていた。


「あ、あのさ、真由、あれ……脆くないか?」


「あ、はは。マジですね……あんな武器だなんて聞いてないですよ」


 真由も知らなかった役立たず武器に、思わず王利はため息を吐いていた。

 あれは正義のヒーローじゃない。ただのなんちゃってヒーローだ。


「あー、ちょっと手伝ってきますわ……」


 疲れた表情で真由が片手を上げる。


「ああ。任せる。ついでにほたるんも連れてくか?」


「そうですねー。じゃあほたるんも手伝ってください。おそらく戦闘員だけでなく怪人がどっかにいるはずなので、それを倒しちゃえば撤退してくれるはずです。普通の秘密結社と同じでしたら」


「了解しました」


 ほたるんと真由がパステルクラッシャー戦闘員へと走り出す。

 ヘスティの護衛が居なくなったので、王利はハルモネイアに護衛を頼むことにした。

 ただ頼むだけだと了承されるかわからなかったので、感情を得る為の行為だと偽っておく。

 これでヘスティは安全だろう。と王利は納得して立ち上がる。


「どこ、行くデス?」


「ああ。このままここに居ても巻き添え食うしな。ちょっと収まるまで外でてようかと」


「あ、ではワタシも行きマス」


 結局、ヘスティとハルモネイアを引き連れ、王利は駅の外へと向うのだった。


「あの、アレも秘密結社仲間……なのデスか?」


「ああ、らしいな。俺としちゃアレと同じ穴の狢かと思うとちょっと……な」


「確かに。余り褒められたモノではないようデス」


 スカート捲りは……なぁ。と王利とヘスティは互いにため息を吐く。

 そして駅への入り口から外へ出た所だった。

 噴水付近を中心に、十数体のパステルクラッシャー戦闘員。そして、ジャスティスレンジャーの目的、怪人の姿も存在していた。

 残念ながら正義のヒーローは誰も来ていない。


「あ、あの……王利サン。あれは……」


「ああ、うん。見るに堪えないな」


 そこに居た怪人、ブリーフ男に、王利たちは脱力するしかなかった。

 まさか、身体がブリーフ、白い男性用パンツで構成された怪人が存在するなど、余りの悲劇に王利たちはただただ同情に耐えない涙を流す。

 哀れ過ぎる怪人は、自身の恥を気にすることなく周囲の戦闘員に指示を飛ばしている。

 そして、その視線が王利たちを取らえた。

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