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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
ロボ → 美少女?
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ハルモネイア

「いらっしゃい。人間さ……?」


 管理室で待っていたのは、一人の少女だった。

 否、機械でできた人形のパーツを組み合わせたような身体を持つ顔だけは人間のそれを真似た少女。

 幼い容姿は年の頃十代前半といった姿だろうか。


 人間を元にしたのか顔のつくりだけは精巧で、肌も人工皮膚が使われているようだ。

 ただ、首から下は白く輝くメタリックボディ。関節部が人形よろしく可動式になっていて、一著前にゴシックロリータの服を着こんでいる。ついでに黒の眼帯付き。


 どこのコスプレ少女? というのが王利の第一印象だった。

 なにせ、ウサギのぬいぐるみをむんずと掴んで王利たちを待ちかまえていたのだから。

 そんな少女がいる管理室は、少女の背後に器材が設置され、無数の画面が要所の画像を映し出している。


 この管理室は建物全体の異常を調べ、異常があれば即座に対応するための場所。

 監視するためにそこかしこに隠しカメラが存在している。

 そのカメラから写される映像がこの部屋の画面に写されているのだった。


 そのうちのいくつかはお子様に見せられない光景が映っていたりするのだが、画面たちの端の方なので、王利たちはそちらを視界に入れないようにしながら目の前の少女を見る。

 その少女の姿は、見知っていた。


 資料室で見つけた資料に書かれていたLRレゾンロリアス320091。通称【ハルモネイア】だ。

 彼女の設計図をほたるんに見せて貰ったので容姿を知っていたのだ。

 ちなみに、資料を完全に頭に叩き込んだほたるんは、壁に向って目から怪光線を放出し、記憶映像を転写して見せてくれたのだが、その人間映写機のようなほたるんの姿は、ヘスティには引かれていた。

 王利に言わせればヘスティも口から怪光線を出すビックリ生物なので似たり寄ったりなのだが、それはヘスティには知らされる事はないだろう。


 少女、ことハルモネイアは入ってきた王利たちを眼を見開いて観察し、人間という言葉を飲み込んでいた。

 そのまま微動だにしなくなりしばらく。

 突然再起動して王利たちに歩み寄る。


「該当データ……NODATE。DNA情報……取得失敗。RNA情報……取得失敗。当機はマザーに指示を窺います。エラー。マザーとの通信が出来ません。回線が切れています。一階の通信施設に異常あり。復旧を開始……失敗。再試行……失敗。復旧は不可と判断します。通信を断念します。これより独自行動に移行します。該当人物のスキャンを開始します」


 突然口早に喋り出したハルモネイアは、王利に目を向ける。

 その瞬間、王利は悪寒を感じて即座に横へと飛んだ。

 刹那、王利の居た空間向けてハルモネイアの目から赤光が一直線に飛ぶ。


「該当人物のスキャンに失敗しました。動かないでください。もう一度試行致します」


 言うが早いか、顔を王利に向けるハルモネイア。

 なんとか避けるが、それでもハルモネイアの行動は止まらない。


「王利さん、一度撤退を! あの光線、下手に喰らえば穴開くかもですよ!」


 さすがに無いと信じたい王利だったが、自分の装甲を破るモノがあるとすれば、面の攻撃よりも線の攻撃だということは理解していたため、慌てて撤退を考える。

 しかし、相手の動きは視線をこちらに向けるだけ。


 下手に逃走に徹すれば確実に喰らう。

 かといって攻撃するには距離が空き過ぎている。

 第一この部屋は王利たちが闘うには狭すぎる。

 となれば、方法は一つしかなかった。


「第四世界に飛ぶぞ!」


「え? ちょ、王利さ……」


 王利の行動に驚くバグリベルレ。反撃でも行おうとしていた矢先に王利が動いてしまったらしく、出鼻をくじかれたバグリベルレは踏み込んだ足を王利に向けて手を伸ばしたところで、王利の身体から溢れる光に巻き込まれた。


 それだけではない。少し離れた場所に居たヘスティも、そしてほたるんも。

 王利の光に飲み込まれ、光が部屋を覆い尽くす。

 そして、光が収まった管理室には、動くものは皆無となっていた。


 少し遅れ、管理室に踏み込んでくる複数の足音。

 黒い光沢のある巨大な身体を半開きの扉に押し付け入ってきたバグカブトは、部屋の主を探し忙しなく周囲を見回す。

 しかし、誰もいない管理室に首を捻って後ろの仲間に部屋に入るよう促した。


「解放した人間たちの証言ではここにハルモネイアという自動人形がいるはずだが?」


「でも、誰もいないみたいよ? 王利君たちも居ないし……どこにいったのかしらね」


「ふむ。とりあえずまずはこの施設の征圧に乗りだすべきだろう。この辺りは私とエルティアが受け持とう。お前たちはW・Bを探しつつ上に行くがよい」


 一瞬遅く踏み込んだ彼らは、王利たちと出会うことなく屋上目指し動き出すのだった。

 バグソルジャーの面々が博士と共に向ったのを確認し、首領は残っていたエルティアに振り向く。


「どうやら、また元の世界に戻ったようだなあのバカは」


「え? そうなのですか?」


「本来居るはずのクレストガーディアンだったか? ソレの残骸があっただろう。そしてこの管理室の主は姿が見当たらない。となれば、何処へ消えたのだろうな? W・Bの転移に巻き込まれれば、突然居なくなった理由に説明もつこう」


「なるほど。では葉奈さんたちに……」


「言う必要があるか? どうせ用が済んだらこちらに戻ってくるのだ。私達がやるべきはそれまでにこの世界について調べることだ。幸い、この管理室を調べるだけでもかなりの情報が眠っていそうだしな」


 さぁ、作業開始だ。と首領は捜索を開始したのだった。

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