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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
ロボ → 美少女?
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囚われの誰か

「うおおおおおおおおっ」


 叫びと共に、王利は全力で敵のロボへと走り寄った。

 走る間、ロボから放たれた高速のボルトナット攻撃が地味に彼の精神を削っていく。

 外傷はないが物凄く痛い。


 しかもロボの射出はマシンガン並みの連射が可能で、それが数体単位で同時に放たれる。

 王利の改造体であるクマムシ男だからこそ耐える事が出来るが、おそらくバグカブトの装甲でも穴が空きかねない威力だ。実際にはヘコむ程度だろうが、連続して食らうことを考えればダメージ量は軽くない。


 ほたるんも機械であるとはいえ、そこまで強力なボディを持っているわけではない。

 ならばなぜ、前回の攻撃のようにロボに接近できるのかと言えば、どうやら隠蔽か隠遁か、何かしら相手に索敵されない能力を持っているかららしい。

 空中のナットが飛んでこない辺りを浮いたり、稀に天井を音なく走ったりして接近している。


 さらに彼女の能力を底上げしているのは王利の存在だった。

 地上でロボからの攻撃を受けながら移動するため、ロボたちにとって一番の脅威として認識され、一人集中砲火を浴びるからだ。


 なので、ほたるんは攻撃対象に指定されることなく相手に近付き倒すことが可能だったのである。

 今回、万一のことがあると大変なので、バグリベルレもヘスティもL型通路の角に隠れている。

 つまり、王利も背後を気にすることなく接敵して攻撃を行えるのであった。


「今何階だっけ?」


 最後のロボを壁に叩き付けて破壊すると、王利はほたるんに聞いてみた。

 とにかくロボを駆逐するこだけを考えていたので、ふと疑問に思ったのだ。


「ただいま26階ですね。この階に人の気配はありません。さらに下へ向いましょう」


「あれだけ戦ってまだ4階しか降りてないのかよ……」


 防御面から攻撃できるのは王利しかおらず、万一破壊されても復活可能なほたるん以外は危険を回避するため王利が無理言って隠れさせている。

 孤立無援もいいところだ。後ろに引けない分背水の陣を敷いているといっても過言ではあるまい。


 階段を降り、25階へと向かうと、廊下に着いたところでほたるんが手で王利たちを制する。

 少し険しい顔で25階のスキャンを開始する。

 気になったことが確信に変わったようで、王利に視線を向けた。


「マスター、人間です。この階に30人はいます」


 30人? 少ないのか多いのか分からないな。と思いながら王利はそっと通路に顔を出して確認する。 その瞬間、無数のボルトナットが飛び交った。

 顔面に直撃した王利は思わず呻く。

 咄嗟に目を瞑ったので万が一のダメージこそ喰らわなかったが、王利の精神的ダメージは重傷だった。

 もう、二度と無防備に顔はださない。と心に決めるのだった。




「うおおおおおおおおおおおおおっ」


 王利の捨て身の突進で、最後のロボが破壊された。

 どうやらこの階のロボはこれが最後らしい。

 結局全滅するまで戦ってしまっていた。


「さてさて、どこの部屋ですかね」


「こちらですね。この扉の中にいるようです」


 指示されたドアはスライド式のドアだった。

 しかし、自動ドアではないらしい。

 キーロックもなければ指紋認証も存在していない。


「どうやって開くデス?」


「入るのは機械族ですから、おそらく独自の通信により開閉されるか、毎日決まった時間のみ開閉されるかでしょう。ここだけは人が使うことがないよう開閉装置に改造された後があります」


「なら、壊した方が早そうですね。王利さん……に火力は期待できないのでヘスティさん、なんかこう、派手に爆破する技とかないですか?」


 地味に傷付いた王利の横で、ヘスティは考える。


「そうですね……レーザー砲ならあるいは……ですが、扉の先に誰かいると死ぬデス」


「ご安心ください。直線状には一人もいません」


 ほたるんの言葉を聞いたバグリベルレに促され、ヘスティは仕方なくドアの前に立った。

 口を開き力を溜める。

 すると、口内に光が集まり始めた。

 口の中が輝きに溢れ、周囲を眩しく照らしていく。


 それは、空気を吐きだすように、一気に放出された。

 迸る光の奔流。

 ドアにぶち当たった光は一瞬飛び散るようにドアから跳ね返されたが、すぐにそれは収まり、ドアの奥へと光が伸びていく。

 しばらく、不思議な耳鳴りのような音が聞こえていたが、光の収まりと共に小さく消えて行った。


「けふっ。あ゛ー、あ゛ー。うぅ。これやると喉がちょっとガラガラしマス」


 凄い攻撃だ。と王利は思ったが、同時にダメじゃん。とも思った。

 なぜなら、ドアに開いたのは本当にヘスティが目一杯口を開いたのと同じ大きさの穴。

 お世辞にもここから向こう側へ行けるなんてことは言えない状況だ。


「こ、これは……ああもう、なんかもう、もぉ――――っ! 惜っしいですね!」


「……あの、この扉なら私が壊しますが……」


 呆れた様なほたるんの声がトドメとなってヘスティが崩折れた。


「どうせ、大したお役に立てまセン……」


「超振動ブレードを使います。万一があると危険ですので私から離れてください」


 言うが早いかほたるんは扉の前に立ち、右手を突きだす。

 右の手首がカパリと開き、長細い剣が現れる。剣はショートソード並みに伸びると、細かく震え始めた。

 ドアに向って振り下ろす。それはまるでバターのように、もはやヘスティの攻撃が全くの無駄になるほどすんなり四隅で四角く切り裂かれた。

 最後にバグリベルレが蹴りを一撃、外郭から四角く切り取られた壁が衝撃に耐えきれず倒れだす。


「さぁ、皆さん助けに来ました……よ?」


 部屋にいの一番に入り込んだバグリベルレ。その視界に映ったモノは……

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