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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
日常 → 異世界
67/314

真由、怒り狂う

「……殺します」


 真実を知らされた真由は、開口一番押し殺した声で言った。


「あいつら全員殺してやる――――ッ」


 地団駄踏んで暴れ出した真由を葉奈と耕太が抑える。

 バグカブトこと松木戸耕太がリーダーシップを発揮し事態の収拾を終えた彼らは、今、モールから離れたファミリーレストランに来ていた。


 バグアントは先に帰ってしまったが、耕太、真由、葉奈、対面に王利とヘスティが座っていた。

 耕太と顔を割って会うのはこれが初めてである。


 下手をすればいつでも殺される口実を与えてしまったようなものではあるが、葉奈と真由の取り計らいでインセクトワールド社とバグソルジャーは不戦を約定しているので襲撃はされないはずではある。

 それも正義の味方だからという理由だけで、確実に安全と言う訳ではない。


 ただ、王利は忘れていた。

 バグカブト状態の彼にすでに素顔は見られているという事実に。

 どのみち関係ない話ではあるが。


 ファミリーレストランは先程の事件の影響か、余り人気は無い。

 どこか落ちついた雰囲気と共に食器の奏でる音が聞こえている。

 席に着くと同時に店員が水を持ってきたので、王利たちは即座に注文を行った。


 今は全ての料理が運ばれて来た後で、ヘスティや葉菜はデミグラチーズハンバーグを相手に食事を始めていた。

 王利は目の前に居る耕太の視線が気になり、自分の頼んだサーロインステーキを食べられないでいた。


 せっかくの豪勢な食事なのだが、王利は生唾だけ飲み込んで話を聞くだけだ。

 耕太の方はフルーツミックスパフェを頼んでいた。

 意外と甘党らしい。

 ちなみに、真由は怒りながらもホットケーキサンドを頼んでいた。

 激昂しながら食べる様はなんとも言えない凄さがある。


「私のラブレンジャー変身ベルトが大破し、アトミックマンアヴェンジャーのロケットキックバージョン人形が……ロケットヘッドに……許すまじクロスブリッドカンパニー」


 暴言を吐く真由は、すぐ目の前にそのクロスブリッドカンパニーの一人がいることを忘れているらしい。

 ヘスティが申し訳なさそうにしている。

 ホットケーキサンドを噛みちぎりながら盛大に唾を飛ばす。

 対面のヘスティはちょっと迷惑そうだ。


「あのコックルなんとかが、あのクソ虫がぁぁっ。私の愛すべき戦士たちをををっ、絶対潰す。殺す。滅ぼしますッ」


 血の涙を流さんばかりの真由をたしなめながら、耕太は王利とヘスティに真面目な顔を向ける。

 大柄な男に真正面から見つめられ、王利もヘスティも委縮する。

 顔は笑顔のようでいて威圧感がハンパない。


「さて、クロスブリッドカンパニーに関しては大体わかった。しかし、まさかこうして会うことになるとはな。クマムシ男」


「あんたにとっちゃインセクトワールドは人体改造を行った憎むべき悪。だったな。どうする? 不戦は望むところじゃないだろう」


「構わん。憎むべき科学者は真っ先に殺した。インセクトワールドを潰せた。これだけやればもう十分だろう。それでもまだ秘密結社として動けると言うのなら、その時にまた潰すだけだ」


「ごもっとも」


 肩をすかせて王利は呟く。


「で、どうすんだ。ヘスティはこのまま首領の元に連れてく予定だけど」


「それで片付くならばいいさ。こちらとしては悪の秘密結社同士で潰し合う分には喜びこそすれ邪魔する意味は無い。せいぜい利用するだけだ。クロスブリッドカンパニーはロシアだ。下手に向えばこの地が空になる。我々の手伝いなど当てにはするなよ」


「わかった」


 なんとか、バグレンジャーと不戦は続行らしい。

 リーダーが不戦継続をいうのならばこちらから侵攻しない限りは大丈夫だろう。

 後の問題はクロスブリッドカンパニー。

 ヘスティを首領の元に連れていくだけだ。


「で、真由よ、それはなんだ?」


「ん?」


 不機嫌な真由は耕太に言われて手にしていた物を見る。

 ロボットの首だ。


「博士に直して貰おうかと、こういうの好きそうですし」


「そうか……」


 やや呆れた声で、耕太はため息を吐いていた。

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