表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
日常 → 異世界
64/314

バグレンジャー VS クロスブリッドカンパニー怪人軍団

「あ、アント達が来た」


「バグカブトもいるな。あいつ俺との戦いで腕負傷したんじゃ……」


「博士が直したよ」


 そりゃすごいと王利は感心。

 広場ではアントとカブトによるクロスブリッドカンパニーとの争いが始まろうとしていた。


「出るか?」


「当然。バグソルジャーの仲間だもん。当然ですよ! ヘスティさんコレ持っててください」


「仕方ないか。王利君はここにいて。隙を見て逃げて」


「死ぬなよ、葉奈さん、真由さん」


 ロボットの頭部をヘスティに手渡し、荷物を全て地面に置くと、変身と同時に飛び出すバグパピヨンとバグリベルレ。

 美しき黒死の蝶が黄と黒に彩られた蜻蛉と共に怪人たちの前に舞い降りる。


「リベルレ、パピヨン、無事か」


 怪人たちを挟みバグレンジャーが揃った。

 怪人たちは突如現れたバグレンジャーに戸惑っているようで、互いの顔を見合わせている。


 怪人たちが何か喚いている。

 話が違うとか、なんで正義の味方がとかどうやらバグソルジャーとの鉢合わせは予想外だったようだ。

 しかし、ここまで派手に人前にでれば、当然こうなるに決まっていた。


「人々を恐怖に陥れる怪人どもめ。我々が来たからにはもう何もさせはしない」


「な、何者だ貴様らッ」


 あー、やっちゃった。傍で聞いてた王利は思わず頭を抱えた。

 悪の組織としてはセオリー中のセオリーではある。

 でも、十中八九負けるセリフの一つなので、王利が所属するインセクトワールドでは禁句とされているものの一つである。


 他にもよく来たな正義の味方共。とか、なぜここがわかった。などはとっさにでも口を滑らせるべきじゃない。

 下手するとその瞬間首領が自爆スイッチを入れて怪人爆殺などということもありえるのである。


「俺達が何者か、だと?」


 問われたバグカブトがポーズを決める。


「俺はバグカブト」


 続いて蟻型人間アントがポーズをとる。


「バグアントッ」


 本来ならこの後バグシャークという男がいたのだが、少し前にインセクトワールド首領により倒された。なのでリベルレがポーズをとる。


「バグリベルレ!」


 最後に、パピヨンがポーズを決め、


「バグパピヨンッ」


「四人揃って、バグレンジャーッ」


 背後で爆発が起きる程のインパクトを与え、バグバグレンジャーの面々は怪人向けて走り出す。


「ええいっ、邪魔をするなこの土地のヒーローめッ」


「この人数だ、押し切れ!」


 怪人たちが四つに分かれ走り出す。

 その中で、二人だけが中心に残った。


「ドルフィンは俺と来い。跳ぶぞ」


 コックル・ホッパーが少し嫌そうにしているドルフィン・イーグルを抱えると、ぐっと身体を沈ませ、一気に跳躍。

 バグソルジャーの包囲を脱出し、モール内へと入ってしまう。


「いけないっ、二人抜けたっ」


「無理です、こいつら倒さないと追えないですよバグパピヨン」


「しかも結構強い……か」


 マンティス・サンダーバードの鎌をかわしながらバグパピヨンが呻く。

 その胸中では王利の心配だけが募り始めていた。


「カブト、その義手はお前の力に耐えきれるが付根は脆い。捻る動作は極力するな」


「こんな奴らに両腕使うまでもない」


 バグカブトへと群がる三体の改造人間。

 その全ての攻撃を真正面から受け、己が角で中央にいた敵を上空へと跳ね上げる。


「アント、手早く片付け逃げた二匹を追うぞ!」


「仕方ないな。蟻酸を使う、全員当るなよ」


 言うが早いか一体の怪人向けてアントは口から液体を吐きだす。

 凶悪な酸は怪人に当ると同時に溶かし出す。

 断末魔の悲鳴が上がる。

 怪人たちの顔に、明らかな焦りが見えた。


 さらに、バグパピヨンに向っていた二体の怪人が急に倒れる。

 全身麻痺で死を迎える怪人たちに、バグソルジャーの脅威を垣間見る怪人たちだった。


 さすがにマズいと気付いたマンティス・サンダーバード。

 バグパピヨンから慌てて距離を取る。


「チッ、さすがに正義の味方だけある。俺も本気を出さざるをえまい」


 バグパピヨンの鱗粉に危険を感じたらしいマンティス・サンダーバードは全身を帯電させた。

 さらに翅を開き空へと飛び立つ。

 その翅は、翅でありながら羽に見えた。


 薄膜の張られた翅が無数に繋がり翼のように見える。

 それを羽ばたかせ、マンティス・サンダーバードは上空から雷撃を撃ち落とす。


 そのほとんどは空中に放電され拡散したが、一部が鱗粉に衝突。急激に鱗粉が燃え上がる。

 燃えあがった炎は空中を舞う鱗粉を舐めるように燃え広がり、宿主であるバグパピヨンに襲い掛かった。


「ちょ、危ないじゃないッ」


 しかし、炎がバグパピヨンに当る事はなかった。

 風の流れを操作して、鱗粉を自分から遠ざけるバグパピヨン。

 燃えるモノを失くした炎は鱗粉のある空間だけを燃やしつくし、即座に消え去った。


「一進一退ですか、葉奈さんのフォローは期待できませんね……」


 バグリベルレは二体の敵を相手に空中戦を繰り広げていた。

 一体一体は十分倒せる怪人だったが、どうにも二対一では倒しきることができないでいた。


 高速で飛び交うのはベルゼビュート・ハンマーシャーク。

 奇しくも死んだ兄と同じ鮫の能力を持った怪人だ。

 空を蠅のように速く飛び、海を泳ぐように獲物に噛みついてくる。


 そしてもう一人はエリマキ・ガンナー。エリマキトカゲの容姿を持ち、テッポウウオの能力を持った怪人だ。

 こちらは噴水に陣取り地上からバグリベルレ向けて圧縮された水を飛ばしてくる。


 本来なら楽に避けられるが、ベルゼビュートの猛追をかわしながらでは避けるだけで手いっぱいになってしまう。

 せめてどちらか一人を誰かに任せたいが、バグソルジャーが一人足りない。亡き兄がいればと悔やむが、舌打ちして思い改める。


 自分たちだけしかいないのだ。泣き言など言っている暇はない。

 バグリベルレは起死回生の一手を模索しながら、二体の怪人の猛攻撃を回避し続けるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ