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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → 全面戦争
43/314

魔王爆殺・その後に???

「やったか!?」


 首領は爆発の収まりで隠していた目から両手を取った。

 目の前の光景を見て満足げにほくそ笑む。


 魔王の身体は上半身が吹き飛び、跡形も無く消え去っていた。

 これで生きていたらそれこそ化け物である。

 魔王城も、かなりの被害が出ており、高い天井には巨大な穴が。

 日の光が差し込み、凄惨な光景を照らし出していた。


 爆発の威力は凄まじく、離れていたはずのバグパピヨンやバグリベルレにも多大なダメージを与えていた。

 特にバグパピヨンの損傷は凄まじく、変身状態を保てなくなった彼女は人間に戻って気絶していた。


 バグリベルレも変身を解いていないがそのダメージは凄まじい。

 自慢の翅は所々が破け、落下時に運悪く激突した天井の柱のせいで左腕が折れていた。


 先程、護衛の兵士によって治されはしたものの、彼らエルフ軍がいなければ、バグレンジャーの半数が戦闘不能になっていたところである。

 さすがの首領も、王利に埋め込んだ自爆装置の威力に冷や汗を掻いていた。


 実は、他の怪人と違い、王利の自爆装置は特注品である。

 それというのも、その頃の首領は、ドクターたちにこう告げた。


「花火が見たい。負けた怪人が散る瞬間、物凄い花火がな」


 聞いたドクターたちは研究に研究を重ね、出来た自爆装置を取り付けられた犠牲者一号が王利である。


「いやー、しっかし、見事な悪役ぶりでした首領さん。魔王の台詞を奪うとか鬼畜すぎです」


「ふん。我は悪の首領だぞ。あの程度何度も言ってやったわ」


 正義の味方と戦う際、どういう台詞を言おうかと何度も考えたことがあった。やはり首領といえど、正義と戦う際は自分の役割に気を使うらしい。


「魔王はこれで倒せましたし、王利さん探して帰りますか」


 バグリベルレの言葉に頷く首領。

 エルティアたちに引き上げを告げようとした時だった。


「フフ。クァーッハッハッハ。素晴らしいぞ貴様ら」


 魔王の間に厳かな声が響く。

 ありえない声にバグリベルレはもちろん、首領すら目を疑った。


 魔王が座っていた巨大な玉座。

 その中心に、2m程の男が一人、立っていた。

 その容姿は先程まで戦っていた魔王と瓜二つ。

 まるで魔王が小さくなってそこに出現したようだ。


「我がゴーレムを破壊するとは驚いたぞ。なるほど、貴様らが四天王を倒したというのもまんざら嘘でもないらしいな」


 エルフたちは真っ青になって魔王を見つめていた。

 先程まで苦労していたはずの魔王が、ただのゴーレムだと、偽物だと知らされたのだ。

 しかも、ゴーレムを倒すことでバグパピヨンが気絶、勇者である王利も爆発に巻き込まれ生死不明である。


 戦えるのは、魔法により体力を回復したバグリベルレと首領のみ。

 全員を爆発のダメージから回復させたせいで、エルティア以外の魔力は底をついている。

 エルティアとて、残った魔力は殆どない。


 絶望的な状態に、魔王は五体満足。

 勝てるかどうかと言われても、エルティアには自身の勝利が見えなかった。なにしろ勇者が魔王相手に光の魔法を撃ち放ったのだ。

 伝承には、そこまでしか書かれていない。


 伝承が終わった後に、魔王が存在しているなど、エルティアには信じられるものではなかったのだ。

 それでも、あのゴーレムを勇者が倒したのである。

 勇者の意思を継ぐために、エルフ軍はなんとしても魔王を倒し世界に平和をもたらさなければならない。

 エルティアは気を引き締め自身の魔力を確認した。

 この少ない魔力で、出来うる限り魔王に抗ってみせる。


 伝承の先にある戦いが、今始まる……

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