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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
首領 → 全面戦争
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悪の企み

「なんてこった……」


 事実上、バグソルジャーとの休戦が破綻した状態。

 首領たちから理由を聞いても、すでにバグシャークを倒した事実は変えようがない。


「なぁに、鮫男の亡骸はこちらに任せよ。蜻蛉女に感づかれなければよい、勝手にどこか行ったとすればいいのだ」


「そ、そんな。嘘を付けと言うんですか」


 エルティアが抗議の声を上げるが、首領は一笑に伏す。


「あいつまで敵に回したいのか? この男と兄妹だったのだぞ」


「そ、それは……」


「そういう訳だW・B。お前はここに来なかった。わかるな?」


「それがですね首領。魔王退治にあるモノが必要で、首領に会わないわけにはいかないんです」


 首領が怪訝な顔をする。


「なんだ、まだ倒していなかったのかウスノロめ」


 手痛い言葉に王利は苦笑いしか返せなかった。

 首領を守ることこそが自分の改造人間としての責務でありながら、魔王退治に手間取り彼女の危機に助けることができなかったのだ。

 これでインセクトワールドが事実上起動していたなら速攻自爆コースだったはずだ。


「まぁいい。そういうことなら手伝おう。で、何をすればいい?」


「とりあえず、自爆装置の場所を。後取り外す方法と起爆方法を」


 それだけで、王利が何をしようとしているのか感じ取り、首領は意地の悪い笑みを浮かべた。


「クハハ。余程勇者らしからぬ殺戮法だな。いいぞ。その案気に入った。さすがに貴様自らを放り込むわけにはいかんしな。取り除く方法を……」


 と、そこで首領は考え込む。

 なぜか脂汗を吹き出し、鮫の顔で唸りだす。


「鮫男を乗っ取ったのは早計だったか」


「バグシャークの喰らう能力ならあるいはと思ったんですけど」


「いや、それより良い方法があったのだが……」


 首領の考えは先程バグシャークが投げていた歯による周囲丸ごと風穴を開ける案であった。

 もちろん、エルティアが間横で回復の待機、さらに王利が即死しないことが前提ではあるが。


「まいった。我ではアレを扱うのは無理だ。習得まで日もない」


 それに、と首領は顔を上げる。


「貴様の身体から取り出した瞬間破裂するぞ」


「うぇッ!?」


 もう、打つ手はなさそうだ。

 王利は思わず膝を付く。


「あの、取り出した瞬間破裂するなら、時間を止めてはいかがです?」


 話の内容を理解しきれてはいないだろうエルティア、それでも口を挟んできた。


「簡単に言うな。止めれるモノなら止めている。それともこの世界に時間を止める魔法などというものでも存在しているのか阿呆め」


「あります……けど?」


 なんでそんなことも知らないのかといった様子で恐る恐る答えるエルティア。

 言葉に反応して王利の首が唐突に上がる。


「マジかッ!?」


「は、はい。魔法を習う初期段階でエルフは皆習います。でも解除魔法も同時に習いますから殆ど使う意味がありませんけど。たぶん、魔王も使えるんじゃないかと思いますよ」


 どうやら、この十七世界では時間を止めることは難しいことでもなんでもないようで、さも当然とエルティアが言ってのける。


「その魔法、効果はどれくらいだ?」


「そうですね。最大で一分。と言ったところでしょうか」


「じゃあ、ここで外してって訳にはいかないか」


「魔王の見える位置で、だな。やれるか? しかも一度きりの大勝負だ」


 王利は言葉なく頷く。

 もう、やれることはこれくらいしかないのだ。

 魔王が巨大すぎて立ち向かおうにも立ち向かうだけのダメージを与えられていない。

 倒せなくとも魔王にダメージを与えられれば起死回生の一手になることは間違いない。


「では、お前は先に戻れ、我々でコイツの始末を付けておく」


 首領の言葉に頷き返し、王利は元来た道へと戻って行った。


「そ、それで、その方はどうするんですか?」


「そこいらに脱ぎ捨てておく。魔法で建物を壊せば崩落に巻き込まれて死亡だ。どうせ魔王が死ねば城も壊れるだろう? そうでなければ我が壊しておく」


 と、元々の身体である少女の亡骸に歩み寄る首領。


「さて、戻るか」


 何かおぞましい情景が展開する雰囲気を感じ、エルティアは思わず目を瞑った。

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