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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
正義 → 激闘
303/314

動き出す悪6

「あれ? ラナ首領にクルナちゃんだっけ? あ、そっか、二人ともこの学校に通ってるんだっけ」


 ふと、気付いたその怪人は王利たちに向き直った。

 容姿のせいも相まって思わず仰け反るメンバー。

 ラナとクルナだけは全く動じてなくて……否、そんなラナ達を追い越して走り寄る一人の少女。


「兄さん、なんでここにっ!?」


 ……は?

 その瞬間、正義の味方候補達は目を点にした。

 ラナリア怪人の一人である武藤風音が地獄の死神へと駆け寄って行き、しかも兄と呼んだのである。

 武藤風音の……兄?


「え? えええええええっ!?」


「あれ? 王利さん知りませんでした? 彼、F・Tさんは風音さんの兄として潜入任務に付いてたんですよ。残念ながら結社が滅んだことで暗殺対象を殺す必要性はなくなりましたが、未だに兄妹設定は有効になってます。というよりは既に慣れてしまってるみたいですね」


「あのキモ……凄い顔の怪人が風音さんの兄かよ」


「亜衣子さん、もうちょっとオブラートに包もう。いろんな意味で」


「というか……成り行きで付いてきたらなんか大変なことに……」


 仮面ダンサーステップが一人ごちる。

 そういえば付いて来てたなぁ。と王利は考えたが、指摘はせずに流す事にした。

 ステップは周囲を見回し敵性存在が居ないことを確かめると、ふぅっと息を吐く。


「いやぁ、さすがに焦ったわ。生身の人間が突出するとろくなことないね~」


「生身の人間が上空から落下して無事とか、絶対おかしいネ。ステップさん、それなりに人間止めてるよ」


 蘭爛が何気に酷い件。

 王利は苦笑いしながら周囲を見回す。

 確かに敵性存在は確認されない。


「よぉ。話は聞いてるよ新人。首領の右腕になってるんだって?」


「み、右腕って。俺なんてそんな強くないぞ。えっと……」


「F・T。フィエステリア・ピシシーダだ。お前は?」


「W・B。ウォーター・ベア。今回は助かったよ」


「こっちもいろいろ忙しいんでね。もうちょっと殲滅したら居なくなるけどいいか?」


「あいつを守り切ればいいんだろ。俺らが追い付いたし、何とかなるんじゃないかな?」


 遅れて近づいて来た音を消す正義の味方。

 王利を見て少し嫌そうな顔をしたものの、今は嫌悪を顔に出している暇は無いと、表情を消し去りF・Tの傍に付く。


「おい、俺の護衛だろ? 知り合いがいたからって勝手に離れんなよ」


「は? お前少し感違いしてないか? 俺は正義の味方じゃぁねぇんよ。そう律義に守ってやると思うなよ」


「ンだとテメェ!?」


「言っておくが、首領からはできれば・・・・守ってやってくれと言われてる。できれば。だ。首領の部下じゃなくなった俺には命令に縛られる理由がない。あまり突っかかってくるようだと護衛対象といえど踊らせるぞ? お前が死ねば奴らが襲撃する意味もなくなるんだからな」


「ひっ!?」


 あまりの迫力に腰砕けにへなへなと尻餅をつく護衛対象。

 ああ、確かに。と王利は納得してしまった。

 正義の味方であればどんなにムカついても守り切るのが絶対になるが、悪である自分たちにはその縛りは無い。


 邪魔になれば消してしまえばいいのだ。

 相手が求めるのは生存しているこいつの能力。跡形も無くこの世から消してやればさすがに手に入れるのは無理だろう。

 むしろ、一番効率のいい方法である。

 首領辺りはそっち方面で動きそうなものだが、こいつの能力が奪われても本当にどうでもいいのだろう。

 ヒストブルグに借りを作る意味でもこのF・Tに助っ人を依頼したと思われる。


「ダーリン。こっちの掃討終わったぞ!」


「にょほほほほ。強くなりすぎて怪人では満足できんのぅ。もっと強いのはおらんのかえ?」


 少しして、別方向から現れる二人の少女。

 金髪にツインテールにロリ体型の盛った属性少女と頭から狐耳、尻からは九つの尻尾をたゆたわせた少女がF・Tのもとへとやってくる。

 凄く、綺麗な少女たちだ。葉奈と比べても多分、上だと思ってしまうくらいには、見惚れてしまう。いや、綺麗というか、むしろ綺麗過ぎて怖い。

 やっぱり葉奈が一番だな。そう自己完結する王利。


「護衛役が付いたみたいだし、俺らがここに居る必要はもうなさそうだな。ヌェル、小出、そろそろ目的の方に行こう」


「了解じゃ」


「ふん。全く我が手を煩わせる程ではなかったではないか。あ、いや、ダーリンの受けた依頼なのだから文句は無いぞ。というか。見てたかダーリン。凄いの倒したんだぞ。なんか物凄いデカい怪人が三体くらいだな」


「妾は六体一気に屠ったぞえ?」


「貴様のことなど聞いとらん。儂のアピールタイムを取るな部外者。ダーリンに気に入られる必要がないだろう。邪魔をするでないわ。ただでさえライバルが多いというのにっ」


 と、ヌェルと呼ばれた少女はF・Tの腕に絡みつくと三人揃って歩きだす。

 どうやらもう護衛任務は終了らしい。

 あとは王利たちの仕事なのだろう。

 そして、呆然とする王利たちと、地面にへたり込んだ護衛対象者だけが残った。


「リア充……いや、リア獣だ……」


 誰ともなく呟かれた言葉は、多分皆の意見であった。

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