動き出す悪4
ハッピーニューイヤー\(^o^)/
「全く、まさか正義の味方養成学校として創設されたこのヒストブルグに怪人の団体が押し寄せるとはな。世も末か」
「お、おおお、御姉様……!?」
手に抱えていた仮面ダンサーステップを降ろし、仮面ダンサー・ドゥは周囲を見回す。
無数の怪人が恐怖に怯えながらも少しづつ、戦闘態勢に移行しつつあった。
もうしばらくすれば仮面ダンサー・ドゥ相手といえども恐れに打ち勝って襲ってくるだろう。
「君は自称仮面ダンサーを名乗っているステップだな。容姿は確かに我々に似せているが、心持がまだ成ってないな」
「こ、心持ち……ですか?」
「いいかステップ。仮面ダンサーになるというのなら、我々の心情は一つ。自分が悪だと認識した悪は全て滅ぼせ。敵がいかに巨大であろうともだ。そしてそれを実現するだけの力を持て。有言実行。ゆえに、仮面ダンサーに敗北は無い」
襲いかかってきた怪人たちをステップを守りながら蹴り倒し、拳で穿ち、首を捻る。
完全な格闘タイプの仮面ダンサー・ドゥはステップの両手を握りワルツを踊る様に動きながら、敵の少なくなっていた一区画へと投げ飛ばす。
ハンマー投げの要領で投げ飛ばされたステップを受け取ったのは、蘭爛。
つまり、王利たちの方へと飛んできたのである。
「W・B、その周辺は貴様が盾にでもなって防いでいろ。今から悪を一掃する」
そう、宣言した直後、彼女は烈風と化した。
いたるところで悲鳴が上がり、怪人たちが一人、また一人と爆発し、液状化し、消え去って行く。
まさに圧倒的な蹂躙劇だった。
最強の一角は伊達じゃないというところか。
「やれやれだ。面等な闘いに巻き込まれたものだ」
溜息を吐きながら、歩いてやってきたのは地球刑事シブサワ。
ハードボイルドな衣装に身を包み、威風堂々近づいて来た。
「生徒共、さっさと避難しろ。後は私がやろう」
「まちんしゃい。お前さんだけにいい格好などさせんわい。久しぶりに血が騒ぐのぅ」
「年寄りの冷や水にならないことをお祈りしますよ」
続くように現れる三人の男女。
老人、アラビアンハラショーはやる気満々手短にいた戦闘員に歩み寄り、杖で滅多刺し。
別段強い一撃という訳でもないようだが、的確な連撃で戦闘員を倒していた。
トレンチコートの男は煙草に火を付けふぅっと煙を吐く。
その煙が槍のように尖り、無数の怪人に降り注いだ。
元が煙のため受けも避けもできず、多くの怪人が倒れ伏す。
逃げた怪人達はなんとか生き延びるものの、続く三十路のセーラー服戦士に根こそぎ討伐されていった。
スマイリームーンが前口上を告げるも、あまりの恥ずかしさに数分防御不可で呆然としていた。
ただ、似合わない衣装のせいか、怪人たちから攻撃を受けることはなかった。
王利の近くでは薺が魔法少女衣装で怪人に飛び蹴りを喰らわせ「ッシャコラァッ!」とか叫んでいたり、亜衣子がスマホストラップを千切って投げて戦闘員を爆破している。
どうやら一つ一つが小型の爆弾になっているらしい。
むしろ、手榴弾になるだろうか?
雅巳は皆より一歩遅れた場所で敵の戦力解析をしつつ皆に指示を出す。
王利はそんな周囲を見ながら、ラナに近づく敵を撃退していった。
一応、彼女が王利の今の首領になるのだ。
必要無くても形だけでも守る姿を見せておくべきだろう。
「全員奮起なさい! 歴代最強の先輩ヒーローの闘いを間近で見れるわよ。ここで敗北なんて無様なまねしてる暇はないわ!」
味方を鼓舞するように新堂桃香が叫ぶ。
もうすぐ卒業を控える彼女はさすがに堂々としたもので、機械化された怪人を相手に符術で対抗している。
「あはは。楽勝ですよ皆さん。ヘブンリー・デッドマンズの怪人程じゃないですよ!」
風音が桃香に合流し、そのまま近くづく怪人達を一掃していく。
そして……
「新堂先輩、サイン下さいっ!」
「はぁっ!? 今そんな暇……」
「はい、周囲は糸で絡め取りました。サイン書く時間作っときました先輩!」
「ああもう、さっさと貸しなさいっ」
あいつはぶれないな……王利は呆れながらも怪人達との激闘を繰り広げる。
蘭爛から武術を教えて貰っていて良かった。
彼女とクルナに心の中で感謝して、ひたすらに目の前の怪人を撃墜していく。
「いかん、巨大獣だ!」
誰が発した声だっただろうか?
突如ヒストブルグ前に巨大化した怪人が現れた。
そいつが走り出したその刹那、無数のミサイルが彼の身体にブチ当たった。
「巨大化怪人など恐れるな!」
地球防衛軍に連絡をいれたのだろうか? 校舎の屋上に仁王立ちした元アトミックマン・ゼロスが巨人に向けて指を差す。
「撃て!」
指示に合わせてどこからともなく無数のミサイルが襲いかかる。
怪人はさすがにこれを避ける事は出来なかったらしく、一つ一つに仰け反りながらも全弾命中させられていた。




