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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
怪人 → 学園
296/314

首領の下準備

「狭い部屋だな。まったく」


 王利はすがすがしい思いで一日を終えた。

 それはもう天にも昇る気分であった。

 寮に戻り、ドアを開け、さぁゆったり過ごそう。と思って来てみれば、部屋の中央で仁王立ちして回りを見回す女が一人。


 ラナにしか見えないが、どう見ても態度がラナではない。

 だが、王利の見知った人物であった。

 当然、テンションは一気にダウンした。

 首領様である。


「おお、戻ったか待ちかねたぞW・B」


「首領……何か御用ですか? このような場所に一人来るなど、正義の味方の巣窟ですよここ。しかも男子寮。ラナに申し訳ないですよ」


「言霊が使える私が有象無象に後れを取ると? 抜かしおる。それにラナの意識があるのだ、嫌なら自己主張してくれるさ」


「はぁ……それで、首領は俺……いえ、私に何か御用で?」


「うむ。いろいろと準備は進んでいるのだが、せっかくなのでこの世界に四天王を揃えようと思ってな。悪いがエルティアの世界に飛ばして欲しい」


「四天王って、エスカンダリオやロクロムィスのことですか? だったらトリルトトスもあとなんだっけ? も死んでますよ?」


「ああ。それなのだが死体が腐る前にエルフ共に保存を頼んでおいたのでな。トリルトトスの方はなんとかなりそうだ。もう一体の方は我が出会う前に死んでおるからなんとも言えんが、代わりの身体があるしな。アレも水属性だから使えるだろう」


「ちょ、あんなのだしたら真由が確実に敵になりますよ!?」


「バグソルジャーとの闘いも視野にいれる。奴らを無視して日本を牛耳るのは無理だろうしな。それよりも凄い情報が手に入ったのだ。奴らを迎撃せねばならん。この世界は私のモノだということをあの羽の生えた業突く張りどもや怪人の原型になったお払い箱どもに知らしめてやらねばなるまいて」


 良くはわからなかったが、既に用意は出来ているらしいので、王利と一緒に取りに向うだけのようだ。

 ただ、王利は一人で部屋に戻ってきた訳ではなかった。

 要も居るしカルヴァもいる。マサシとルクティエもいるのである。

 丁度悪の魔法少女とやらを撃退したらしいマサシとルクティエ。一緒に戻ってきたのだ。

 ルクティエが顔を赤らめているのはなんだろうね? と王利は思うが、何も聞かないでおいた。


「どこかに行くのかい森本君?」


「ああ、ちょっと……」


「別世界にな、行くのだ」


 言葉を濁した王利。しかし首領は無遠慮に別世界をカミングアウト。


「べ、別世界!? ちょっと、何ソレ! 私も行きたい!」


 ルクティエが参戦です。

 マサシを誘って二人揃って付いてくる気満々だ。

 首領も気にしてないようで、なら一緒に来るか? とむしろ率先して二人を仲間に引き入れる。


 結果、ついでに要とカルヴァを連れて、王利たちは異世界へと旅立っていた。

 エルティアの住む世界にやって来ると、丁度エルフの町だった。

 突然広場前に出現した王利たちを見て驚くエルフたち。

 エルフという耳長族を初めて見て唖然とする要たち。


 ただ一人ルクティエだけがテンション高く……あ、違う。約二名だ。マサシも美人エルフを見付けてふおおおおおおおおおおっ!? とテンションが急激にハネ上がっていた。

 謎の集団に驚くエルフ達だったが、王利の姿に気付いて一斉に声を上げた。


「ゆ、勇者様だ! 勇者様がいらしたぞおぉぉぉぉ!!」


 直後一斉に走り出すエルフたち。

 ある者は王城に、ある者は家族の元へ。

 皆が一斉に消え去り、人の居なくなった広場だけが残される。


「え、エルフが消えた……ど、どうなってるんだ森本君! ここは天国か!?」


「マサシさん、落ちついて。ここ天国じゃないですから」


 軽く混乱しているらしいマサシは再び現れたエルフたちに再び絶叫して狂喜乱舞で身悶えしていた。


「凄い。皆が森本さんに注目してますね。一体何したんですかここで?」


「ふふ。気になるか小娘。こやつはな……」


 首領がまるで身内自慢でもするかのように王利が行った所業を告白。

 いや、告白というよりは暴露だろう。

 王利は当時を思い出して思わず赤面する。


 こうして自分の軌跡を物語風に聞かせられると恥ずかしいことこの上ない。

 赤面しながら身悶えしていると、やってきたエルフが当初の二倍以上に膨れ上がっている事に気付いた。

 怪人によるサイン会の始まりです。


「さぁ、何時までもここで対応していても困るしな。さっさと王城へ向うぞ」


 首領に促され、王利たちは歩きだす。

 人波が割れるように避けてくれるが、代わりに背後に人だかりが出来てきていて恐ろしい。

 このエルフだらけの人波で動揺していないのは首領だけのようだ。

 あ、一応、美人限定で少女っぽい容姿なら全部行ける口らしいマサシさんはいっそ男らしく道行く少女にナンパしていた。

 全部玉砕だけどなかなかに行動力のある人である。

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