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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
怪人 → 学園
294/314

首領様は見た

 ここ最近、風音に連れ回されてよく眠れない。

 ラナは目の下に隈を作りながら起き上がった。

 物凄く眠い。だけどこれがら学校である。


 風音に言い聞かせて学校中だけは呼ぶなと確約させたものの、寝る間も告げるべきだったかと早くも後悔していた。

 呼び出される回数が、最近また増え出した。


 風音が正義の味方と知り合う程にその頻度が上がって行く。

 効率のいい方法をとりだしたためラナの負担は増える一方である。

 なんとかいい方法が無いか首領に頼んでいるが、今のところはどうにもならない。

 こうなればクルナと共に別世界にでも飛んでしまった方がいいんじゃないだろうか?

 そんな気分にさえなっていた。


 だからだろうか?

 クルナと共にその部屋を訪れたのは?

 森本王利。唯一異世界を行き来できる腕輪を持つ男。


 少し気分転換にでも異世界に行きたいとお願いしよう。

 そんな軽い気持ちでラナは王利を訪ねたのである。

 そして、見た。


 男と女の交わりを。

 まさかの衝撃的事実に呆然と魅入っていた。

 クルナと二人、見てはいけない秘め事を見てしまったのである。


 ただ、直ぐに気付いたらしいエアリアルが現れ二人を別の場所へと移動させる。

 思い描くだけの転移を使われたのだが、場所が変わってからもしばらく自我が戻って来ないラナとクルナであった。


「お子様には刺激が強過ぎるのですよ」


「……っは!? エアリアルさん! 今の、今のはっ」


「とりあえず、忘れなさい。全て私が撮影済みだから問題無い。じゃなくて、今のは忘れてしまいなさい」


「なんだかいろいろと問題発言聞いた気がするけど、聞かなかったことにしとく。というか、クルナちゃんにはちょっと刺激強過ぎたみたい。まだ帰って来てないよ」


「それはいいんだけどさぁ、私は王利を祝福すべき? それともこれをネットに拡散すべき?」


「とりあえず拡散は無しで」


 さすがにこの衝撃の事実をネット拡散させてしまうとバグソルジャーにも痛手がでたことを世間に知らしめる結果になるので黙っておくほうがいいのだ。

 誰も正義の味方が悪の怪人と恋仲になっているなど知りたくはないだろう。

 正義に認められた悪など……いや、今の日本であれば普通に受け入れられそうではある。

 ラナリアに支配されているため怪人が闊歩し正義の味方と肩を並べることもしばしば。


 前は敵対していた組織と共同作業などもあるため、怪人も正義の味方も互いの知り合いがどんどん増えている。中には恋仲に発展し始めているのもいるかもしれない。

 ラナは社内恋愛、怪人と正義の味方恋愛も許可しておくべきかなっと結論付ける。


 今の場合だと粛清を恐れてそういう感じのことは見つからないよう隠れてとか、自然と別れるみたいな風潮があるし、正義と悪の垣根はそう簡単に取れないようだ。

 頭の中がピンク色に染まらないよう、ラナは必死に仕事について考える。


「ククク、ついにヤりおったか」


 そんなラナを嘲笑うかのように彼女自身の口から下卑た笑いが漏れる。


「首領さん、悪趣味です」


「ふん。黙れ小娘。あの二人がくっつくのは今か今かとやきもきされられていた身になってみろ。貴様等が我等と知り合う前から相思相愛の隷属関係だったというのに未だに童貞と処女だったのだぞ。それがどうだ。晴れて二人は恋人同士。肉体関係を持ってしまえばバグパピヨンは完全にW・Bから逃れられん。ふふ、バグソルジャーには辛酸を舐めさせられたが、ようやく一刺しといったところか」


「というかラナ。折角そいつから解放されたのに、何でまた体内に住まわせてるの!?」


「あ、クルナちゃんが戻ってきた」


 忘我の世界から帰還したクルナに気付いたラナが微笑む。

 そんなラナの表情が一瞬で見下した笑みに変わった。


「ふっ。別に我が無理矢理侵入したわけではないぞ。ラナの方から私に体内で指南してくださいとだな」


「本気で言ってます首領さん? 結構強引だったじゃないですか。あ、でもクルナちゃん。大丈夫だよ。私、首領さんの真名を教えて貰って私とクルナちゃんの人格や脳を二度と奪わないって言霊にしたし。ちゃんと掛かったの確認できたから大丈夫だよ」


「そういう問題じゃないじゃないッ!?」


 どこまでも能天気に話すラナにクルナは慌てていた。

 それが本当なら確かに嬉しい出来事だ。ラナがレウコクロリディウムに乗っ取られることがなくなるのだから。

 だが、待ってほしい。

 脳内に奴がいるということを、ラナは許容してるのか?


 クルナは焦りながらも考える。

 ラナは確かに解放された。でも、自分から束縛を望んで居れば、意味が無い。

 操る事が可能な首領が脳内にいること、それ自体が大問題なのだ。

 なんの警戒も抱いていいないラナに、思わず危機感が募るクルナだった。

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