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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
怪人 → 学園
293/314

一線を越えしモノ

 その日、いつものように寮で起きた王利は、布団の中にまで侵入していた葉奈を起こさないように上半身だけ起き上がる。

 またか。という思いでいっぱいだった。


 この寮に来てからというもの、週に一度はこうして布団の中に葉奈が入っていることがある。

 特に正義の仕事を終えて帰って来た時等は、即行ダイブインだ。

 王利としても役得ではあるし、周囲から迷惑だとも注意されていないので、甘んじて受け入れている。


 そろそろ、本当に葉奈が限界らしい。

 公衆の面前であるこの寮内ですらキスを迫って来始めたのだから相当切羽詰まっているのだろう。

 王利も、覚悟を決めねばならない日が刻一刻と迫っていることを悟らざるを得なかった。

 それでも、踏ん切りがつかない。


 一番のネックは、やはり葉奈に掛けられた奴隷思考だろう。

 その問題さえなければと王利は悔やむ。しかし、そこから自分と葉奈の状況も始まったのだといえば、自分としても葉奈と本当の意味で彼氏彼女の間になりたいとも思い始めている。


 一生、葉奈を背負う覚悟があるか?

 正義の味方と悪であること、それを飲み込んだ上で彼女を幸せに出来るか?

 自分を信頼し、未だ重用してくれる首領を裏切る行為になったりはしないか?

 もしもコリントノヴァの奴隷化が解除されるような状況があれば、その後葉奈がどう行動しても納得する覚悟があるか?


 未だに答えは出ていない。

 きっとこれからもこの疑問には答えは出ない。

 王利は、出来るならば覚悟を決めておきたい。だが、きっと近いうち、葉奈は自分から王利を襲うだろう。


「あああ、また! 最近いっつも葉奈さんに先越される!」


 部屋に押し入ってきたルクティエは、葉奈を発見するなりそんな事を宣う。

 わざわざ葉奈を指差しぷんすか怒りだすルクティエだが、少し怒ると直ぐにはぁと溜息一つ吐いて王利らを見回した。


「マサシ兄さん、悪いんだけど仕事よ。新たな魔法少女が来たわ」


 悪の魔法少女とやらと闘うルクティエは、マサシを引き連れ去って行く。

 いきなり真剣モードになられてちょっとびっくりだ。

 王利は呆気にとられながらもベッドから這い出て周囲を見回す。

 そういえば、カルヴァも要も部屋に居ない。


 珍しいなこの時間に俺ら以外誰も居ないなんて。

 と、本当に珍しいと感嘆を漏らしつつ、王利は葉奈を揺り起こす。

 寝ぼけ眼で起き上がった葉奈に誰も居ないし、さっさと支度しようと告げてやる。


 寝起きなせいかぼぉっとした顔で周囲を見回す葉奈。

 少しずつ覚醒して行くごとに自分が置かれた状況を理解していったようだ。

 なるほど。と納得して王利の腕を引っ掴んだ。


「じゃあ、しよっか?」


「ちょ、ちょっと待った葉奈さん、さすがに脈絡もなにも無いんだが」


「個室、誰も居ない、二人きり。脈絡なんて、必要無いでしょ?」


 いっそ妖艶に微笑む葉奈。

 珍しく見せるモノ欲しげな顔に王利はゴクリと喉を鳴らした。

 どうやら、葉奈の暴発が始まるのは、今からだったらしい。


 覚悟を決めれたか?

 否。

 相手の人生を背負う勇気は?

 否。


 だけど……受けない理由はない。断る理由もない。

 だったらもう、覚悟を決めなければならない。今直ぐに。逃げるのは、許されない。きっとここで拒絶すれば葉奈は見限られたと勘違いして死にかねない。


「葉奈さん、本当に、覚悟はいいの?」


「王利君に、全てを捧げます」


「初めてがこんな部屋というのもなんかアレだけど……」


「だって、もう我慢できないから……」


 潤んだ瞳で見上げる葉奈に、うっと呻く王利。

 直ぐに気持ちを静め、王利は葉奈に近づいて行く。

 欲望に流されてはいけない。

 相手が嫌がらないから。全てを受け入れるからこそ、堕としてはならない。理性を保たねばならない。


 彼女が正気に戻れた時に、王利が相手で本当によかったと。素の葉奈に認めてもらうために。

 王利はそっと葉奈の顎に手を触れる。

 ここから先は後戻り等出来はしない。


 否。きっとあの時、腕相撲で勝ってしまった時から、王利は振り返る事すらできなくなっていたのだ。

 彼女の人生を背負い込む。

 一線を引いていた今までとは違う。線の内側に入り込み、葉奈の傍で寄り添い合う。

 そして彼女の全てを奪い。彼女に全てを捧げる。


 その覚悟を、王利は今、ここで決めるのだ。

 どうか、邪魔者が入って来ませんように。

 胸ポケットに入っていたエアリアルの存在が不意に消える。

 どうやら彼女も気を利かせたようだ。


 有難いと心の中でお礼を言って、王利は葉奈の顎を持ち上げ、潤む唇へと唇を重ねた。

 もう、今までの関係では居られない。

 きっとこれから彼女は堕ちていく。

 王利はそんな彼女が一線を越えないよう、手助けして行かなければならないのだ。


 二人だけの熱い朝が始まった。

 いろいろ考えました。くっつかないままエンディング向うか、途中で洗脳解けて闘うか、くっつくか、あるいは放置プレイで狂って行くとか。

 結局さっさとくっつけた。

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