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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
怪人 → 学園
288/314

蜘蛛娘は眠らない5

 クラフトレンジャーとアニマルブラザーズの活躍により、秘密結社クライスラント帝国は滅びた。

 圧倒的戦力差をモノともせずに闘った正義の味方達の奮闘を、風音は一生忘れはしないだろう。

 なにせ写真に撮りビデオに残し、絵に残しと忙しく動きまわったのだから。


 終始彼らの栄光を記録に残すだけの存在に徹した風音のもとへ、またも電話が鳴った。

 思い残す事はないといった至福の顔で受話した風音は、即座に目を見開く。

 信じられない。まさかのヒーローが、幻のヒーローが、北海道に出現する。


「すぐ、行きます!」


 風音はクラフトレンジャーからお打ち上げの誘いを断腸の思いで断り、次なる正義の味方の元へと旅立ったのである。

 時間はなかった、

 変身して駆け抜ける事でぎりぎり間に合う時間帯だ。


 その後、彼女は西へ東へ奔走する。

 無数の正義の味方からの電話がひっきりなしにかかってくる。

 学生としては厄介な状況だが、風音にとってはむしろ御褒美でしかない。


 頼られている、

 正義の味方の皆さんが、私を求めていらっしゃる。

 その幸福は、何事にも替え難し。


 しかし……過ぎたるはなお及ばざるが如し。とはよく言ったモノ。

 今回青森のクラウンガナッシュと静岡のティーレンジャーから同時にお誘いを貰ったのである。

 クラウンガナッシュの方は丁度別の正義の味方と会ったから一緒に食事でもどうかという誘い。

 ティーレンジャーからはティータイムに一緒しないかという同時進行不可能なお誘いである。


「ふっ。この身体が二つあればと切実に思いますね。しかたありません。奥の手を……使います!」


 風音はそう宣言するとスマホを弄って電話を掛ける。

 出て来た相手は……


「って、なんで私の電話番号知ってるの!? クルナちゃんと首領さんにしか教えたこと無いのにっ!?」


 首領に話すこと自体が間違っている。

 そう思いながらも風音は連絡を取りつけた。

 そして彼女のすぐそばに現れたのは、ラナリア首領、ラナである。


「ごめんね。ちょっと移動時間が足りなくて」


「自分の上司である首領を移動手段に使うってどうなんでしょう?」


「私は効率重視です。使える者は神でも使う。さぁ、ラナさん、日本で戦う正義の味方達の元へ向いましょう! まずは青森でクラウンガナッシュと一緒に食事を行い、次にティーレンジャーと放課後のティータイムとしゃれこみましょう!」


「あの、学校あるんだけど」


「移動だけお願いします。食事終わったら連絡するので迎えに来てください!」


「この人完全に私をタクシー扱いだ」


 そういいつつもちゃんと送ってくれるラナはお人よしだと思う風音だった。

 多分、彼女は悪の結社には向いていない。

 いや、むしろこういう娘の方が悪の結社の首領としては御しやすくはあるのかもしれない。

 隠れ蓑とするには恰好の人物なのだろう。


 優しい心根を持ちながらも悪として行動し、無駄に力を持っている少女ならば、正義の味方も気を許してしまいがちになり、余程自分の正義に酔っている気違いでもない限り敵対はしない。

 そんな正義の味方達が彼女に釘づけになっている隙に、真の首領が裏で好き勝手行うのだ。


 クラウンガナッシュとの食事を終えると、ラナに連絡を取りティーレンジャーの元へ。

 まったりお茶をし終えた風音に再び電話。

 今度は熊本の黒いクマのヒーローが撮影会をやるので一緒に出ない? という誘いだった。

 当然、ラナを使って即座に出向いた。


 撮影会が終わると今度は長野に、そして新潟、福岡、栃木、西表島、軍艦島と無数の場所に案内して貰い、風音は今まででは諦めるしかなかった無数の正義の味方達との邂逅を行う事に成功した。

 そして……


「次は島根で……」


「いい加減にしてくださいっ。私はあなたのアッシーさんじゃありませんっ」


 さすがのラナもキレました。

 ちょっとやりすぎたな。と反省した風音だったが、今回の島根行きだけは絶対に行かねばならない。なにせ数百年に一度だけ目覚める正義の味方がついに復活するらしいのだから。


「お願いっ。これが最後の一度ですから。首領!」


「……ああもう、本当にこれで終わりですよ。今日一日、私の時間悉く潰れたんですからね!」


 ちなみに、この時、時刻は午前0時を回ろうかといったところである。

 そろそろオネムらしいラナは眠たそうに睨みつけて来る。

 そう言えば、今日で貫徹二日目になるのか。風音はふと思ったが、どうでもいいので脳内から削除する。


「最後ですし、一緒に行きましょう。数百年に一度しか姿を見せない正義の味方の伝承があるんですよ。それが明日、日付変更から少しの間しか現れないそうなんです!」


「はいはい。分かりました。とりあえず島根ですね」


「よろしくお願いしまーす」


 こう言う時だけ無駄に丁寧にお辞儀する風音だった。

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