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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
怪人 → 学園
287/314

蜘蛛娘は眠らない4

「よぉ風音。暇か?」


 スーパーボーイのサインを手に入れホクホク顔をしていた風音に、そいつからの電話があった。

 そいつは正義の味方の一人である。帰りの電車に乗り込みながら、風音は電話にでるのだった。


「暇と言えば暇ですし、忙しいと言えば忙しいですけど、何かありました?」


「ありましたか? じゃねぇ。今からあるのさ。俺らクラフトレンジャーとアニマルブラザーズでクライスラント帝国の本拠地を急襲することになってな。今栃木なんだけど、来るか?」


「マジっすか! 行く、行きます。時間大丈夫ですかね。これから東京帰るとこなんですけど?」


「はぁ? お前どこいんの?」


「大阪です。スーパーボーイ来日するってんで色紙貰って来ました。写真も撮りましたよ!」


「マジかよ! ついに外国のヒーローにまで手を出したのか」


 なれなれしい態度なのは親愛の証。

 風音と知り合い交流する事で気を許した正義の味方は数知れない。

 彼女が悪の怪人だと、すでに何組かの正義の味方は忘れてすらいるだろう。


 そして彼女が悪行を行うはずが無い。俺達に憧れる改造されただけの少女だ。

 そう思っているのかもしれない。

 しかし、風音の基本精神は無垢なる悪である。


「よし、全速力でそっち行きますね! flexiоn!」


 正義の味方に出会うために。彼女はルールを守る気など毛頭ないのだ。

 当然、このまま電車に揺られて東京までゆっくりする気はない。

 変身した状態で窓を開けると、驚く見回りに来た車掌さんの前で窓から外へと飛び出した。


 関空から東京へと飛ぶ飛行機に糸をひっ付け飛び上がる。

 そのまま一気に東京へ。さらに丁度北海道へと飛行を始めた航空機を見付けてそちらに糸を付けて移動する。

 まさに一気に時間を短縮した風音は、栃木手前で糸から落下。

 周囲のビルに糸を巻き付け自身の落下を止めるとバスの上に落下する。

 糸を幾つもの障害物に巻き付け威力を殺したため、バスの上に落ちた時もトンという小さな音だっただろう。


 バスに乗る誰にも気付かれることなく屋上に無賃乗車した風音はスマホで時間を確認する。

 これだけ時間短縮すれば間に合うだろう。

 もう一度電話を掛け直して現在地を確認、自分の方から向う事にする。


 所要時間約二時間で、大阪から栃木への移動を可能にした風音だった。

 そんな彼女が向った先にあったのは、巨大研究施設。

 人里離れた郊外にひっそりと、しかし大胆に存在する施設を前に、五人と二人の戦士たちが待っていた。


「って、早ぇなオイ!?」


「どうせだから殲滅直後くらいに来る計算で突入しようって今話してたところだぜ!?」


 クラフトレンジャーは紙を軸にした正義の味方である。赤青黄色にグリーン白。この五色の戦隊ヒーローとして、栃木の一角を守っているのである。

 そしてアニマルブラザーズは動物の姿をした変わった兄弟だ。

 なんでも初めて正義の味方になったのがアニマルコスプレを行っていた最中に現れた怪人である。


 でクライスラント帝国の怪人さんを自力でぶっ倒して、こんな奴らがいるなら自由にコスプレしていられない。何より自分たちで倒せる敵なら、俺らがぶっ倒すしかないだろう? という理由から、スーツを作り、知り合いの薬学師からドーピング剤を施行して貰いと、肉体改造をした結果、ヒーローとしてやっていく力を身に付けたのである。


 ある意味悪の結社に近い存在とも言える。

 やったことは非合法のドーピングに人体改造。

 まぁ、自分たちの身体ってことと、無条件で闘う相手が悪の怪人だということで、ヒーローに見られているが、風音としては彼らは悪の秘密結社を狩るだけの悪の怪人だと思っている。


 それでも正義の味方には変わりないのだ。ダークヒーロー部門に写真を収め、施設を見上げる。

 これから彼らは死闘に入る。

 風音はそれに付いて行って活躍を激写するだけである。

 危険? そんなモノは付きものだ。なので一応変身だけはしたままにしている。


 さすがに秘密結社の本拠地だけあっているわいるわ戦闘員。

 オギャーという赤ちゃんの泣き声なのか悲鳴なのか判別不能な声が無数に響く。

 なぜこの鳴き声にした?

 風音は呆れながらも一眼レフでひっきりなしのシャッターチャンス。


 ヒーローが闘っている姿を余すところなく写真に収めて行く。

 直ぐにネガ切れになるので素早く入れ替え連続接写。

 ちなみにこの無数のフィルムは常時蜘蛛糸で作ったアイテム袋に常備されていた。


 この前知り合いの知り合いにアイテムボックスという謎使用の空間に道具を入れられるアイテムを所望したのだが、予備を持っていないのでまた買ってきたらくれてやると言われたのだが、結局まだ渡して貰っていない。

 もしも大容量空間を自由に持ち運べていたのなら、もっとフィルムを保持していたのに。

 悔しがりながらも、風音はひたすら写真を撮り続けるのだった。

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