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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
怪人 → 学園
265/314

ヒストブルグ案内5

 闘技施設を後にした王利たちは、桃香によって幾つかの施設を案内された。

 調理研究施設に人体改造施設、保健室、加速場、トレーニングルーム、職員室、事務室、購買所。

 それを回る頃には日も昇り、そろそろお昼といった時間帯になっていた。


 ちなみに、調理研究施設はおもに炊き出しなどを行いたい正義の味方たちが学園長に直談判して作らせた施設であり、簡易なおかゆから三ツ星シェフも真っ青の高級料理の作り方まで幅広く教えてくれる先生が居るらしい。

 選択科目で料理を選ぶと使えるのだとか。


 人体改造施設というのは主に既に改造をされた生徒が受けられる簡易メンテナンスなどを行う施設だそうだ。

 ヒストブルグの技術者が数人常駐しているらしい。

 なんらかの事情でラナリアに戻れそうにない場合はここでメンテナンスを受けるのもありだそうだが、王利の身体をメンテナンスしてくれいるのは、今はほたるんとハルモネイアがいるので受ける気はない。

 そもそも下手に正義の施設でそんなモノを受ければ研究素材にされるだけだ。


 さすがに隙を見せる訳にはいかない。

 一応悪の怪人としての自覚はある王利。このヒストブルグ内ではあまり気を落ち付ける訳にはいかなかった。

 それに、今はエアリアルがいるので思考一つでメンテナンスをする必要も無かったりする。


 保健室はその名の通り良くある施設だ。怪我を負った時に消毒したり気分が悪ければベットで眠れる。

 ただ、他の保健室とは違い手術室が存在しているのがここの凄いところだ。

 重症患者も見てくれるし、最悪人体改造施設と連動して機械人間として甦したりするそうだ。


 加速場は外に造られた滑走路である。

 飛行能力を持った正義の味方が飛行訓練をするために存在する施設で、飛び方から空中戦まで教えてくれる飛行訓練授業を取れば誰でも使えるらしい。

 ただし、飛行能力が無ければ選択する必要のない授業であった。


 トレーニングルームは戦闘施設であるが、過去、正義の味方達が闘った怪人たちを元にして造られた仮想敵と実際に戦える施設である。

 単体戦と団体戦が行えるらしい。


 職員室を教えてくれたのは、わからない時に質問をするために訪れたり、時間が来ても来ない一部先生を直接呼びに行くためだそうだ。

 事務室は入学書類や卒業証書再発行など入学から卒業後までお世話になる施設なので今のうちに知っておいて損はないということらしい。

 そして購買所。普通に学校にある筆記用具から簡易な武器まで幅広く取り扱う量販店だった。


 ノートや消しゴムと一緒にフレイルや破砕棒などを見かけた王利は声を失う驚きを覚えたくらいだ。

 売り子は年の若い女性。ここの卒業生らしい。

 正義の味方として大成出来なかったかわりに未来の後輩たちに夢売るのが仕事だとか言っていたが、おそらく惰性の妥協で就職したのだろう。

 ただ、彼女にとってはお似合いの職場に思えた。


 そして、王利たちは食堂へとやってくる。

 丁度昼時なためか結構賑わっている。

 桃香に説明を聞きながら王利たちは食券を買ってレジに並ぶ。

 この食堂には券売機が存在し、そこで買った券をカウンターに持って行き先にレジを済ませる。

 そして番号札を渡されてしばらく、出来た料理がトレーに乗せられ出て来るので、これを持って席に向うというスタンスだ。


 ラナとクルナはわくわくした顔で券売機を眺めている。

 こういうモノは初めてなのだろう。

 ラナリアにも食事処はあるし、似た様な造りのはずだが、どうやら二人はその施設を利用していない様子。現世の食事処も行ったことが無いとなれば、煌めく瞳で券売機を眺めるのも仕方ないことだった。


 王利さん、どれ、食べたらいいですか!? 王利、私、全部食べてみたい! など、二人からなぜか意見を聞かされる王利は苦笑しながら桃香に視線を向ける。

 さっさと選べと冷めた視線を返され、押し黙る様に素うどんの券を押してしまったのは失敗だった。


 二人にも毎日食べられるからと誘導するように一つだけ選んでもらい、エアリアルに呆れられる中、券を持ってレジへと並んだ。

 そして桃香が取ってくれていた四人用のテーブルに桃香の分の食事も持って向うのだった。


「まぁ、常識として分かるだろうけど、これからは空いてる席には一人は常駐しておくように、席取りしとかないと直ぐ満席になるから」


「そうなの? じゃあ言霊使って……」


「クルナちゃんアウトー。そんなことで言霊使っちゃダメです」


「冗談よ。とりあえずこれからは三人で順番に行く?」


「俺が纏めて持ってこようか? 一応怪人だし、ラナリアじゃこの中で一番下っ端のようなもんだし」


「それは悪いです。王利さんこそこちらで悠々自適に過ごしてください。私達が取って来ますよ」


「いや、ラナちゃん、王利に遠慮しすぎでしょ。顎で使っていいって本人が言ってるんだし、使ってあげればいいじゃない」


「ダメー。王利さんはクルナちゃんと私を救ってくれた勇者様なんだから。むしろ私の方が王利さんのために動くべきだよ。人生の恩人なんだよ!」


 別にそんな大したことはしてないのだが。王利は思ったモノの、口には出さないことにした。 

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