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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
怪人 → 帰還
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クルナの決断1

「で、いつまで抱き合えばいいのかな?」


 折角大団円で閉まろうとしていたところ、首領様がぶち壊してくれていた。

 声質が変わったのに気付いたクルナが慌ててラナから離れる。

 ラナもとい首領がクックと笑みを浮かべ、クルナが悔しげに睨みつけた。


 そう、確かにクルナはゲルムリッドノートからは解放された。

 しかしラナもクルナも首領からはまだ、解放されていないのである。

 それに気付いたクルナが歯噛みするが、首領はソレを見て笑みを深くするだけだった。


「首領、あまりイジメたげないでください。二人ともまだ子供なんですよ」


「むぅ。私に意見する気かW・B。少し会わん間に偉くなったモノだな」


「まぁ、首領に対して対等に意見言えそうなくらいには、多分なってます」


 頭を掻きながら告げるW・B。

 王利は自分の状況と今までの経験を思い出しながら首領への接し方を計りかねていた。

 確かに、敬うべき首領ではあるし、裏切る気持ちは一つもない。

 でも、聖女であるラナを見て来たせいだろう。

 クルナとラナには幸せを掴んでほしいと思う自分がいるのもまた、事実なのだ。


 そして、今の王利には言霊は通じない。

 唯一の危険は首領自らが王利の体内に侵入して乗っ取ってくる事だが、彼の口は殆ど見えない程に小さい。

 人間の開いた口より複雑なW・Bの口に入るより先に、首領を行動不能にするのは訳ないだろう。


 それに、彼の近くにはエアリアルがいる。

 彼女も言霊が有効になる次元よりも上の存在だ。

 おそらくアルもそうだろう。

 ならばこそ、恐れを抱くことはない。


 あれ程雲の上の存在だった首領、今では手のかかる子供のようにしか、王利には感じられなかった。

 だから、対応を計りかねている。

 今までの様にただの部下としては接しきれないのだ。


「ふん……『森本王利、土下座して許しを乞え!』」


「あらあらぁ、王利、土下座しろって言われたよ。どうするの? するの? ……城よ土下座しろ。ぶふっ。また凄いの思いついぶふぅっ」


 しょうもないダジャレで爆笑するエアリアル。耳元でうるさかったので指ではじいて黙らせた王利は、ラナの頭を撫でて諭すように言う。


「首領、気に入ってる相手には意地悪しちゃだめですよ。ちゃんと仲良くしましょう」


「ちょぉっ!? なぜ我を思春期の始まった小学生男子みたいに扱うっ!?」


 予想外の王利の行動に、首領はついされるがままになっていた。

 慌てて手を頭から引っぺがす首領。

 一気にまくし立てようと口を開くが、突然王利は立ち上がる。

 あっと声を出しながらモニターの辺りに向うと、何かを摘み取る。


「エアリアル、コレ、バグ発見した」


「あ、ホントだ。何ソレ? ソラマメ? 目と口があるよ」


 虚空を相手に笑い合う二人を見て、首領もクルナもぽかんとしていた。


「首領、レウコクロリディウムだったか、聖女からの伝言があるのだが……」


 話が脱線しまくっていると感じたアルが溜息を吐きながらラナへと近づく。


「聖女、話から要訳するに未来から来たラナ。でいいのか? で、なんだ?」


「できれば内密がいい。二人きりでな」


「よかろう。ならば『ありとあらゆる事象よ、我と目の前の人物をインペリアの元へ導け』」


 ラナとアルが消え去る。

 それに気付いたクルナがあっと声を洩らすが、そんなクルナには王利とエアリアルが近づいてくる。

 そして、掌を見せて来て言うのだ。


「なぁクルナ、コイツ面白い顔してるよな?」


「違うわよ王利、これは凛々しい顔だってば」


 何も無い虚空を差してクルナに同意を求めて来る二人に、先程までの感動はどこへやら、どうしたらいいのか戸惑うクルナだった。


「あ、あの、それよりラナの話を……」


「ああ、そうだった。って、アルはどこいった? あいつからの話の方がより分かりやすいのに」


「また聞きで話す?」


「クルナがよければだけど……」


「ええ。教えて欲しい。私が暴走してしまった結末を、ラナちゃんに背負わせた苦労を、それと、ラナちゃんが普通に存在してたなら、首領はどうなったのかも!」


 縋りつくように王利を頼るクルナ。

 その姿だけで余程ラナを大切に思っていると気付かされた王利は、エアリアルと顔を見合わせる。


「じゃあ、とりあえず応接室で座って話そう。立ち話もなんだしさ」


「あ、そ、そうね。ところで、そっちのエアリアル? そいつは何者なの?」


「私? 私はそうね……王利のお目付け役、みたいな?」


「ただの道楽で付いて来ただけだろ。こう見えても俺らより高位の存在らしいからさ、言霊とかも効かないらしいよ」


「そう……やっぱり、この力は万能じゃないのね」


「万能ではあるよ。あなたの存在していた座標軸までなら十分に」


 慰めるようにエアリアルはクルナの頭に向うとぽんぽんと手で叩く。

 そんな行為に困った顔を浮かべるクルナと共に、王利は応接室のある部屋へと向うのだった。

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