表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
聖女 → 魔法
242/314

ラナリア浸食中5

 ベジタブレンジャーは愛媛で活躍している正義の味方である。

 レッドのキャロットスカーレットは五人組チームでは珍しい女性リーダーだった。

 構成員はキャベツグリーン、オニオンブライトゴールデンイエロー、ポテトブラウン、エッグプラントバイオレット。


 いろいろツッコミどころの多い正義の味方だが、キャロットスカーレットはこのメンツを気に入っている。前は何度か入れ替えもあった。ネギグリーンとか玉ねぎと被るからという理由で泣く泣く別れたこともある。

 そういう奴らは予備要員として鍛練中ではあるのだが、彼らベジタブレンジャーのパトロンとも言える機関で今も頑張っているらしい。


 彼らの戦績は、まぁ中堅といったところだろうか?

 この地域でライバルの様に敵対していた組織をようやく潰せたのと、かなり悪どい出来たての組織を二社ほど潰したので、テレビで特集を組まれるくらいには活躍している。


 珍しい女性リーダーパーティーという事で注目を集めたりもしていた。

 そんな彼女は今……苦境に立たされていた。

 無数の警官が集まり、誰かが拡声器で呼びかけて来る声が聞こえている。


 なんとか逃げて来れた。ここまでは。

 仲間とは散り散りになり、自分はもう、進退きわまってしまっている。

 目の前に居るのは呆れた顔をした女が二人。


 今、キャロットスカーレットは日本中から追われる犯罪者になっていた。

 ラナリアの社員、P・AとA・Pという怪人を拐した誘拐犯として、警察に追われているのである。

 既に、テレビ放送までされ、顔写真が広く世に出回ってしまった。

 ラナリアに敵対した悪の正義の味方として、でかでかと世に醜聞を広めてしまったのだ。


 ありえない。

 何故こんな事になったのか?

 彼女は自分の辿った行動を思い返す。


 きっと、彼女たちは調子に乗っていたのだ。

 ようやくライバルの秘密結社を倒し、さぁ打ち上げだ。

 そんな時に電波ジャックによるラナリアの放送である。

 日本規模で新たな悪が名乗りを上げた。


 きっと、彼らを倒さねばと思ったのは、ベジタブレンジャーだけではないはずだ。

 しかし、ラナリアは放送を行い数カ月もしない内に、国会で認められ、法律に記されたのだ。

 日本はラナリアを必要悪と認定すると。

 正義の味方がラナリアを何の理由もなく攻撃することを禁ずると。

 法律の網を掻い潜っても無視すると。


 そんな組織を、野放しになど出来るハズが無かった。

 各地で正義の味方が立ちあがる。

 ベジタブレンジャーも、そのうちの一つであった。


 手始めに、愛媛にラナリア構成員がやってきたことを掴んだ彼らはさっそくラナリアに宣戦布告をすべく姿を露わした。

 蜜柑農家で蜜柑採取を手伝っている女性二人と護衛役の戦闘員10体が今回の相手である。


「あなたたちがラナリアね!」


 いつものように、キャロットスカーレットは前口上を告げ、変身する。

 相手は自分たちが敵と認定されていることに気付いてなかったのか、蜜柑片手に呆気に取られながら彼らの変身を見守っていた。


 五人戦隊は変身を終えると共に先制攻撃。

 まずはイエローのオニオンボンバーが炸裂。

 戦闘員たちが盛大に吹っ飛ぶ。

 が、さすがに旧インセクトワールドから闘い抜いてきた戦闘員たちは、今まで彼らが闘っていた戦闘員たちとは地力が違った。


 不意の攻撃で三人が木々に激突。農家のお爺さんが蜜柑がァ!? と絶叫するも、戦闘員たちは大したダメージもなくすぐさま戦闘体勢を取る。

 だが、怪人二人は困った顔でどこかと連絡を取り出しただけだった。

 さらに報告を終えた後には農家のおじさんに丁寧に謝る始末。

 その姿をみると、キャロットスカーレットは自分たちの方が悪い事をしている気がしてしまう。


 しかし、と気を取り直す。

 相手はラナリア。自分たちが悪の秘密結社であると名乗りを上げ、日本を席巻している今一番勢力のある悪の組織なのだ。

 悪を挫く正義として、彼らを倒す事に何の呵責もありはしない。

 しない、はずだった。


 戦闘員たちと闘いを繰り広げる。

 だが、その戦闘員たちが以外に強い。そして粘る。

 まさに怪人たちには指一本触れさせないという強い意志を持って彼らの妨害を行ってきた。


 戦闘員相手に一人も倒せない。

 そんな闘いが数分続いた時だった。

 サイレンが鳴り響いた。


 どこかで事件?

 ふと、そんな事を思ったキャロットスカーレットだったが、パトカーがこの農家の前に止まり、無数の警察官がこちらに向ってくるのを見て、何処で事件が起きているのかを知った。

 つまり、自分たちが当事者だったのだ。


 意味が分からず呆気に取られたキャロットスカーレットに近づいて来た警官は、愛媛訛りの言葉で彼女を逮捕する。

 え? と自分の手に嵌められた手錠を見るキャロットスカーレット。意味が分からず理由を尋ねる。

 すると、なんとラナリアの怪人に対して暴行罪で逮捕するのだと言われてしまった。

 さらにオニオンブライトゴールデンイエローは蜜柑をキズものにしたということで器物損壊。爆発物所持の現行犯逮捕。


 いや、待って、意味分かんないから!?

 こうしてベジタブレンジャーは警察に捕まって……など居られる訳がなかった。

 彼らは正義の味方として悪を倒しに来ただけなのである。


 一斉に手錠を破壊する正義の味方。

 すると警官たちは腰元のホルスターから拳銃を引き抜き、抵抗すれば撃つぞと、まるで凶悪犯を相手取るかのように正義の味方に銃口を向けたのである。


 意味が理解できなかった。

 だが、農家の住人も、警察も、皆がベジタブレンジャーを犯罪者だと見ている事だけは理解した。

 だから彼らは咄嗟に逃げた。


 威嚇の銃弾が空へと飛んで行く。

 咄嗟に、本当に咄嗟に、キャロットスカーレットは怪人たちを盾にして逃げていた。

 民間人から逃げるため、怪人を人質にして逃走してしまったのだ。

 今更ながら、自分を殴りたくなるほどの失態であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ