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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
ラナ → ラナリア
232/314

クルナの叛逆5

「何の真似だ、クルナ……」


 心臓を破壊され、それを見た首領は能面の様な顔でクルナを見た。

 当の心臓を貫いているバグアントのことなど完全に無視している。


「叛逆よ。ラナを救うには私がゲルムリッドノートを捨てるしかない。私はあんたを殺すまでゲルムリッドノートを捨てる気はない。なら、その全てを上手く行かせるなら、方法は一つ。レウコクロリディウム。お前を殺す。私が私の意志で確実に」


「なるほど……もう少し、慎重に行動するかと思ったが、見誤ったか……」


「そうね。お前は余りに早くラナを使いすぎた。そしてゲルムリッドノートの魔法を見誤った」


「私に攻撃は出来ないはず……だと思っていたからか?」


「ええ。一応間接的な偶然での殺害ならできるかもと思っていたけど、確実性は無かったから、この魔法を見付けた時は歓喜したわ。ディスペル・オールマイト。あらゆる呪いを打ち消す魔法。もちろん私達の言霊による制約もね」


 倒れる首領。

 そのからだから芋虫の様な何かが這い出て来る。

 少し機械がかったその虫を、クルナは思い切り踏みつけた。

 ブチュリと嫌な音が響いたが気にしない。


「……やった?」


 清涼感も達成感もなかった。

 ただ、潰れた虫を見たクルナは、何かが終わった。それだけを理解した。

 しばらく見つめていると、クククと笑いが漏れる。

 まだ生きていた? と思ったが、笑いが漏れでていたのは自分の口からだった。


 認識すると笑いが止まらなくなった。

 あれ程傲慢で、圧倒的で支配的だった首領が、死んだ。

 クルナが殺した。トドメを刺した。

 潰れた死骸が余りに無様で笑いが溢れて止まらない。


「ククク、ふふふ、あはははははッ!! やった。やったわ! 私は自由よッ! ラナも救った! 私が救った! このクソ虫ッ! クソ虫! クソ虫がッ!! 今までよくも私に苦渋を舐めさせたわねッ!!」


 思わず首領の死骸を何度も踏み、にじる。

 愉快だった。あれ程願っていた願いが叶ったのだ。

 あまりにも楽に叶ってしまった。


 夢じゃないのかと思うがこの足元の感触は確かにある物だ。

 クルナは歓喜にむせびなく。

 ようやく、ようやく自由を掴み取った。

 虎視眈々と願っていた思いを成し遂げたのだ。


「く、クルナ、貴様。なぜこんな事をっ!?」


「ふふふ、あはは……は、なに、が? こんなことって何か問題あるの?」


「あいつは確かに悪だがこんな騙し打ちの様な、正気か!?」


「何か問題ある? 悪の首領を倒した。それだけでしょ? これで私もラナも救われる」


「そ、それはそうだが……」


 その時、血相を変えたラナが舞い戻ってきた。首領が付いて来ていないことに気付いて戻ってきたらしい。

 現状を見た彼女は思わず口元を手で塞ぐが、クルナを見て悲しそうに眼を伏せる。

 何かを察したラナは悲しげにクルナを見た。


「クルナちゃん、なんてことを……」


 クルナは狂喜乱舞する。ラナの思いなど気付くことなく、自分がラナを救えたことに、自由になったことにだけ喜んでいる。

 クルナはもう用はないとゲルムリッドノートを閉じると、彼に告げた。


「これで、ラナが首領をする必要はなくなったわ。ほら、ゲルムリッドノート、契約破棄よ。私の目的は達したわ。悪いけど次の人を探してくれる?」


『ぎゃははは。おいおいクルナちゃんよぉ。そりゃあ無理な相談だぜ。てめぇのやりたいことやり終えたからはいさよならってか? 世の中舐めてんのかぁ? てめぇの用事が終わりゃあ俺の用事をするに決まってんだろ。契約は続行だバァカ!』


 クルナの笑いが止まった。

 まさかゲルムリッドノートとの契約が切れないとは思っていなかったのだ。

 そもそも、ゲルムリッドノートは用事があるなど今まで言って来てない。

 こいつが何を望むのか、それすらクルナは聞いていなかった。


「で、でも。首領を倒した以上私はもう使わない……」


『バァカが、てめぇが使う気無くても使わせるっつの。いいかクルナァ。意志ある魔道書ってぇのは術者に魔術を使わせるために意志があるんだよ。てめぇはこれからも俺様を使って使って使って使ってぇ。最後にゃ……クク、クハハ。楽しみだなァクルナ。てめぇからはどんなのが出来るかなァ』


「な、何を……言ってるの、ゲルムリッドノート?」


『ようするによぉ、そっちの嬢ちゃんの第六感が正しいっつーこったよ、お馬鹿なクルナちゃんッ。ヒャハハハハ』


 気味が悪くなった。

 クルナは思わずゲルムリッドノートを投げ捨てる。

 が、地面に叩きつけられる瞬間、ゲルムリッドノートが消え去り、クルナの懐に収まっていた。


『テメェらの言う第二十二世界の書物だぜ、タチが悪りぃんだ俺様はよぉ。フヒャハハハ』


「そ、そんな……ら、ラナちゃ、これは、その……」


「大丈夫。大丈夫だよクルナちゃん。私が、必ず私がクルナちゃんを助けるから!」


 首領を倒した幸福感など一瞬で消し飛んだ。

 怯えるクルナの背中に縒り掛かり、ラナが優しく語りかける。

 結局、ラナリアの首領はラナとなり、新たな秘密結社はついに本格的に動きだしたのだった。

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