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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
ラナ → ラナリア
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クルナの叛逆3

「ごきげんよう。バグアントさん、そして……クルナちゃん」


 応接室では既に待機していたラナがソファに座っていた。

 その横には奴がいる。

 インセクトワールド首領。レウコクロリディウム女。


「やっぱり、ここにいたのね二人とも」


「クルナちゃん。その、これはね……」


「ラナちゃんは言わなくていいよ。どうせこいつに丸め込まれたんでしょ。首領さん、私を奴隷にしただけでは飽き足らず、まだラナを縛るつもり?」


「ふ。これはまた心外だな。我は別にラナに強要したつもりはないよ。ラナはラナの思うようにラナリアを動かし始めただけさ」


「おい、だったらなぜあんな電波ジャックをした! あれでは……」


「バグアント、今は私が話してるの。『黙ってて』」


 クルナは邪魔だと思えたバグアントを黙らせると、首領を睨む。


「なぜ。ラナを巻き込むの? のらりくらりと言い躱せばそれで諦めるとか思ってるなら、私を見下し過ぎよ」


「ほぅ。それはまた大きく出たな。まるで私に叛逆できるとでも言いたそうじゃないかクルナ。お前は私に逆らえない。違うか?」


「……だったら、ラナを解放して。私達の世界の能力が欲しいなら私を使えばいいでしょ。わざわざ元に戻れたラナを使わないで。彼女を解放して自由にして!」


「だから、自由にさせているだろう。なぁラナ?」


「そ、そうだよクルナちゃん。ラナリアを立ち上げたのは私の意志なの。だから……」


「ラナちゃんの意志でこんなことする訳が無いじゃない。私達ただの女の子だったのよ。この首領のせいでこんな世界に連れて来られて、いきなり数日で秘密結社の首領をするなんて、絶対にあり得ない。お膳立てして祭り上げて、最後の最後でこいつはラナを再び乗っ取る気に決まってる」


「ククっ。酷い中傷だな」


「クルナちゃん……」


 少し残念そうに眼を伏せるラナ。

 その視線はクルナの懐に存在する一冊の本に向けられていた。


「なら、クルナちゃん。お願いがあるの」


「ラナちゃん?」


「ゲルムリッドノートを捨てて。そしたら。私は元の世界に戻るまで何もしない。ラナリアも首領さんに明け渡すよ」


「なっ!?」


 ゲルムリッドノート。それは首領には秘密にしていた。

 クルナの切り札なのだ。存在すらも知らせたくなかった。

 それをラナが首領の目の前で名前を出したのである。

 いくら親友といえども許せることではない。


「ラナちゃんなんで……」


「その本は危険なの。私には分かるよクルナちゃん。それは、クルナちゃんに必ず害を及ぼすから」


「そうじゃない。そういうことじゃないっ。なんで、なんでこの本のことをこいつの前でっ」


「ん? ああ、もしかしてそれを隠していたつもりだったのかクルナ。お前の部屋から時折ゲラゲラと不快な声が響いてくるから既に知っているぞ。全く、我が使う気すら起きなかった魔道書を開くとは。愚か者とでも言うべきか。嘆かわしい」


「っ!」


 見透かされていた。

 いや、歯牙にも掛けられていなかった。

 その事に、クルナの怒りが頂点に達する。


 抗えないと分かっていても、それでも怒りが首領に向いて行く。

 だが、わずかに残った理性が止める。

 今はダメだ。ラナがいる今の状況で暴走しても首領を殺す事はできはしない。


 けれど確定した。

 首領を殺す。確実に殺す。できるだけ早いうちに、今すぐにでもっ。

 暗い瞳で首領を睨み、クルナは唇を噛む。


「ああ、そうです。『バグアントさん。しゃべっていいですよ』」


 ラナが不穏な空気を察したのか、慌てたように全員の意識を誘導する。

 話せる様にはなったバグアントだが、この状況で割り込まされることになってかなり不機嫌そうだ。


「ふん。俺が言いたいことは一つだ。ラナ、お前は本気で秘密結社を表舞台に登場させる気か。いや、そうじゃないな。それを行い何を求める?」


「前にも言った通り。情報です。表に出る事で色々な情報が入って来る。その中に、ゲルムリッドノートをクルナちゃんから引き離す方法が分かるかもしれない。その為に、立ち上げたんですから」


 言われて、クルナは頭を穿たれた気分だった。

 本当に、ラナは自分の意志でラナリアの首領になったのだ。

 その理由が、クルナからゲルムリッドノートを引き離すため。

 その為だけに、首領を頼り、ノウハウを経て、ラナリアを何でも屋のように仕立て上げた。


「ならば、その方法が見つかったとして、その後はどうする? 既に動き出したラナリアを放り出す訳にも行くまい?」


「その時は、首領さんにお譲りします。本来なら首領さんが行うはずのことでしたし」


「……つまり、俺達との休戦が切れるのも、そこまでか」


「……そうなるであろうな」


 ニヤリと首領が微笑む。

 まるでそうなる前に既に手は打ってある。そう言っているような顔に、バグアントは舌打ちした。

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