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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
ラナ → ラナリア
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クルナの叛逆1

 その日、クルナは呆然とテレビを見ていた。

 食い入るように、王利の自宅の居間で見ていた。

 エルティアとほたるん、そしてナールが食卓を囲んで食事していた。

 といってもナールとほたるんはその食事をする姿を見ながらクルナ同様テレビを見ているだけだったのだが。


 エルティアだけが変わらず食事をしている中、クルナは手に握った箸をそのままに、テレビに映るラナリアの首領を見ていた。

 その顔は驚愕に見開かれ、なぜ、彼女がそこにいるのか、全く理解できないでいた。


 ラナリア首領は日本に秘密結社ラナリアを広く浸透させることを宣言し、自己都合で回線を切断。

 直ぐに見ていたテレビ番組の放映に切り替わるが、数秒後、ニュース番組は即座に先程のラナリアの電波ジャックに付いて話しだした。

 だからこそ、今のが録画ではなく生中継による電波ジャックだったのが容易に想像できる。


「なに……あれ……」


 カラン、とクルナが手にしていた箸が茶碗に落ちた。

 それを見たエルティアもさすがに食事を止めて放送を見る。

 そこにはラナリア首領による電波ジャック映像をもう一度流しながらアナウンサーたちの議論が飛び交っている。


 秘密結社って私初めて聞きましたとか。

 本当にあったんですね。などと言いながらどう対処していいか困った顔で次のニュースを読み上げ始めるアナウンサー。ラナリアについてはもう少ししてから再度取り上げると言っているため、おそらく急ピッチで放送内容を編集している最中であろう。


「秘密結社って首領さんと同じ様な会社ですよね。新しく出来たんですか?」


「……はぁ? ちょっと、エルティアさんっ、今の見て、そんな訳のわからないこと言ってる場合ですかッ!!」


「え? でも……」


「ラナッ、ラナですよ今のッ!! フード被ってましたけどラナを見間違うはずが無いわッ! なんで? なんでラナが秘密結社の首領なんてやってるの!? どうしてッ!!」


「ま、またまたぁ。ラナちゃんが首領だなんて、冗談が過ぎますよクルナちゃん」


「冗談じゃないっ! 冗談で電波ジャックなんかして首領宣言なんてしないわよっ。どうなって……そうよっ。ラナはどこ! 今どこにいるの!!」


「ええと、朝早くに首領さんと出掛けましたけど……」


 そういえば。と言った顔でエルティアが告げると、それに便乗するようにほたるんが思い出す。


「なるほど。ハルモネイアが今日は初仕事でる。と言っていたのはこれのことだったのね」


「ああ、そういえばハルモネイアも映ってましたね。私、別世界のエルフなので秘密結社とかよく分かりませんけど、このアナウンサーさんの言葉からすると一般の人も良く知らないみたいですね」


「……どこに、行ったの? ラナはどこに行ったのッ!! 【教えなさい!!】」


「はい。私の知る限りでは朝出て行ったとしかわかりません」


「推測ですが、最近良く首領と旧インセクトワールド社に向っています。本日も同じ場所ではと」


「追伸、タイプγ……いえ、ナールはラナリアに居ると推測します。ラナリア首領とラナの体格を比較したところ100%の確率で同一人物と確認しております」


 三人が言霊を受け喋り出した言葉を聞いたクルナは、即座に立ち上がると、一人駆け出し外へと飛び出した。

 言霊の効果が切れたエルティア達は直ぐにはっと我を取り戻すが、既にクルナが存在しないことに気付いてあれ、クルナちゃんは?

 と見当違いなことを言いつつ周囲に視線を走らすのだった。


 クルナは走る。

 久々の全力疾走だ。

 直ぐに息が荒くなって足が止まった。


 なんとか靴は履いてはいたが、滅多に走らないせいで脚ががくがくになっている。

 まだ100メートルすら走っていないのにだ。

 こんなことなら体力を付けておくんだった。そう思うが仕方ない。


『ヒャハッ。クルナァ、ずいぶん焦ってんじゃねェか』


「ゲルムリッドノート? ああ、そういえば肌身離さず持っていたんだっけ。かさばるだけで邪魔よね」


『つれねぇこというなよ相棒。それよか。魔法使っちまえよ。ばっぴゅーんと一足飛びに辿りつくぜェ?』


「必要無い」


 短く答えて走りを再開する。

 さすがにさっき程の速度ではないが、歩くよりは早い。

 ゲルムリッドノートが悪態を付いているが全て無視した。


 一度魔法を使ってから、クルナはどうしてもこの本を使う気になれないでいた。

 魔法を使える喋る魔法書。なかなか使い勝手の良さそうな魔法もかなりあるモノの、使えば確実にクルナの大切な何かが失われてしまうと理解している。


 それが何かは良く分からないが、クルナにとって絶対に失くすべきではない何かであることは確かだった。

 だから、クルナは余程のことが無い限り、それこそ追い詰められでもしない限りはゲルムリッドノートを使わないことに決めていたのである。

 あるいは、目的のため。そう、首領を殺すためになら、どのような能力であろうとも、遠慮はしない。あらゆるものを使い潰してでもあいつは潰す。それだけは、クルナの中で確定した答えだった。

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