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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
ラナ → ラナリア
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バグソルジャーラナリア訪問

「ありえません! ラナちゃんがラナリアの首領になるなどおかしな話です! 絶対あの首領の策略なのは見え透いているじゃないですか。きっとあの忌々しい手練手管の口捌きで誘導したに違いありません!」


「ラナちゃんが復帰したのはよかったけど、新しい首領として即位されると、私達としては敵対せざるをえないわ。真由、あの子を倒せる?」


「その必要はありえません! インセクトワールドの首領を倒せばそこで終わりです。あの女、兄さんを殺しただけに飽き足らずあんな小さな子まで巻き込んで、私もう許せません! 絶対正義の名の元に断罪してやりますよ!!」


「今はW・Bがいない。つまりはバグパピヨンが土壇場で裏切る可能性もない訳だ」


「ちょ、私は別に裏切りとかそんなのは……」


 と、咄嗟に言ってはみたものの葉奈にとっては最優先すべき王利が敵に回れば自分もそちらに転ぶのは確定事項だった。

 確かに、今は王利が居ない。ならば首領に王利と一緒になりたければこちらに付け。などと言われても仲間と敵対する必要は無くなる。

 なにせ王利は異世界に旅立っているのだ。

 その理由を、葉奈は知っている。

 自分自身で見送ったのだ。間違う訳がない。


 彼が戻ってきた時首領がいなければ何かしら言われるかもしれない。

 恨まれるかもしれない。でも、首領が消えたという事実さえあれば、彼はインセクトワールドであり続ける必要が無くなるのだ。

 それこそ、新しいバグソルジャーの一員として迎え入れることになる。

 きっと皆も反対はしないだろう。なにせ葉奈が確実に付いてくるのだから。


「まぁ、まずは心意を問うとするか。一応我々との休戦協定を破っているかどうかの確認をしておかねばな。バグソルジャー出撃だ。それとバグワスプ」


「は、はい! 何ですかバグアント先輩!」


「お前はまだ奴らに面識がない。俺達の後方に隠れておけ。場合によっては奴の罠に嵌る可能性がある。俺達全員が動けなければ、頼れるのはお前だけだ」


「え? な、ええっ!?」


 突然責任重大な任務を与えられたことでバグワスプは頭を真っ白にしていた。

 それに気付いた真由と葉奈は大丈夫だろうか? と心配するが、バグアントは一応予備案も考えていたようだ。


「まぁ、安心しろ。先程仮面ダンサースワンに連絡しておいた。向こうで合流する手はずになっているのでバグワスプは彼女と一緒に行動すればいい。最強の正義の味方の一角と行動を共にするチャンスだ。滅多にないぞ」


「が、ががが、頑張りますっ!!」


 慌てて立ち上がって敬礼するバグワスプ。葉奈たちは苦笑しながら本当にコイツを仲間にして大丈夫だろうか? ついつい疑問に思ってしまっていた。

 仲間は信頼が大事。バグワスプがバグソルジャーの信頼を勝ち取るのはまだまだ時間が掛かりそうだった。




 ラナリア本部。

 それは旧インセクトワールド本社を建て替えただけのリフォームビルである。

 本部は地下にあるらしいのだが、前回の式典以降彼らは旧インセクトワールド社のビルで活動を始めていた。


 といっても戦闘員が内装を整えたりしているだけで余り活動はしていない。

 怪人たちもメンテナンス用施設か体力づくりのために拵えたトレーニングルームに向う以外は自由に過ごしている。


 発足して間もないのでまだやるべき指標がないらしい。

 バグソルジャーの面々がビルのロビーへと入ると、受付嬢がにこやかに微笑みながら挨拶をしてくる。

 その受付嬢に目標を定め、バグアントが変身形態のままカウンターに並んだ。


「初めまして、ラナリアの怪人になりに来られたのでしたらそちらの用紙に必要事項を記入してください。今はそれ以外の受付は行っておりません。ラナリア発足時に来ていただいていた怪人方は無条件で採用致しましたが発足後は試験をさせていただいております。ご了承ください」


「俺の姿が怪人に見えるかお嬢さん。首領に伝えろ。バグソルジャーが来たってな」


「というか、真正面から乗りこんじゃうんですね……まぁ私達らしいっちゃらしいですけど」


「前回だって同じようにしたでしょ。問答無用で襲いかかったけど」


 などと真由と葉奈の会話を尻目に、受付嬢が青い顔で電話を掛ける。

 まるで殺さないでという表情で目の前の正義の味方を見ながら、その一挙手一足投に注意を向けていた。

 いや、彼女だけじゃない。正義の味方が正面から堂々秘密結社に乗り込んできたという事実に警戒を露わにしている怪人たちが皆バグソルジャーを見つめていた。


「なぁ、バグカブト。今ここで暴れたら、どっちが勝つと思う?」


「そうだな……バグアントはどうだ? 俺達が有象無象に負けると思うか?」


 ニヤリと二人は微笑み合う。

 馬鹿にされている。受け取る者によってはそう思うだろう。

 事実、何人かの殺気が膨れ上がった。


 今にも飛びかかって来そうな怪人たちの中心で、バグアントと耕太はニヤついた笑みを浮かべていた。

 どっちに転んでも、彼らは構わないのだ。

 むしろ突っかかって来てくれれば大義名分が立つ。

 インセクトワールドと休戦しているバグレンジャーだが、向こうが襲ってきたなら気にせず迎撃できる。仮に首領がインセクトワールドとラナリアは違うと言い張れば、ラナリアを潰すのに何の呵責もないのである。


「さぁ、どう出る菅田亜子。いやレウコクロリディウム」


 バグアントは不敵に笑いながら対応を待つ。果たしてラナがでてくるか、首領がでてくるか。

 それとも……

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