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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
ラナ → ラナリア
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バグソルジャー緊急招集

「あの、緊急招集って聞いて慌てて来たんですけど、間に合いました?」


「あ、バグワスプおは~。だいじょぶですよぉ。私達も学校ぶっちして来たとこですから」


「せめて早退って言っとこうか真由」


 真由の言葉に呆れたように葉奈が言う。

 バグワスプは本当に急いで秘密基地に来たのだろう。既に変身済みなのがその証拠だ。

 まさに雀蜂を思わせる綺麗な縞模様を持つ尾っぽがある人型怪人。背中の羽は未だに震え、ブブブと翅音を鳴らしている。


「むぅ、お前達学校じゃなかったか? 俺より早いとはどういうことだ?」


 松木戸耕太が遅れてやってきた。既にやって来ていた面々を見て呟く。


「はっはっは。私の最高速度で葉奈さん引き連れ猛ダッシュですよ」


「ジェットコースターより酷かったわよ」


 葉奈が体験した恐怖をなんとなく察した耕太は葉奈に同情の視線を向けると座席に付いた。

 それを見たバグワスプも慌てて座る。


「全員揃ったか。ふむ。緊急招集を発して10分24秒。どうかなドクター花菱」


「うーん。僕から言わせてもらえばまだまだだね。出来れば5分以内に最初の一人が来るのが望ましい。それくらいすべきなのが緊急招集って奴さ。本当に急いで知らせないといけない情報や事件があった時、10分も掛かっていれば情報の意味も事件も終わってしまっているかもしれない」


 バグアントと共にドクター花菱がやって来る。

 無理難題を押し付けつつも、座席に座ると手首に巻いたキーボードを操作して自分の後ろに白いシートを設置する。映写機がどこかにあるらしく、突然光を発した白いシートに何かが浮かび上がる。

 どこかの光景の様だ。沢山の人が集まっている。


「これはつい先程までバグアントが潜入していた秘密結社の映像だ」


「秘密結社……!?」


「新しく生まれた秘密結社。名をラナリアという」


 まさに衝撃の内容だった。

 バグソルジャーの面々は知らず固唾を飲んで次の言葉を待つ。


「新しく生まれたと言ったが、元々あった秘密結社の一つだ。正義の味方に潰された悪の組織が力を得て再誕した。それがラナリアだ。最近はかなり情報が筒抜けになっていてな。今日配下を集めて決起集会を開くことは事前に把握していた。他の正義の味方や秘密結社のスパイがかなり潜り込んでいた。おそらく決起集会に参加した怪人は半分もいまい」


 だが、とバグアントは言葉を区切り皆を見回す。


「ラナリアの首領はあのベアルを降してみせた。あまりに鮮烈なデビューだ」


 そういいながらスクリーンに投影された光景を見る。

 そこでは今まさに、首領を名乗る存在を前に正義の味方が膝を付く所だった。

 葉奈たちが見ただけでも正義の味方の拳は完全に破壊されて見える。


「なんですか。一度滅ぼされたクセにこの首領。ちょっとバグってません?」


「それはそうだ。何せ奴は、異世界の住人だからな」


 その言葉に、バグワスプを覗いた面々が驚きの声を上げる。

 一人、意味の分かっていないバグワスプが左右を振り向き戸惑っていた。


「ど、どういうことですか!? 異世界の住人!?」


「ああ、秘密結社ラナリア。いや、旧インセクトワールドと言った方が良いか?」


 その曰くある名を聞いた面々は押し黙る。

 インセクトワールド。それは確かに正義の味方に倒された秘密結社だ。

 それだけじゃない。その正義の味方バグソルジャーは自分たちなのである。

 自分たちが倒した秘密結社の再誕。それも異世界の力を扱うチート性能突きである。


 バグソルジャーに戦慄が走る。

 ただ、再誕しただけであれば潰せばいい話しだったが、そうもいかない。

 なにせインセクトワールドとは再興するまでの間は相互不可侵の休戦契約があったのである。


「まさか、向こうはもうウチと敵対する。そういうことですかね? 王利さんの居ない間に随分思い切ったことをしますね」


「そんな……あの首領さんが突然敵に戻るなんて。もっと利口な人かと思ったんだけど……」


「ああ、奴は利口だよ。本当に、虫唾が走る程にな」


 吐き捨てるように告げるバグアント。

 耕太はその言葉を聞いて、まだ話が終わってないことに気付いた。


「インセクトワールドとの休戦協定はまだ生きているということか?」


「え? 向こうが秘密結社立ち上げたなら休戦破棄でしょ?」


「違うぞ真由。奴らとの休戦協定は、インセクトワールド社の首領が秘密結社を立ち上げるまでだ」


「だから、ラナリアを立ち上げて……え? もしかして……」


「ああ。フードで顔を隠していたが見たことのある俺が見間違うはずはない。ラナリアの首領はインセクトワールドの首領ではない。ラナだ」


「ラナ……ちゃん?」


「な、なんでよ!? なんでラナちゃんが!? そ、そうか、あの首領、裏でラナちゃんを操って……」


 信じたくない葉奈の言葉に、バグアントは首を振る。


「違う。残念だが、ラナの目には決意が見えた。アレは脅される者の眼ではない。何かを決意した者の目だ。それと、あの首領、名誉顧問などという役職を名乗っていた。首領が立ちあげた秘密結社ではないので我々が敵対する意味は無いだろう? だとよ」


 忌々しそうにバグアントはほぞを噛む。相手の不敵な笑みが脳裏に浮かぶようだった。

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