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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
勇者 → 高位世界
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第四世界の日常1

 王利が別世界の旅を行っている頃、日本に辿り着いた首領たちは各々自分の生活に戻っていた。

 マンティス・サンダーバードは一人クロスブリッド・カンパニーに帰国し状況の報告とミカヅキ・メイフライのフォローに向った。


 帰国の際は空港でバグレンジャーとインセクトワールド社総出で見送りを行ったのだが、やはりそこに王利の存在だけは無かった。

 マンティス・サンダーバードは今回の闘いを経て、いろいろと思う事があるようで、向こうが落ちついたら世界旅行でも始めようかと口ずさんでいた。


 バグレンジャーチームは再び隠れ家を移転させて活動を再開し始めた。

 旧隠れ家でほたるんやハルモネイア、タイプγのメンテナンスを一挙に引き受けたドクター花菱。

 一応首領監修のもと変な仕様を付けることなく修理を終えた彼女たちは、皆綺麗な身体に成ったようだ。

 ちなみにタイプγは名前が呼びにくいとのことで医療のナースに基づく有名人ナイチンゲールから名を取りナールと呼ばれることになった。


 バグレンジャーでは近々新人が入るらしい。

 バグカブトとバグアントがヒストブルグという正義の味方養成所から引っ張って来るそうだ。

 バグパピヨンとバグリベルレがなんとも言えない顔をしていたが、もう決まってしまったことらしい。


 どうも今回の旅で戦力の増強が急務と感じた様なのだ。

 そのためか、バグリベルレもバグパピヨンと共に密かな訓練を始めていた。

 知り合いの正義のヒーロー仮面ダンサースワンに連絡を入れ、戦闘法を習い始めたのである。


 最近この地区の仮面ダンサーが行方不明になったらしく地域を守るのでも手一杯なんだけど?

 と珍しく不満を口にしてきたが、バグリベルレは無理を言ってお願いし、了承を確約させた。

 まぁ、こちらも間もなく新たな仮面ダンサー候補がヒストブルグを卒業するそうなので多少は肩の荷が下りるらしい。


 とはいえ、バグパピヨンとバグリベルレ、もとい葉奈と真由は学生でもある。

 基本学業優先なので王利が居なくとも学校に向わねばならず、無断欠席を続ける王利に対して、クラスメイトからの質問が激化していた。

 その水面下で葉奈さんを放置してどこを遊び歩いているのだあのリア充は? と憎悪と殺意により新たな悪たちが誕生しようとしていたが、それはまだ、先の話。

 当の王利が戻って来なければいつかは沈静化するだろう報われぬ者たちの怨嗟だった。


 そして、インセクトワールド社側もそれぞれの日常を送り始めていた。

 まずはロクロムィス。

 これは首領がいつでも動かせるよう王利の家の庭に立派な彫像兼隠れ家として存在している。

 王利の父が帰宅した時これに気付いて驚いていたが、王利がまたやらかしたということで勝手に納得していた。


 彼は王利が存在していなくとも部屋に居ると誤解したまま朝には仕事に向ってしまう。

 食事はエルティアが用意しているのだが、彼は王利が用意していると勘違いしているようだ。

 首領たちはまだ王利の父に見つかっていなかった。


 エスカンダリオは自由に行動している。

 彼を縛るモノはなく、またインセクトワールドが未だ機能しきれていないので暇を持て余し、第四世界を漂いながら情報収集を行うためらしい。

 首領としてもこちらの常識を知ってもらった方が動かしやすいので、気を付ける事だけを伝えてあとは好きにさせていた。


 そして、ゼルピュクネー03は旧インセクトワールド社本社の地下にロクロムィスにより造られた地下施設に今は居た。

 首領の密かなる誘いに集まった旧インセクトワールド所員。各地に散っていた分の何人かに連絡が取れたため彼らを集めて地下施設で新たな工場を作り始めているのだ。

 ゼルピュクネー03はその指揮に当っている。


 少しずつ、インセクトワールド内部にも首領が生き残っていることが流れ始め、洗脳済みの戦闘員や怪人を始め、各地に散っていた者たちが集まり始めていた。

 その数は未だ微弱。

 そして正義の味方にバレないよう、本当に慎重に行動を行っている。


 今はまだ、雌伏すべき時。

 まずは簡易に造られた洗脳施設で再洗脳を施し戦闘員たちの洗脳が解けるのを防ぐ。

 今はその作業場を作り急ピッチで行っている最中だ。

 そして、同時に再洗脳を終えた戦闘員たちから順に新たな施設制作を始めだす。


 ある程度は旧インセクトワールド社本社の施設を流用することで賄い、足りないモノは周囲の支部から少しづつプール金を使って購入、バレないよう深夜帯を選んで運送、地下施設にて直接作成して行く。


 慎重に慎重を期した作業だ。

 正義の味方や周囲の住民に感づかれてもいけない。

 悪が再び復活するまで、彼らは人知れず力を蓄えようとしているのだった。


 そして、その事を正義の味方たちは未だ知りえない。

 かつて巨大な悪として君臨していた一角が再び立ち上がるその時まで。

 辛酸を舐めつつ社員たちは働き続ける。まるで蟻のように一人の女王のため、その身を粉にするのだ。

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