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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
勇者 → 高位世界
204/314

第二十三世界のその後

 ふと思い付いたので書いてしまった。反省はしていない。

 私めの暴走回だと思って下さい。

 王利が次の世界に旅立った後、アークたちは未だに話に華を咲かせていた。

 何せ全員が集まるのは初めてのことなのだ。

 何人かが一堂に会することはあったが、皆が揃うのは、おそらく自我を認識した彼らにとっては初めてのことだと思われる。


 しかも、皆王利の思考から得た理想の姿を手にして王利の思考から読み取った記憶という話のネタで話題には事欠かない。

 全員が全員今までの孤独を埋め合うかのように話始めていた。


「あれ? そういえば……人数合わなくない?」


「ん? おお、そう言われれば確かに。誰か居なくなったか?」


「えーっと……」


 日本語を扱う彼らは一、二、三と人数を数えだす。

 確かに二十九人しかそこには居ない。

 足りない奴はどこだ? と探すが、この世界には居ないのか呼べども反応が無い。


「あっ! 俺、発見しちまった!」


 ロキを名乗った男が突然声を上げた。


「ん? どこに居たかわかったか?」


「たぶん妖精になった子よね? どこ行ったの?」


「ああいや、それじゃなくてな。あの王利だっけ? アレの記憶探ってたらよ、見つけちまったんだ。最高の笑いって奴を!!」


 その瞬間、全ての神々に衝撃が走った。

 笑い。それは彼らが一度も直面する事のなかった未知の感情である。

 誰かがゴクリと唾を飲み込んだ。

 一体何が齎されるのか、固唾を飲んでロキに注目する。


「行くぜ?」


 覚悟はいいな? とロキは周囲の神々を見回す。

 そして、言った。ついに、言ってしまった。


「猫が……寝転んだ!」


「ネコが……ネコろんだ……」


 噛みしめるように、神々は復唱する。

 一瞬、何を言っているのだろうかと理解できなかった。

 だが、王利から手に入れた知識がその意味を彼らに告げる。

 脳内で猫が寝転ぶ姿が想像され、そして、ネコ(・・)がネコ(・・)ろぶという言葉遊びに思い至る。


 刹那、誰かが噴いた。

 誰かのツボに入ったらしく、爆笑が漏れる。

 それはまるで伝播するように周囲の神々にうつった。


「ネコが、ネコろんだ。ぶふっ。何コレ、わらっちゃう。下らないはずなのに笑ってしまう。ぶぷ、あはははははっ」


「意味が、意味が理解できてしまう俺が恨めしい。なぜだ。何故こんな事でふは、ふはははははっ」


 神々にとってはこの程度の言でも笑いの種だったらしい。

 もんどりうって転げまくる神々の中、一人の女性が口にする。


「布団が、ふっとんだ」


 盛大に吹きだす面々。せっかく収まりかけた笑いが再び沸き起こる。

 笑い過ぎて息をするのもやっとといった具合の神まで現れる。

 実際に呼吸をしている訳ではないの笑い過ぎて死ぬ事はないのだが、それでも死ぬほど笑い転げるという楽しさを味わっている彼らは、新鮮な笑いという物に次第のめり込んでいた。


「こ、コレどうこれ、タコのタコ殴り」


「ぶふぁっ。止めろ、折角笑いとまっぶふぁっ」


「お、俺を笑い殺す気かっ。ふははははははは」


「ふふふ、甘いな、皆甘いぜ。俺はもっとすげぇのを考え付いてしまったぜ!」


「な、なにっ!? もっと凄いのだと!?」


「くらえ! イカのイカした怒り顔っ!!」


「イカのイカしたイカりがお!!? まさかの三連撃だとぉぅっ!?」


「ぶふはあぁぁぁぁぁぁぁぁひひひひぃぃぃ」


 最初にツボに入ったらしいクローソーが目を剥いて悶絶している。

 黒髪の美少女だ。王利にわざわざ細かい注文を付けて転写したお気に入りの姿だった。

 が、綺麗な顔立ちの少女になっているだけに残念過ぎる笑い顔だった。


「まだまだ甘いな貴様等! 俺の奥義を聞くがいい!」


 バロールが掌を向けて声高らかに叫ぶ。


「庭には二羽鶏が居て、川に鰐はニ頭いるぅッ!!」


「ニワニワニワニワとりがいて、かワニワニワニとういる、だとぉっ!?」


「ぶははひはぐるじ……カハァふひっ。ふひ、かひゅぅーかひゅぅー……――――」


 白眼を剥いて爆笑し過ぎたクローソーが悶死した。

 気絶なのでそのうち意識を取り戻すだろうが、女性とは思えない痴態である。


「ヤバいぞ、この笑いは封印せねばっ。我々は悶死で死にかねんぞ!」


「神々、下位世界のギャグで笑死。本気で笑えんぞっ」


「あの男もよもやこのような爆弾を置き土産に残すとはな。下位世界、侮れん」


「シカにシカられた……」


 再び投下された爆弾により爆笑の渦が巻き起こったのは言うまでも無い。

 結局、彼らは抗えなかった。

 なんとか笑いを押さえよう。皆言うのは止めよう。

 そう思えば思う程、思考の海から拾ってしまうのだ。


「イルカは居るか? ぶふ、ダメ、無理……」


「ホタルイカは蛍、以下……ぶふぅっ」


「カバに庇われる……ぐひ、うひひぃひぃ……」


 何度も耐えようとした。その度に自爆、あるいは巻き添えを食って悶絶地獄へと落ちる。


「カエルが孵るから、親帰る……ぶふ、うひ……ガクッ」


 そして、意識ある者は誰も居なくなった……

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