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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
勇者 → 高位世界
200/314

200話突破記念・見つけちゃった

 ついに200話突破致しました ☆-(ノ゜Д゜)八(゜Д゜ )ノイエーイ

 ご声援ありがとうございます。

 というわけで200話突破記念。アレを見つけちゃった時のお話です(*ノ∀ノ)

 それはエルティアが王利の家に居候が決まって少しした時のことだった。

 父親に隠れるように部屋に住まわせた二人の少女は暇を持て余していたのだ。

 なので、エルティアは一念発起して部屋の掃除を行う事に決めた。


 首領に掃除方法を教わり掃除機と言う名の文明の利器を怖々使い始めたエルティア。

 といっても王利の部屋にあったのはハンディタイプの掃除機で、紙パックを使用しないゴミが溜まれば捨てればいいだけの充電式タイプ。


 持ち上げたエルティアは取っ手を掴み、その取っ手部分にあるスイッチを押そうとする。

 しかし未知の存在なのだ。

 スイッチを押すだけの行為なのに全身に脂汗が吹きだし手先が震えるのが自分でもわかった。

 それを押す事で何が起こるのか想像もつかない。


 首領がいうにはそのスイッチを押すだけで後は勝手にゴミを吸ってくれるそうなのだが、そんな魔法の様な道具を彼女は見たことなどなかったのだ。

 思わず目を瞑って一気にスイッチを押しこむ。

 強の所まで一気にスライドしたスイッチによりハンディクリーナーが唸りを上げた。


 突然の轟音にうひゃあっ!? と悲鳴を上げたエルティアはハンディクリーナーを取り落とす。

 足の親指に吸い込む風が当って想像外の感触を与える。

 吸い込む風など初めて味わう彼女には何が起こったかすら理解できず悲鳴を上げていた。


 目を開いてようやく確認すると、足元で転がるハンディクリーナーが轟音を響かせ空気を吸いこんでいた。

 中腰になって恐る恐るハンディクリーナーに手を近づける。

 指先を一度触れる。

 即座に離す。脅威は無いらしい。

 触っても安全なのだろうと恐る恐る取っ手を握る。


 エルティアはハンディクリーナーを制した! テッテレー。

 などと首領に茶化され顔を赤くするエルティアは、しかしようやくスタートラインに立てたと気合いを入れ直す。

 首領曰く、この吸い込んでいる吸い込み口にゴミを近づけるとゴミの方が勝手に中に入って行くのだと言う。


 半信半疑ながら部屋の隅に向い、目に見えて転がっていた埃を近づける。

 一瞬だった。

 まるで消滅魔法を使ったかのように埃が目の前から消え去った。

 見ればハンディクリーナーのゴミを集める場所に吸い込まれクルンと舞って隅の方に落下していた。


「や、やれた……」


 なぜかその姿を見てエルティアは感動を覚えた。

 ほろりと涙がこぼれる。

 が、直ぐに首領が含み笑いしているのに気付いて慌てて冷静を取り繕う。

 これで終わりではないのだ。今からが掃除なのである。


 もともと王族の出なので掃除自体は初めてと言っても良い。

 ただしメイドたちの作業やメイド長の怒声でどういう風に掃除すればいいのかは聞きかじっている。

 見よう見まねだが問題は無い。そもそもこの掃除機というのは埃に近づくだけで綺麗にしてくれるのだ、問題が起こる訳も無かった。

 ない、はずだった。


「ああああっ!?」


 エルティアの不意の行動により、ハンディクリーナーへと吸い込まれて行く小さな紙クズ。

 首領が先程王利に渡すために書いたメモだった。

 買い出しのお菓子が書かれてあるものだ。


「しゅ、首領さん、ご、ごめんなさい、ど、どうしたら、どうしたらいいですか!?」


「全く、仕方ないな。ほれ、貸すが良い」


「は、はい!」


 エルティアの目の前で首領は電源を落としてダストパックを剥がすと手を突っ込み紙を取り出す。

 その時一部ゴミが一緒に出て来たが、首領は気にせずダストパックを元に戻すとハンディクリーナーの電源を再び入れる。

 音を出して吸い込み始めたハンディクリーナーに取り出した紙を近づけ周りに付いたゴミを取り除くと床に落下したゴミも綺麗に掃除してしまった。


「ほれ。間違って吸いこんだらこうすればいいのだ」


「な、なるほど。参考になります」


 ハンディクリーナーを受け取ったエルティアは再び作業を開始する。

 ベットの付近まで来た時だった。

 なぜかベットの下だけ無駄に綺麗だ。微妙に段差もある。


「どうした? 何か面白いモノでもあったか?」


 困った顔をしていると、首領も興味を覚えて近づいて覗きこむ。

 ベット周辺の異常を察知した首領はふむふむ。なるほど。とニヤリと笑みを浮かべる。


「こんな所に隠すとはな。念の入った隠し様、アレがあるな」


「アレ? ですか」


「手伝えエルティア、まずはベットをどかせるぞ」


「え? は、はい!」


 そうして首領とエルティアはベットの床下にある床暖房を引っぺがし、見つけてしまった。

 森元王利が必死に隠したお宝を。

 見つけてはいけない、見つかってはならない秘中の秘が暴かれたのだ。


「こ。これは……」


「なになに……美人上司を下剋上。それとエルフ娘のメイドさん? そして子供のおやつとな。くく……これはこれは」


「……なんでしょうか? 書物のようですが」


「なぁに、奴も好きモノだと言う事だエルティアよ。しかし美人上司とな。これはマズいな、我が狙われているかもしれんぞくっくっく」


 なぜか楽しそうに笑う首領に首を傾げるエルティアだった。

 そして首領はそこから一冊だけ取り出し元通りに埋め直すのだった。

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