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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
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勇者の選択

「良かった。良かったよぉ……」


 王利が救出されてから、葉奈がずっと王利にべったりである。

 嬉しくはあるがこう四六時中べったりされるとかなり恥ずかしい。


「シカシ、これでワタシが持ちこんでしまったクロスブリッドの案件は終わりでショウカ?」


「クロスブリッド云々よりこの第七世界の方が堪えたな。コックル・ホッパーも随分と好き勝手やってくれたようだしな」


「同じクロスブリッド・カンパニーながら、随分迷惑を掛けた。だが、正義の味方に礼を告げるというのもなんだかおかしな話だな」


「そう言えばそうだ。お前は元々敵だったな。確かに元インセクトワールドとは共闘関係になったようだが、俺達とは敵対組織に違いは無いのだが……」


「一先ず向こうに戻るまでは停戦でよかろう。それよりW・Bさっさと帰るぞ」


「まぁ待て首領さんや。ボクが言うのもなんなんだが、この世界の人間の安否確認を終えてからだ。あとあの蠅、どうするんだ? このままでは全ての機械が死に絶えるぞ?」


「クルナ、なんとか出来そうか?」


「やってみるけど……期待はしない方がいいかも」


「ハルモネイアよ。とりあえず蠅を誘導するために機械を集めておけ、そこにクルナを飛ばして蠅どもに言霊を掛ける。その後に人間の生存者の捜索。全員をここに集めさせるとするか」


 首領は答えてタイプγを見る。

 クルナもソレに気付いてタイプγに身体を預けた。

 どうやらタイプγに乗って向うようだ。


 もうハルモネイアが機械族の実権を握っているため危険なことがないのだが、護衛としてバグリベルレがクルナに付いて行くことになった。

 その間に、ドクター花菱がハルモネイアとほたるんを直すらしい。

 ハルモネイアに案内されて三人がこの場を去って行った。


 マンティス・サンダーバードはバグレンジャーと元の世界に戻ってからの停戦交渉を始めるようだ。

 一応、インセクトワールド社には秘密にしたいらしく少し離れた場所へと向かってしまう。

 で、残ったのは首領とエルティア、王利と葉奈である。


「おお、折角だエルティアよ。ちょっと手伝って貰えないか?」


「何ですか?」


 首領がさも今思い付いたとでも言うようにロクロムィスへと歩きだす。

 エルティアも怪訝な顔で彼女に従って歩いて行った。

 残されたのはバカップルが一組である。


「あ、あのー葉奈さん。凄く恥ずかしいのですが」


「あ、あたしだって恥ずかしいよ! でも、王利君放っておいたらどっか遠くに行っちゃいそうで……絶対に離れないからね!」


 王利が死んだかもしれないと思ったせいかしばらくは離れそうにない。

 これは王利としては困ったことだった。

 聖女の予言に従うのならば、異世界から戻った後にすぐ一人で別世界に飛ばなければならない。

 一人でと言われた以上は葉奈を連れて行くのはマズいのだろう。


 葉奈を残して行かなければならない。

 でも、いきなり何も言わずに消えると彼女は下手すれば精神崩壊をしかねない。

 そんな危うさが、今の彼女にはあった。


「なぁ葉奈さん」


「……なに?」


「例えばさ、誰かを助けるために、俺に内緒で一人どこかに行かなきゃいけないってなったら、どうする?」


「いきなり何? 私が王利君残して行く訳ないじゃん」


「助けるべき相手が、真由だったとしても?」


「……」


 言葉に詰まる訳じゃなかった。ただ、葉奈は押し黙る。

 王利が言いたい事をなんとなく察してしまったようだった。


「行くの? 王利君?」


「ゼルピュクネー01から聖女の予言を聞いた。多分、俺一人で飛ばなきゃならない。皆を第四世界に送ったら、すぐに立つ」


「嫌っ。そんなの嫌だよっ。離れ離れなんて、絶対嫌。王利君と離れ離れになるくらいなら、あたしは……」


「誰かも分からない。でも、俺が一人で行かなきゃ確実に救われない誰かがいる。俺は……多分その子を知ってる。知り合いなんだ。それを見捨てて、いいのかな?」


「……それもダメ。ダメだよ……」


 今、葉奈は葛藤に悶えていた。

 本心は王利が一人でどこかに行くのを引きとめたいと思っている。でも、彼女の中にある正義が、自分のわがままで助からなくなる少女を見捨てられないと叫んでいる。


「待ってて、くれないか葉奈さん。俺、必ず帰るから」


「でも……でもそれは……」


「誰かがやってくれるならいいんだ。任せるさ。俺はもともとただのちっぽけな人間で、自分の生存優先の男だよ。でもさ、自分がやらなきゃ誰かが死んで、俺が行動するだけで助けられるかもしれないんだったら、行った方が良いんじゃないかって思うんだ」


「……あたしも、そう、思う。でも。感情が……」


 わかってる。

 と王利は意を決す。

 葉奈に真剣な目で見つめ合い、彼女の顎を持ち上げる。

 驚く葉奈に、王利は自分から口付けた。


「葉奈、帰ってきたら続きをしよう。お、お前の望みを全て叶えてやるっ」


 途中どもってしまって締まらなかったものの、王利にとっては一世一代の告白だ。

 覚悟を決めて葉奈と添い遂げる。

 言葉の中に、その意志を込めていた。

 が、許容量オーバーになってぶっ倒れた葉奈がそれを聞いていたかどうかは定かではなかった。

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