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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
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暗躍する首領

 王利たちが戦艦攻略に向っていた頃、首領はゼルピュクネー03を伴いある場所を訪れていた。

 そこでは忙しなく機械達が働いており、ベルトコンベアに部品が運ばれいるのが見える。

 ベルゼビュート・ハンマーシャークの蠅もここまでは来ていないらしい。


「ここでいいのか?」


「はい。マイマスター。ここが機械族製造工場になります」


 深々とお辞儀をするゼルピュクネー03。

 そんな彼を見て、いぶかしげに首を捻るのは、この工場長となったロボである。

 彼にも更新の際首領を殺せという命令は受けていたのだが、今の首領はラナの身体を動かしているので敵として認識されていなかった。


 ただし、人間が居た場合は保護して繁殖施設に送らねばならないという命令がある。

 これについては丁度ゼルピュクネー03という彼よりも上位存在が傍にいるので彼が連れて行く最中なのだろうと判断できるが、この施設に連れてくる意味が分からない。


「それで、本日は何用でしょう?」


「うむ。これを作れないかと思ってな。どうだ?」


 人間であるラナから一枚の企画書を受け取る。

 工場長はその企画書を見て首を捻る。


「バイオビューイング? 随分と変わった機械をお望みですね」


「できるか?」


 ゼルピュクネー03の疑問に、彼はこくりと頷いた。


「やってみましょう。しばらくお待ちください。なにぶん小型ですし、何とか出来るでしょう」


「しかしマスター。この生態機械、何に使うのです?」


 思わず聞いてしまったゼルピュクネー03だったが直後に己の失態に気付いた。

 さすがに主の行う事に疑問を持つのはいけないことだ。

 そう思ったのだが、首領はクククと笑みをこぼす。


「ふふ。お前も疑問を呈する事が出来る程には感情があるらしいな。嬉しく思うぞ」


「感情? これは感情なのですか?」


「さぁてな。感情かどうかはお前が自分で気付くモノだ。指摘したところで意味はあるまい。それより先程の質問なのだがな。ちょっとした、保険だよ。そう、保険だ。ありえないとは思うがもしかするやもしれんからな。ククククク」


 結局、首領は思わせぶりな言葉を吐くだけで具体的な理由を説明してはくれなかった。

 しかし、ゼルピュクネー03は気にしない。

 それよりも、自分にも無いと思われていた感情が存在するのだと言われ、歓喜に打ち震えていたのだ。


 夢にまでみた機械達の望み。

 感情を得る。人の様に喜怒哀楽を感じる。

 その可能性が、自分の中に存在する。


 人知れず打ち震える彼は、首領が工場長に何か耳打ちしているのを傍目に見ながらも、問いただす事すらなく見送っていた。

 彼の内から溢れだす例えようも無いソレが、歓喜を現す感情だと言うことは、彼にはまだ気付ける程の知識が無かった。


 指定した機械が出来るまで、しばらくかかる。

 だが、ゼルピュクネー01の乗るタイプεが破壊されるか王利たちが全滅するまでの時間はまだまだありそうなのだ。

 なので首領は機械族が出来るまでを見ることにした。


 まず、巨大な釜に金属を投げ入れる。釜の下部に存在する開閉装置が一定間隔で開いて次の工程へとドロドロに溶けた液体金属を送り込む。型枠に流し込んだ高温の液体をプレスして冷却。

 様々な部品を作りだすとそれをベルトコンベアに乗せ仕分け作業。


 作業が済んだ部品を用途に合わせて持ち運び、必要なロボの元へと送る。

 後は機械達が自らの手で一つ一つ部品を組み上げ形にしていく。

 自分達も機械なので溶接、接着、この工程だけですぐに済ませる。


 骨格が出来上がると次の工程に。

 外装部品を整え、頭脳部分にメインチップを組み込む。

 次の工程でメインチップに規定のプログラミングが打ち込まれ自我を芽生えさせる。

 最後に際立ったバグ取り等を行い完成となる。


 手動であれば手惑う場所も、皆が機械なので滞りも殆ど無く阿吽の呼吸で次々と新しい機械が生まれていく。

 そして機械達は更新を行い全ての機械達と繋がりを持つ。

 なるほど、これではいくら機械族を叩こうとも元となるこの場を破壊しなければ次々に際限なく生みだされるようだ。


 この流れ作業。放置しておく意味はない。

 これを使えばインセクトワールドを復活させることは容易である。

 思わず皮算用を始める程に、首領は昂揚していた。


「ゼルピュクネー03。貴様機械族製造の知識はあるか?」


「共有を行っておりますので知識はありますがなにか?」


「いや。ならばいい。ふふ。これはいい拾いモノになりそうだ。夢が膨らむな」


「?」


 高笑いを始めた首領にゼルピュクネー03は首を捻る。

 その後、目的の生態機械を手に入れた首領はロクロムィスに戻り元の場所へと向う。

 戦艦が火を吹き落下を始めたのが、彼らが戦場に戻った直後のことだった。 

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