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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
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VS タイプε7

 休憩と補修作業を終えた王利たちは、再び移動を開始する。

 目指すは動力部、ゼルピュクネー01がいるだろうともくされる場所だ。

 通路を歩きながら階下への階段を探す。

 オートマッピング機能を駆使してほたるんとハルモネイアが精査するが、未だに階段は見当たらない。


「ふむ。この辺りは居住区になるのか?」


「敵が来ませんねぇ。罠も全くないですし。というか、機械族だけなのになぜ居住区?」


「おそらくもともとあった戦艦の構造を真似て作られたのだろう。製作者はコックル・ホッパーなのだし、自分が生活するようの施設を組み込んだのだろうな」


 バグカブト、バグリベルレ、バグアントの順で呟きを洩らす。

 他の面々も警戒気味だが、敵対する何かが全く出てこないことが返って不気味さを醸し出していた。

 警戒しながらマンティス・サンダーバードが居住設備の一つを覗く。

 ドアが勝手に開き現れたのは、簡易ベットのある一人部屋だ。

 モニターが付いていることから何か指令があったりすればすぐに連絡が着くようになっているらしい。


 部屋にあるのはベットと衣装ケース。あとは食事を取るためだろう壁に収納式になっているテーブルがある。飲みモノを置いておく用の深めのくぼみも存在した。おそらく紙コップなどを置くためのものだろう。

 居住区は全ての部屋がこれと同じような造りの様だ。

 ただし、今は誰も住んでいないので宝の持ち腐れである。


 バグリベルレがゼルピュクネー01倒したらこの戦艦接収しませんか? とドクター花菱に真剣に打診していたが、ドクター花菱はあまり関心がないようで殆ど聞き流していた。

 上の空で気のない返事をしている。


 でもバグリベルレが気付いていない。

 今ならどんなお願いしてもドクター花菱はうんうん。と頷きそうだ。

 ちなみに、その事に気付いたらしいバグアントが今度飯をおごってくれ。と言っていたが普通に頷かれていた。


 ドクター花菱の知らない内に、彼女はバグアントに飯を奢る約束をしてしまったようだ。

 可哀想? 否、自業自得である。

 さらに追加でバグカブトが義手の素材について打診していた、コレも二つ返事で了承されていた。


 なので、これに気付いた者たちが皆こぞってドクター花菱に無理難題を吹っ掛ける。

 王利などは葉奈と行く遊園地チケットの代金を支払わせる事にしたようだ。

 バグアントに程度の低い悪だ。と称された王利は頭を掻くしかできなかった。


 気が付けば、さまざまな条件を無条件に飲んでいたドクター花菱。我を取り戻した時にはすでに収拾付かない状況に陥っていた。

 余りに容赦なく約束させられたので既に涙目になっている。


 そんなドクター花菱を無視しつつ、一行はようやく動力施設らしき階層へと辿り着く。

 今までの金属質の壁や床とは一線隔てたそこは、人が一人半程歩けるだけの狭い通路が中央を走り、その周囲を向きだしの配管や機械が埋め尽くしている。


 ゴウンゴウンと稼働する機械たち。あるいは耳障りな音を鳴らしながら歯車のように回っている器材。何がどんな機能を受け持っているのか理解できないので王利たちは下手に触らない様歩いて行く。


「やっぱり、敵がいませんねぇ」


「ってことは残るはゼルピュクネー01のみ?」


「可能性は高そうですよパピヨン」


「そっか。となると……今回本当にあんまし活躍できなかったなぁ」


「むしろピンチに陥ってばかりでしたねぇ。私もですけど」


 敵が全く出てこないせいか女性陣から警戒感が消え始めていた。

 緊張して見張っていたのに全く出て来る気配が無いので仕方ないと言えば仕方ないのだが少々不用心だ。

 バグカブトは注意すべきだろうか? と思いつつも自分たちが警戒すればいい事かと黙認する事に決めたらしい。


 これに気付いたバグアントが呆れた顔をバグカブトに向けるが互いにアイコンタクト一つで何かを悟ったように仕方ないな。と警戒に戻る。

 そんな二人を見ながら、王利もそれとなく周囲に気を配っていた。

 というか、一番気を配っておかないといけないのが彼だ。

 何せ今、先頭を歩いているのが王利自身だからだ。

 何かがあっても耐えきれる存在として、皆の盾にされていたりするのだが、本人が了承しているので誰からの同情もない。


 そんな王利の背後を歩くのはクルナ。

 ハルモネイアの横にくっつくようにして不安そうに周囲を見回っている。

 言霊に頼る以外は実力不足を実感したため自分自身を信じられないのだろう。

 王利は彼女にそれとなく暴走しないよう注意しながらも警戒を行う。


 非常時でなければもう少し会話を行って彼女が無謀な反乱を行わないよう諭すくらいはするのだろうが、今はそんな事をしている余裕がない。

 元気づけてやることもできないので、王利自身もフラストレーションが溜まっているのが実感できた。

 早く動力部に辿りついてこの消化試合を終わらせよう。

 そう決意して、唯一存在する手前の扉を開ける。

 そこに……奴はいた。

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