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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
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VS タイプε4

 火炎放射は確かに危険だ。

 けれどバグレンジャーたちにとっては奇襲さえ防げれば問題にはならなかった。

 何度か火の海になりはしたが、エルティアの水魔法で消火を行い、またたく間に蹂躙し終えた。

 これだけメンツが揃っていれば相手が機械程度なら時間かければ何とかなるモノである。

 こちらの損傷もエルティアがいればなんとかなる。

 魔力残量を確認しつつちょいちょい回復のために休息を挟めば十分戦艦攻略は可能だ。


 正直もはや消化試合のつもりだった。

 ゼルピュクネー01といえども基本性能は他のゼルピュクネーと変わらない。

 ならばその行動などはあまり変化はないだろう。

 たとえこのタイプεがどれ程の性能を持っていようとも、負ける気などさらさらなかった。


 王利を元に戻し、先行させる。

 殺す気かとぼやいていた王利だったが、あの炎の海ですら生きていた彼を殺すのは容易ではないだろう。

 初めは渋っていた葉奈ですら王利君なら大丈夫。と送り出す程の頑強さなのだ。


 そんな王利は一人ハッチに滑り込む。

 内部は機材で出来た壁と床。照明は白色だが、今は侵入者を感知して一定間隔で赤くなっている。

 アラートも鳴り響く。

 そんな中、機械兵がやって来るのが見えた。


 火炎放射部隊は先程全て出し尽くしたのか、ここに居るのは鋼のブレードを持った簡素な機械たちだった。

 いや、鋼のブレードではない、鋼を断つためのチェンソーや鋸。工具類だ。

 こいつらはこの艦内をメンテナンスするための機械たちなのだろう。

 これはもう相手の戦力も殆ど無いと思っていいかもしれない。


 王利が頭上のバグレンジャーに告げると、彼らもハッチから侵入して来て部隊迎撃に向かう。

 その間、王利は機械達を皆に任せて先行する。

 彼の仕事は安全路の確保だ。


 しばらく入り組んだ通路を歩く。すると、突然隔壁が閉まり始めた。

 これはマズいか? と思った瞬間隔絶された通路に噴きだす謎の煙。

 その温度を感じて王利はああと納得する。

 液体窒素だ。


 本来なら隔離した敵をそのまま氷漬けにして砕くという罠なのだろう。

 しかし王利は溜息を吐きつつ隔壁を殴る。

 凍結よりも隔離されたことの方が彼にとっては危険だ。


 隔壁もかなり厚い。これは自力での脱出は不可能だろう。

 仕方なく、後続が追い付くまでしばらく待つしかなかった。

 連絡方法があればいいのだが、彼には存在していない。


「マスターご無事ですか?」


 ほたるんがレーザーソードで隔壁を破壊する。

 すると凍えるような冷気が外へと流れて行った。


「ああ。ついでにこっちの隔壁も頼む」


 ドアを作る様に四角に切り取り隔壁を蹴り飛ばす。

 ほたるんの胴に穴が開いているのが痛々しい。

 直す機会がなかったせいもあるのだが、休んでいた方がよかったのでは?


 まぁ、ドクターまでがこちらに来ているのでしかたないのだろう。もうしばらく、彼女には無理を押して貰う必要があるようだ。

 彼女にはその場で液体窒素が発射されていたノズルの破壊を頼み先行する。

 数歩歩いた瞬間だった。

 再び隔壁である。


 今度は謎のガス攻撃だ。

 もしも毒ガスだとさすがに王利でもマズいので、自力でクリプトビオシスを発動させる。

 これで毒のある場所であっても自分には問題が無いはずだ。


 王利がクリプトビオシスを発生させた頃、ようやくメンテナンスロボたちの殲滅を終えた一同が先行したほたるんに追い付いた。

 ほたるんは安全を確認した王利から連絡が来るのを待ち隔壁を破壊するつもりだったのだが、しばらく待っていても連絡が来ない。

 葉奈たちも戸惑いながら待っているが、クルナが声を発した。


「とりあえず、開けませんか? 何かあっても言霊で何とかしますから」


「ではレーザービーム等が来た場合に備えて私が防壁張りますね」


 エルティアが同意したのを見て、ほたるんが隔壁を破壊する。

 すると霧の様な靄が噴出し始めた。


「『こっち来ないで』」


 クルナが即座に言葉を発する。


「この靄、何かしら?」


「あの野郎乾眠してるぞ? つまり、それだけ危険な靄か」


「とりあえず、『無毒化して』これで効果がなくなればいいけど……一応『私達を避けて換気口から外へ出て』」


 無効化されたガスがクルナ達を避けてハッチ向けて流れ出す。

 ガスが消えたのを確認しエルティアが王利を元に戻していた。


「大丈夫ですか勇者様?」


「さすがに毒ガスは肝が冷えたけどな。乾眠が一足早かったからなんとか」


 王利は応えながらもほたるんに寄って開かれた新たな通路に足を踏み出す。

 凍結の罠も毒ガスの罠ももし王利以外が喰らっていれば少なくない危機に陥っていただろう。

 バグアントたちの戦略もあながち間違っていない。

 王利としても他の面々が致死の危機に陥るよりは自分がちょっと肝を冷やす程度ならこの状況でも良いかと思いつつ歩きだす。

 しかし、さすがに次の罠には後悔せざるを得なかった。

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