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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
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VS タイプε2

「砲塔を潰せ! まずは敵の戦力を剥ぐ」


 バグカブトの言葉でバグレンジャーが動きだす。

 王利は少し迷ったが、バグカブトの指揮に一先ず従うことにした。

 王利が動きだしたことでほたるん、ハルモネイアも動き出す。

 そんな光景をクルナはぼぉっと見守っていた。


 彼女には言霊はあるが直接的な攻撃力は全くない。

 砲塔の破壊は任せるしかなかった。

 銃弾が飛んで来ない場所に身を隠し、周囲の動きを見守ることにする。


 一番危険なのはほたるんだろう。

 全身がスクラップになりかけているのに戦闘に参加しているのだ。

 アレ以上壊れれば確実にスクラップになるのだが、だからといって貴重な戦力を温存する訳にもいかない。


 第一マスターである王利が戦っているのに自分だけ見学など出来る訳がないのだろう。

 安定しているのはハルモネイア。機械同士なせいか相手の動きを想定しながら一瞬早く動いて銃器を破壊している。

 感情を持っているからだろう。機械の思考の先を読む技術が戦艦を操るゼルピュクネー01より高いらしい。


「大丈夫かクルナちゃん……だっけ」


 ふと気が付けば、凶悪な形相の怪人がクルナに近寄って来ていた。

 その姿はずんぐりむっくりな熊に見える。

 怪人W・B。ウォーター・ベアの名を持つクマムシ怪人だ。


「はい。大丈夫です」


 気丈に振る舞うように応える。

 別に話をする意味すら見いだせなかったのだが、今は首領周辺の敵だとしても親しげにしておくにこしたことはない。

 クルナが叛逆した時、クルナに同情して味方になってくれる可能性もあるからだ。

 というのは建前で、仲を良くしておけば二人きりになる状況も作れる。

 そうなれば言霊で支配下における。


 そうして着実に一人、また一人と首領から仲間を引きはがす。

 そして気付いた時にはもう取り返しのつかない段階にして、一気に殺す。

 既に相手を滅ぼす算段はついている。

 後はどのタイミングで裏切るか。

 とりあえず、この戦いが終わり平穏が訪れるまでは潜伏期間になるだろう。


「しかし、首領もよくやるなぁ……言霊使いが欲しいからって脅して連れて来なくてもいいのに」


「脅す?」


「バグカブトの言ってた言葉と総合すると、大方ラナちゃんの方に寄生して君を言霊で縛ったんだろ。首領のやりそうなことは大体分かるよ。この中でも付き合いは一番長いし」


「それを知っていて……誰にも言わないの?」


 クルナが首領に付き従っている理由を言い当てられ驚きつつも、少しムカッとしたクルナは恨みがましい目で睨む。

 まいったな。と頭を掻きながら王利は謝る。


「悪いな。俺は結局首領側の人間なんだ。無理矢理拉致みたいなことするのは悪いと思うし、君に恨まれて当然だろうって思うけどさ、俺はあの人に人生救われたんだ。だから、あの人がどれだけ悪行を重ねても、そのせいで追い詰められて死にそうになったとしても、俺はあの人の味方でいるよ。だから、俺からあの人の不利になる証言はしない。すまないな」


 謝りながら、王利はすっぱりと言いきった。

 クルナを救う気はないと。

 あまりにもすっぱりと言いきられてしまい、沸き上がり始めていた怒りが霧散する。


 そして思う。結局この人は何も関係ないのだと。

 クルナ自身が何をしようと彼は関わらない。でもそこに首領の危機が混じれば、彼は首領側に回るのだ。例えそれまでどれ程クルナを助けていたとしても。

 それが彼の矜持だと知ると、怒りは湧かなくなっていた。

 自分だってもしラナを殺すと彼に言われれば、迷うことなくラナのために彼を殺すのだから。


「まぁ、あまり役には立たないかもしれないけど、困ったことがあれば言ってくれ、俺もできる限り君を守るよ」


「はぁ……まぁ邪魔をしないでくれるなら問題はないです」


「邪魔って……まぁいいけど。それより、ここはちょっと危険みたいだし別の場所に行かない?」


 王利の言葉にクルナは首を傾げる。

 そして気付いた。

 甲板の一部から突き出た機関銃の様なものがクルナへ向けて放たれていたのだ。

 丁度王利の背中が塞ぐ形になっていたので全て防がれていたが、このままここで座っていれば確実にハチの巣になっていた。


「あ、ありがと……」


「気にすんなって。ほら、バグリベルレが蹴り壊したからもう安全……」


 と背後を見る王利。そこにあった光景を見て思わず顔を青くする。

 蹴り倒したバグリベルレのすぐ横から、一斉に整列するように機関銃の砲塔が連続で出現する。


「マジか!?」


 王利がクルナを抱えて逃げるのと、無数の機関銃が一斉に火を噴くのは同時だった。

 バグリベルレによって数分後、全ての機関銃が破壊されるが、それまでの間にクチクラ装甲は無数の銃弾に穿たれていた。

 ただし、その全てが装甲を砕くことなく王利が傷を負うことはなかったのだが。


 クルナは自身の無防備さに歯噛みする。

 今のは王利に守られなければ絶対に死んでいた。

 首領に復讐をする暇も無く、自分の不注意で死んでいたのだ。

 実戦を積まないと。そう、心に誓うクルナだった。

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