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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
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VS ゼルピュクネー7

「がぁっ!?」


 マンティス・サンダーバードはゼルピュクネー10の一撃を受け派手に吹き飛ばされた。

 飛ばされた先にはバグアントが存在し、真横から飛んできた彼女を受け止める。


「替わるか?」


「冗談だろう? まだ負けた訳ではない。そこで見ていろ」


 正直な話実力不足だ。

 相手の動きに付いていけない。

 彼女は確かにクロスブリッド・カンパニーの怪人ではあるが、もともと戦闘職には付いていなかった。


 今回もベルゼビュート・ハンマーシャークたちが反乱するのに誘われたから参加したのであり、本来はクロスブリッド・カンパニー首領の秘書として活動するだけの存在だったのだ。

 もちろん、有事の際は変身して戦う事も視野には入っている。

 でも、それもどうにもならなくなった有事の際に首領の身代わりとなるためだけの存在で、相手を足止めさせる程度の力しかない。


 ついでに言えば必殺とされる能力も相手のパワーアップになるだけなので、実質この世界では共闘しているメンバー内で最弱の怪人といっても過言ではなかった。

 そんな怪人が、バグレンジャーでさえ苦戦気味のゼルピュクネー相手に善戦等出来るはずもない。

 出来うるならば代わって貰いたいというのが本音だった。


 見学体勢に入ったバグアントに少しくらい手伝ってくれても良いのに。と、思わず愚痴が漏れそうになるが、被りを振って弱気な自分を散らす。

 大丈夫、自分ならやれる。これを倒しさせえすれば生きて元の世界に戻れるのだ。

 ベルゼビュート・ハンマーシャークのように死ぬ事はない。


 マンティス・サンダーバードは気合いを入れてゼルピュクネー10を見つめる。

 複眼の全てで相手の動きをしっかりと見極めつつ、蹴り抜いてきたゼルピュクネー10を鎌で斬りつける。

 しかし、やはり有効打にならない。

 鋼鉄の身体であるゼルピュクネー10に刃が通らないのだ。


 舌打ちしたい気持で羽を羽ばたかせバックステップ。

 即座に突撃し両鎌で斬りつける。

 が、ゼルピュクネー10は避けることなくそれを受け入れ、鋼の身体で受け止める。

 さらに攻撃をモノともせずにマンティス・サンダーバードに接近して来た。

 懐に入られ慌てて羽をはためかすが、後ろに下がるより先にゼルピュクネー10の拳が顔面を貫いた。


 予想以上の衝撃で身体が吹き飛ぶ。

 地面に激突し、一瞬意識が飛んだ。

 次に気付いた時はほぼ間近にまで接近されていて、慌てて立ち上がろうとするマンティス・サンダーバードの顔を掴み、ゼルピュクネー10は再び地面にマンティス・サンダーバードを縫い付ける。


 全身が地面に打ち付けられる衝撃で再び意識が飛び掛ける。

 複眼に見えたのは、ゼルピュクネー10の腕がレーザーサーベルに変化し、マンティス・サンダーバードの首に突き入れようとしている所だった。

 私も結局殺されるのか。と諦めにも似た感情が押し寄せた。


 が、次の瞬間ゼルピュクネー10がバグアントの飛び蹴りにより吹き飛んだ。

 さらに口から液体を噴きつけるバグアント。

 ゼルピュクネー10が慌てて体勢を立て直すが、液体を全身に浴びてしまう。


 すると、音を立ててゼルピュクネー10が溶けだした。

 機械の装甲すら溶かす強力な酸だ。

 思わず立ち上がるのを忘れて見入る。


「おい、さっさと立て。危険を感じたら助けはするが、お前が倒すのだろう? 今なら電撃も通る。漏電した機械程爆発しやすいものはないからな」


「いいのか? そのままお前の手柄にしても良かったのだぞ?」


「言っただろう、まだ負けた訳ではないだったか? 俺は見ておくよ」


「……礼は言わんぞ」


 マンティス・サンダーバードは立ち上がり、帯電を始める。

 溶け始めてはいるが足が無事なためゼルピュクネー10も何とか立ち上がる。

 あれに体当たりでもされれば自分も一緒に酸で溶けるのだろうな。と思いながらもマンティス・サンダーバードは自身の能力全てを掛けて最後の一撃の構えを取る。


 次で決める。たった一撃に全てを込めて。

 私もやればできるのだという事を証明してみせると、マンティス・サンダーバードは帯電した鎌を振り上げた。

 放電を始める二つの鎌が目に見えて雷撃を蓄える。


「切り裂け、シザーズカッター!」


 最大出力で斬撃を放つ。

 一直線に近づいて来ていたゼルピュクネー10は迫りくる雷撃の鎌を避けもせず突っ込む。

 彼女の攻撃が自身のパワーアップを促すと知っているからか、それともただ避ける為の機能が溶けて気付いてなかっただけなのか。それは誰にもわからない。


 ただ、確かな事は、雷撃の鎌を受け入れたゼルピュクネー10は一瞬だけ、超出力で稼働する。

 が、次の瞬間全身から煙が噴き出しバチバチと怪しげな音を響かせる。

 次の一歩を踏み出すその刹那。

 自身の奥底で暴発が湧き起こった。


 マンティス・サンダーバードが油断なく構え、バグアントが腕を組んで見守る中、動きを止めたゼルピュクネー10が、嫌に呆気なく熱暴走を始め、即座に爆散してしまった。

 動力炉が量産型ハルモネイアと違ったためだろう、爆発は小規模で、むしろ飛び散るゼルピュクネー10だった残骸の方が広範囲に広がったくらいだった。

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