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秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
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VS ゼルピュクネー4

 ゼルピュクネー06と対峙しながら、森元王利は焦っていた。

 なんかついつい言ってみたい台詞を吐いてはみたものの、実を言えばまだゼルピュクネー07を倒した訳でなく、すでに背後からそいつが迫って来ていたりする。

 つまり、実質2対1である。


 相手の攻撃で吹き飛ばされた所にバグリベルレが飛んで来たので慌てて受け止めたのだ。

 余りのダメージに真由に戻ってしまったバグリベルレはもう戦えないだろうことは確実で、こうなると彼女に被害を及ぼさない様ゼルピュクネー06を自分が何とかする必要があった。

 しかも、ゼルピュクネー07をも相手にしながらである。


 攻撃能力はほぼ皆無の彼にとって、この状況は好まれたモノではない。

 誰かが助けてくれるなら耐えきることも可能ではあるが、それもないのである。

 自分だけで二体を相手取り倒さなければならない。

 まさに無理ゲーのたぐいだな。と思わず愚痴をこぼす。


 そうこうしているうちに、右腕の潰れたゼルピュクネー07が追い付いてきた。

 状況を見て、どうやら更新を行ったようで、情報共有を終えた途端ゼルピュクネー06と共同で王利を潰しに掛かってきた。


 地を蹴ったゼルピュクネー07の左拳がクチクラ装甲を穿つ。

 その衝撃に王利はよろよろと前に押し出される。

 代わりにゼルピュクネー07の左拳が無残に破壊されたが彼は構わず蹴りを続ける。

 しかしこれも大した効果はなかった。


 いや、むしろゼルピュクネー07の右足がベギャリと折れ曲がる。

 それを見たゼルピュクネー06が手をマシンガンに変え王利を打ち抜く。

 多少は痛みがあるものの、王利の装甲を砕くには至らない。

 連続で襲いかかる無数の弾のせいで身体が少しづつ後ろに後退して行くのだが、王利の装甲にダメージらしいダメージは見当たらない。

 予想以上に堅いソレに、ゼルピュクネーたちは攻めあぐねていた。


 レーザーサーベルに換装したゼルピュクネー06が王利へと突撃する。

 さすがにマズいと思った王利は鋭い爪でなんとか受けとめようとする。

 予想は出来ていた。おそらくレーザーサーベルを受け止める事は出来ない。

 腕が犠牲になるだろう。それでも、拳を握り込んでストレートを穿つ隙にはなるはずだ。


 後はエルティアに直して貰えばいい。そう、思っていた。だが、その瞬間。

 「光の聖剣レイブレイド!」と声が聞こえ、突き出された王利の腕に光の聖剣が出現していた。

 エルティア、ありがとう。と答えながら王利はレーザーサーベルを光の剣で受け止める。


 重い一撃を受け止め鍔迫り合いを始めた王利は、背後の気配を感じて焦る。

 同時に攻撃して来たゼルピュクネー07の左足が背中に襲いかかった。

 が、やはりバギャッと音を立ててゼルピュクネー07の足が圧し折れた。


 気がつかない内にゼルピュクネー07が自爆していたようだ。

 四肢を破壊されたゼルピュクネー07の瞳に光が集まる。

 今はゼルピュクネー06のレーザーサーベルを受け止めたままの状態で動けない。

 このままではマズい。と焦った時だった。ふと、ある方法が浮かんだ。


 咄嗟に足を前に突き出し身体が勝手に滑ったように見せかけながら後ろに倒れる。

 ゼルピュクネー07のアイレーザーが発射。

 倒れて行く王利の真横を通過して、ゼルピュクネー06の眉間を貫通した。

 バランスを崩したのとレーザーの衝撃で緩んだゼルピュクネー06の身体を蹴りあげる。

 真後ろにいたゼルピュクネー07へ向けて蹴り飛ばされたゼルピュクネー06。


 刹那、悲劇は起こった。

 手に持っていたレーザーサーベルが、仲間であるはずのゼルピュクネー07に突き刺さったのである。

 チャンス。とばかりに立ちあがると同時にゼルピュクネー06のうなじに拳を突きいれる。

 爪を立てて突き刺すと、内部で爪を開いて傷口を拡張する。

 何かコードの様な物に触れた感覚がしたので思い切り引き抜いた。


「おのレ」


 言語中枢がおかしくなったのか、ゼルピュクネー07がゼルピュクネー06を押しのけこちらに身体を起こす。

 わざわざ起きるまで待つ必要もないので彼の喉元へと拳を突き刺し、同じようにコードを引き抜いた。

 どうも重要なものだったらしく、電池が切れるようにゴトリと二体のゼルピュクネーがもの言わぬ廃材と化した。


 どうやら、上手く行ったらしい。

 王利は思わず安堵の息を吐きながら周囲を見渡す。

 他の皆も大体決着がつき始めているようだった。


 そしてふと思う。二対一になったのは首領と自分。

 つまり、損な役回りを引き受けていたんじゃないのだろうかと。

 王利は真由を抱え上げ、爆心地から墜落したらしい葉奈を回収するために歩きだす。


 落下した葉奈は、簡潔にいえば無事だった。

 骨が幾つか曲がり、血反吐を吐いて変身が解かれ、気絶していたりはしたが、一命は取り留めていた。

 真由と共に葉奈を背負った王利はエルティアの元へと向う。

 そんなエルティアは、ようやく決着がついた所だった。

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