表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
秘密結社の勇者様  作者: 龍華ぷろじぇくと
クルナ → 復讐準備
167/314

タイプγ戦3

「さて……ゲルムリッドノート、そろそろ行動開始よ。まずはどうしたらいい?」


『ゲヒャハハハ。まずはアレを配下に降すンだろォクルナァ』


「ええ。ECエクファリトス・コックル-03。通称タイプγを配下にする。ハルモネイアとタイプγ。出来るのなら他の敵もね。奴にばれないように味方と思わせておいてある時一気に裏切り殺す。ラナちゃんを救うんだ。誰も当てにできないから。私が。絶対に!」


『ンでよォ。まず何からするかっつーとな。そこの機械女にヘスティだったかァ? 殺さないよう命令しねェとなァ』


 ゲルムリッドノートの言葉で気付く。

 そういえばハルモネイアも言っていたはずだ。

 更新すれば、真っ先にヘスティを抹殺するよう上書きされると。


LRレゾンロリアス320091。ヘスティ・ビルギリッテの抹殺を行わないで」


「……はい。しかしその命令を受けた場合、最優先事項に矛盾が生じこの機体は自己崩壊を起こすことを事前に伝えておきまる。命令に相違はありませるか?」


「むぅ……安易に更新して貰ったのは失敗だったかな?」


『構うこたァねェだろォ? 崩壊だかなんだか知らねェが壊れるならそれまでだろ。どうせ替えが利くしよォ』


「そういう考えは嫌い。アイツと一緒よ。ラナもハルモネイアも替えは利かない。LRレゾンロリアス320091。ヘスティさんを殺す事は禁止。そしてあなたが自己崩壊する事も禁止。だから、最優先事項にあるヘスティ・ビルギリッテ殺害を項目から消し去って」


「……はい。最優先事項ヘスティ・ビルギリッテの殺害をLRレゾンロリアス320091。ハルモネイアはバグとして消去しまる。エクファリトス王からの指令に関連付けされていまる。これを消去する場合、エクファリトス王からの命令は全て消去しなければ指令にエラーが出まる。どうされまるか?」


「じゃあまずその王からの命令を教えてくれる?」


「エクファリトスの王死亡につき代行者としてTPトランスプランター-882149。通称ゼルピュクネー01が指令を代行。異議を唱える者無し。代行者による命令はエクファリトスの王が生前に伝えた指令の遂行。最優先事項、ヘスティ・ビルギリッテの抹殺。邪魔をする者は何者であれ撃破すること。第二優先事項、蠅の抹消。邪魔になるようなら率先して倒すべし。第三優先事項敵対勢力インセクトワールド・クロスブリッド・カンパニー連合組員と見られる個体の全撃破。でありまる」


「問題無さそうね。その指令は全てバグとして消去して。それにしても……エクファリトスの王というのは既に死んだのね。今はゼルピュクネー01が指令代行。そうだわ。ハルモネイアさん、更新時にその王様の代行、あなたがする事はできませんか?」


「今は不可能でる。ただ、代行であるゼルピュクネー01が何らかの事故により指令を送ることが出来なくなった場合、次の代行者が必要になるため、それにエントリーしておくことは可能でありまる。エントリー者がいた場合、他に代行エントリー者がいなければそのまま代行者となりまる。もしいた場合は皆の総意によりエントリー者の中から選ばれまる」


「ではそれをしておいて」


「了解でありまる」


 ハルモネイアがもう一度ネットワークへと意識を繋ぐ。

 それを見て、クルナは一人ニヤついていた。

 少しづつ、少しづつ自分の戦力が増えている。

 今に見ていろ首領。獅子身中の虫となり、お前のはらわたを食い破ってやる。

 そう、暗く微笑むクルナに、ゲルムリッドノートが冷徹に告げた。


『ところでクルナよォ。アレ、放っといていいのかァ?』


 言われて見上げてみれば、既に遠くへと飛んで行くタイプγ。

 もう少し言われるのが遅ければ、おそらく見失っていただろう。


「は、ハルモネイアさん、アレを、アレを追って。早く! 絶対に見失ったらダメよっ!」


「了解でありまる。それと、エントリーしておきましたのでこのままエントリー者が出なければ次の代行者に決まりまる。今エントリーしているのはLRレゾンロリアス320091、つまり私だけでる」


「そう。御苦労さま。さぁ、タイプγを追おうハルモネイアさん。あのヘスティさんを助けます」


「了解でありまる」


 どうやら命令の方もしっかり消去できたようで、ヘスティを助けるというクルナの言葉に頷き、ハルモネイアがバーニアを吹かし始めた。


「ゲルムリッドノート、良い魔法、ある?」


『36ページだァ』


 懐に入れていたゲルムリッドノートを取り出し、クルナはハルモネイアと自分を風避けに使いゲルムリッドノートを開く。

 36ページ。そこに書かれていたのは、風に干渉する魔法のようだ。


「スダ・メルクマ・ロゥアド・メタ・モルガナ・ファクタ……」


 書かれている呪文を一つ一つゆっくりと読み上げるクルナ。

 片手を飛行中のタイプγに向ける。


「縛れ風圧のメディアス・グナーデン


 途端、クルナは自身から何か大切なモノが抜け落ちる感覚を味わった。

 大した量ではなかったものの、抜けてはならない何かが、少しだけ、永遠・・に失われた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ